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「正しいか間違っているか」ではなく「好きか嫌いか」を決める『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』【無料公開#26】

8月28日発売の『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』。マクドナルド・メルカリ・SHOWROOMで事業と組織の成長を加速させてきた著者が、カルチャーを言語化し共有化するための手法をご紹介いたします。組織運営に悩む経営者、人事担当者、マネージャー、すべてのはたらく人に向けて、「新しい組織論」を無料公開にて連載いたします。

「正しいか間違っているか」ではなく「好きか嫌いか」を決める

カルチャー・ガイドは重要です。

しかし、カルチャー・ガイドはあくまでカルチャーをつくるための言語化という一手段にすぎません。

また、何度もお話しする通り、どんなカルチャーがその企業にふさわしいのか、その答えは一つではありません。

そもそも「カルチャーをつくる」のは難しいことです。

理想の「あるべき姿」からカルチャーをつくろうとしても、形骸化してしまったり、もともとあったカルチャーからかけ離れ、実現できなかったりする可能性は大いにあります。

カルチャーを表す何らかの言葉を決めたとしても、その言葉の解釈は人によって異なりますし、全社員が納得する言葉を見つけ出すのも難しいことです。

それでもなお、自社にとってどんなカルチャーがふさわしいのか。

そしてそのカルチャーはどういったものなのか、言語化する試みそのものに意味があります。

経営者や経営陣、あるいは人事担当者がそれを試みることで、そのプロセスを通して社員に共通認識が生まれ、組織としての意思決定が強固なものとなるからです。

たとえば、最近の組織論ではピラミッド型の組織構造やトップダウン型の意思決定プロセスへの疑問の声が増えています。

『ティール組織』(フレデリック・ラルー著・鈴木立哉訳・英治出版)のようにフラットで自律的な次世代型組織が大きな話題になったのも、従来型の組織に限界を感じる人にとって、そこで示されたコンセプトが共感を呼ぶものだったからだと思います。

ただ、現に2020年の今でも、カリスマリーダーが組織を牽引し、トップダウン型の意思決定プロセスで業績を伸ばしている企業は数多くあります。

柳井正氏が率いるファーストリテイリングや孫正義氏が率いるソフトバンクなどはその最たるものでしょう。

また、働く個人として考えても、それぞれ得意なことはさまざまです。

自律的に物事を考え、自ら仕事を生み出すのが得意な人もいれば、あらかじめゴールが明確に設定され、それを達成するために粛々と業務を進めるのが得意な人もいるはず。

人それぞれの特性に合ったカルチャーを選べるように、企業のカルチャーは多様であるべきなのです。

つまり、企業のカルチャーにおいて、どれが正しいか間違っているかは一概に決められません。

もし何らかの形で規定できるとしたら、「好きか嫌いか」そのどちらかを、組織としてどう選ぶか。

そしてそれを社外に発信したうえで、働く人がその会社で働きたいと思えるかどうかなのです。


著者プロフィール

唐澤俊輔(からさわ・しゅんすけ)

Almoha LLC, Co-Founder

大学卒業後、2005年に日本マクドナルド株式会社に入社し、28歳にして史上最年少で部長に抜擢。経営再建中には社長室長やマーケティング部長として、社内の組織変革や、マーケティングによる売上獲得に貢献、全社のV字回復を果たす。
2017年より株式会社メルカリに身を移し、執行役員VP of People & Culture 兼 社長室長。採用・育成・制度設計・労務といった人事全般からカルチャーの浸透といった、人事・組織の責任者を務め、組織の急成長やグローバル化を推進。
2019年には、SHOWROOM株式会社でCOO(最高執行責任者)として、事業成長を牽引すると共に、コーポレート基盤を確立するなど、事業と組織の成長を推進。
2020年より、Almoha LLCを共同創業し、人・組織を支援するサービス・ツールの開発を進めつつ、スタートアップ企業を中心に組織開発やカルチャー醸成の支援に取り組む。
グロービス経営大学院 客員准教授。


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