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「社内会議が多過ぎる」と感じたときのための会議時短術3選 【「残業沼」脱出、AI分析でわかった時短術No.14】

「会議ばかりで自分の仕事ができない」
「無意味な会議が多すぎる」
多くのビジネスパーソンが抜け出せずに苦しむ「残業沼」。
このマガジンでは、シリーズ累計15万部突破の『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』『AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』著者の越川 慎司氏に、残業沼から脱出する方法を学んでいく。

※記事中の用語説明
5%社員=各社で人事評価上位5%の社員
95%社員=5%社員以外の一般社員


「社内会議が多過ぎる」と感じたときのための会議時短術3選

クライアント企業、総計17万人を対象に「一週間でどのようなタスクに時間をかけているか」のアンケートをとりました。
すると、43%の稼働時間を社内会議に費やしていることがわかりました。
各企業の社内会議を3年半、総計1.9万時間録画して分析したところ、残念ながら、そのうちの37%が成果の出ない会議でした。当初予定していた目的が果たされなかった会議が3分の1以上あったのです。
情報共有の会議では参加者がしっかりと聞いてなければ目的を果たせないですし、ブレインストーミングの会議では自由に発言できる雰囲気にならなければ想定したアイディアが集まりません。また、過剰な気づかいと何となくの不安で、会議のための打ち合わせをするケースも見られましたが、それをしても成果がでないことはデータ分析によって明らかになりました。
これらの社内会議が時短を阻止していることは言うまでもありません。
では、社内会議の時短を実現するにはどうしたらいいか。成功している組織の5%社員にヒアリングして、3つの解決策を見つけました。
すべて基本的なことですが、基本を押さえないと、すべての参加者の時間を奪いかねないのです。

会議時短術① 参加者をその気にさせる

5%社員は、会議参加者のやる気をあてにしません。忙しいのに嫌々参加して椅子に座ることが目的の参加者も多数いることをわかっているのです。
実際オンライン会議では、会議と関係ない仕事をして話を聞いてない人が41 %もいました。匿名で該当者にヒアリングしたところ、彼らはそもそもの会議の意義・目的を理解していませんでした。「集まることが目的」と勘違いしている人もいました。
そんな参加者を増やさないためには、事前に次のことを徹底することが大切です。
● 会議の意義・目的を理解させる
● 会議参加者の役割を明確にする
● 会議のゴールを示す
この3点を会議の招集メール加えれば、会議時間を無駄にする失敗確率がぐんと下がります。

会議時短術② 上司に仕切らせない

社内会議後の満足度をヒアリングしたところ、62%の参加者が不満もしくはやや不満と回答しました。
不満と感じる理由のトップは、「時間内にアジェンダがカバーされなかったこと」、その次は「特定の人が長時間話していること」でした。
この「特定の人」の詳細を追跡調査したところ、会議に参加していた中での最高役職者であるケースが多いことがわかりました。
その状況は、課長や部長などの管理職自らが会議を仕切り、話し続け、ときには同じ話を繰り返す……などです。管理職は会議をコントロールしてうまく進めていると思っていましたが、参加者の部下はそう思っておらず、不満が出る結果となりました。
そもそも、上司が一方的に話すだけの情報共有なら、会議で一堂に会する必要はありません。また、ディスカッションが目的の会議なのに役職者しか話さない、意思決定が目的の会議なのに特定の管理職が一方的に指揮して決めるだけなど、このような状況でも会議を行う必要はありません。
こうしたよくある会議の問題に対して、うまくいっている組織は中立な立場のファシリテーター(仕切り役)を設置して、問題に対処していました。また、ファシリテーターは中立の立場にあるので、意思決定には関わらず、次のような役割に徹しています。
ディスカッションが目的の会議では、参加者が気づかいなく発言できるように、雑談の時間を設けて場の空気を温めたり、参加者全員に回答を求めたりします。
情報共有の会議では、順番に情報を共有してもらい、その情報が参加者に根づいているかを確認します。
こうしてファシリテーターは「決定」「空気」「時間」の3つを仕切ることにより、社内会議を生産的なものに変える役割を果たします。
以上の仕切りスキルは、会議だけではなく、顧客との対応や、関係者との段取り調整などにも役立ちますので、身につけておくべきスキルです。「会議」「ファシリテーション」と検索すれば関連書籍や動画もすぐに見つかるので、短時間で基本を学ぶこともできます。

会議時短術③ 議事録は会議中に完成させる

社内会議では、参加できなかった人や、新たに参加した人に過去の会議内容を共有するために議事録を作成するケースが多いです。
議事録を見ることで会議の内容を思い出し、確実にアクションへつなげる効果があります。また議事録があれば、同じ議題を何度も話し合って時間を浪費する確率も下げられます。
しかし、議事録をつくることに時間を使いすぎるのは問題です。
たとえば、参加者全員に発言内容を確認して、各部門に回覧して会議4日後に議事録が完成するケースがありました。これは、5%社員が決してやらない「丁寧で遅い仕事」です。また、確認の途中で意図的に発言内容を消したり変更したりすれば、議事録の目的が果たされません。
そこで5%社員が実践していたのは、会議中に議事録を完成させる手法です。
会議の資料と一緒に、議事録が記載されたOneNoteなどのデジタルノートを共有し、その場で取ったメモをリアルタイムで参加者に見せていくのです。オンライン会議であれば、各アジェンダの趣旨をチャットに投稿し、認識違いがあればその場で修正していました。
こうして即座に議事録を見せることで確認作業も会議中に終わり、恣意的な修正を防ぐこともできます。
会議の終了時に議事録がまとまっていれば、参加者に求められたアクションが実行される確率が高いことも調査で判明しました。
議事録の本来の目的は備忘録として正しく記録すること、そして決議されたことを確実にアクションしてもらうことです。
この2つの目的を果たし、かつ短時間で完了するリアルタイム議事録をぜひ、試してみてください。

好評発売中!

