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従業員体験(EX)の向上は顧客体験(CX)の向上に貢献する『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』【無料公開#18】

8月28日発売の『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』。マクドナルド・メルカリ・SHOWROOMで事業と組織の成長を加速させてきた著者が、カルチャーを言語化し共有化するための手法をご紹介いたします。組織運営に悩む経営者、人事担当者、マネージャー、すべてのはたらく人に向けて、「新しい組織論」を無料公開にて連載いたします。

CXとEXからビジネスモデルとカルチャーモデルを考える

先ほど「カルチャーは社員の採用や育成、組織開発だけでなく、顧客価値創造や顧客との関係構築にも関わる」とお話ししました。

なぜなら先述の通り、事業と組織は両輪で作用するものだからです。

特にどんな事業戦略を取るのか、ストラテジーを決定する際、その意思決定の指針となるのが、ほかでもないバリューとなります。

つまり、ビジョン・ミッションをもとにビジネスモデルとカルチャーモデルを設計し、事業側と組織側双方を動かすことが、結果としてビジネスの成功につながるということです。

では、どのように事業と組織を両輪として働かせればいいのか。

どうやってカルチャーを「適切に設計」すればいいのか。

その一助となるのが、最近マーケティングや人事の領域においてたびたび語られる「カスタマーエクスペリエンス(CX)」と「エンプロイーエクスペリエンス(EX)」の考え方です。

CXとEXの定義

ここで改めて、CXとEXについて定義しておきましょう。

もともと「カスタマーエクスペリエンス(CX):顧客体験」という経営手法は、マーケティング領域において、顧客がプロダクトやサービスを利用する際に金銭的な価値を感じるだけでなく、購入前にプロダクトやサービスを検討し、購入後のフォローに至る一連の体験を通して、心理的かつ感覚的な価値を感じ、顧客エンゲージメント(企業やブランドに対する信頼や絆)を高めるために考えられました。

そして、「エンプロイーエクスペリエンス(EX):従業員体験」はCXの手法を従業員にも適用したもの。就職活動で企業を検討し、入社から研修、配属、業務遂行、人事評価、そして退社するに至るまでの一連の体験を通じて、従業員が心理的かつ感覚的に価値を感じ、ワークエンゲージメント(企業や仕事に対する信頼や絆)を高めようという試みです。

CXの向上が売上・利益という業績に影響するという意味で、CXは企業として追求すべき重要な指標となります。

一方、EXが上がるということは、従業員のモチベーションも高まりますから、それは顧客にも伝わりCXに影響します。

つまり、EXの向上はCXの向上に貢献するということです。

ここで重要なのは、オペレーションはCXを、ピープルマネジメントはEXを向上させるための重要な役割を果たすということです。

(明日、ピープルマネジメントの話に続きます)


著者プロフィール

唐澤俊輔(からさわ・しゅんすけ)

Almoha LLC, Co-Founder

大学卒業後、2005年に日本マクドナルド株式会社に入社し、28歳にして史上最年少で部長に抜擢。経営再建中には社長室長やマーケティング部長として、社内の組織変革や、マーケティングによる売上獲得に貢献、全社のV字回復を果たす。
2017年より株式会社メルカリに身を移し、執行役員VP of People & Culture 兼 社長室長。採用・育成・制度設計・労務といった人事全般からカルチャーの浸透といった、人事・組織の責任者を務め、組織の急成長やグローバル化を推進。
2019年には、SHOWROOM株式会社でCOO(最高執行責任者)として、事業成長を牽引すると共に、コーポレート基盤を確立するなど、事業と組織の成長を推進。
2020年より、Almoha LLCを共同創業し、人・組織を支援するサービス・ツールの開発を進めつつ、スタートアップ企業を中心に組織開発やカルチャー醸成の支援に取り組む。
グロービス経営大学院 客員准教授。


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