シリーズ第3作、『AI分析でわかった トップ5%社員の時間術』が5/27日から発売開始しました!
このマガジンを読んで少しでも興味を持った方は是非読んでみてください。

目次

第1章:なぜ、24時間があっという間なのか?
94%の人が「時間がない」と感じている
74%の人が「働き方改革=残業削減」に反対してい
67%の人が「残業が多いのは上司のせいだ」と感じている
53%の人が「効果より効率を上げよう」と考えている
45%の人が「努力で何とかなる」と思っている

第2章:よかれと思ってやってしまう逆効果の時間術
「しっかり管理すればしっかり成果が出る」と信じている
「仕事効率は才能で決まる」と思っている
「重要そうな情報を集めたほうがいい」と思っている
「とりあえずショートカットキー」と思っている
「自分の経験と知識で考えよう」と思っている
[ Column ] 5% 社員は英語を勉強しない

第3章:95%の人が知らない5%社員の意外な時間術
ランチをとらない
積極的に「ため息」をつく
「ローリスクローリターン」を積み重ねる
情報収集の時間は一日5分以内
作業途中でも一度手を止める
時間の余裕は、気持ちの余裕からつくる
「情報」は「洞察」に変えないと人を動かせない
メンバーを巻き込んで早く作業を終わらせる
やる気が削がれることは仕事から排除する
机の上に飲み物を置かない
贅沢キーボードで時短する
「ちょっと外出」で生産性を上げる
[ Column ] 5 % 社員がカバンと靴に投資する理由

第4章:残業沼から抜け出す「ちょいスイッチABC」
95%社員と5%社員は何が違うのか? 
トップ5%社員の6つの特異点
トップ5%社員の時間術を「ちょいスイッチABC」で再現する
ちょいスイッチA(Accept) 過去の浪費を受け入れる
ちょいスイッチB(Build) 行動を早め、継続する仕組みをつくる
ちょいスイッチC(Concentrate&Continue) 集中して継続する

第5章:残業沼から抜け出す 「ちょいスイッチABC」を実践!
ちょいスイッチA「過去の浪費を受け入れる」を実践
作業時間と思考時間を分ける/アウトプットを先にする/時間の使い方を計画ではなく企画する/成功確率アップより失敗確率ダウンを目指す
ちょいスイッチB「行動を早め、継続する仕組みをつくる」を実践
すぐに作業できる状態を整える/「やめること」を決める/やめる基準の「チェックポイント」をつくる/メモのすごい効能を日常に定着させる
ちょいスイッチC「集中して継続する」を実践
丁寧で遅い仕事をしない/「悩む心配する時間」を減らす/投資対効果を考えて、せっかちにならない/自己否定は「妄想」であることを知る
[ Column ]5% 社員はなぜ野球よりラグビーが好きなのか

第6章:明日から定時で帰る「ちょいスイッチABC」を押すトレーニング 個人編
時間管理
金曜に「大きな仕事」を2つ書き出す/45分単位で仕事をこなす/報酬を声に出して言う/「承認」される仕組みをつくる
自制心コントロール
アナログ時計で逆算思考を促す/行動目標と締め切りを周囲3人に宣言する/週に1回トイレ掃除をする
集中力アップ
ヘッドホンを活用する/通知設定を変える
インプット
文字を手書きする/音声入力をマスターする/自動校正を活用する/散歩しながら本を聴く/倍速再生機能を活用する
アプトプット
3秒の沈黙を避ける/3秒ジェスチャー3選

第7章:チームで時短する「ちょいスイッチABC」を押すトレーニング 組織編
最強の巻き込み力
「フットインザドア」で依頼する/自走するチームが実践する5ルール/会議時短3アクション
誤解を避ける意思伝達
承認サンドイッチ作戦/上手に断る3つのテクニック/相づち&共感コメント7選/相手のメリットを事前に5分考える
プロジェクト推進
1チーム5人で活動する/刺激し合う仕組みをつくる/逃げ道をつくっておく

あとがき

著者について

越川慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー 代表取締役
株式会社レビルソーク 代表取締役
株式会社キャスター 執行役員
国内通信会社および外資系通信会社に勤務、ITベンチャーの起業を経て、2005年にマイクロソフトに入社。業務執行役員として最高品質責任者やPowerPointやExcelなどの事業責任者など歴任。2017年に改善活動のコンサルティング会社 株式会社クロスリバーを起業。ITをフル活用してメンバー全員が週休3日・週30時間労働を継続。
のべ800社以上に、ムダな時間を削減し社員の働きがいを上げながら”自分の時間”を増やしていく「働き方改革」の実行を支援。2018年から1000名以上のほぼ全員がフルリモートワークの株式会社キャスター執行役員と兼任。
著書18冊。『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』『AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『科学的に正しいずるい資料作成術』(かんき出版)、『「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか』(KADOKAWA)など。


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