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【編集者エッセイ】むしろ「社会がこっちに適応してこいよ」くらいの気持ちでいい。

5月26日に精神科医・藤野智哉先生の著書『「誰かのため」に生きすぎない』が発売になりました。
発売1か月で3刷りとなり、テレビでも注目の本として紹介されるなど、ご好評をいただいています。
このnoteでは、好評を記念して、担当編集者が「印象に残っていておすすめの3本は?」と考えた時に思い浮かぶお話を書籍の中から抜粋して紹介します。今回は第2回です(全3回)。

2回目は、先生の原稿を最初に拝見したときに一番「おお!」とスカッと感じた言葉のお話です。
その言葉とは、
「むしろ『社会がこっちに適応してこいよ』くらいの気持ちでいいと思います」
です。
周囲の環境に馴染もう、適応しようとして一生懸命になるってこと、人生では何度もあると思います。
そんなときに、もし、つらく、しんどく感じてしまったら、「社会(周囲の環境)がこっちに適応してこいよ、くらいの気持ちでいけばいいのかぁ!」と発想の転換をもらったように感じ、スカッとした気分になりました。
もちろん、続く言葉には、「実際には社会はこっちに合わせてはくれませんが」と冷静なお言葉がありますが、「だからといって自分が適応しなくてもいい」とズバリ。「なるほど〜!」と唸らされました。
周囲の環境に馴染もう、適応しようとがんばるのも大切なことですが、やりすぎちゃって苦しくなったら思い出したい言葉です。

大田原恵美(担当編集)

むしろ「社会がこっちに適応してこいよ」くらいの気持ちでいい。

日々を幸せ気分で過ごすには、「余裕」ってすごく大事なんですよね。
やっぱり同じ状況に置かれたときでも、余裕がない場合とある場合では、その感じ方は全然変わってきますから。

同僚から「服に汚れがついてますよ」と言われても、いつもなら「教えてくれてありがとう」と言うところ、余裕がないと「みんなの前で言うことないじゃん」とムッときてしまうかもしれません。

心の余裕があれば、問題にならないことって意外と多いと思います。
余裕がなくなるパターンはいろいろありますが、「人の目を気にしすぎ」というのも、その一つです。

「いつまでも独身で、まわりになんて言われてるか」
「正社員にならないと、やっぱり世間は認めてくれないのかな」
そんな思い込みが心の余裕を奪っていきます。

むしろ「社会がこっちに適応してこいよ」くらいの気持ちでいいと思います。

実際には、社会はこっちに合わせてはくれませんが、だからといって自分が適応していかなくてもいいんです。あるがままでいることが大事です。
「わがまま」って言葉がありますけど、「我がまま」と書きます。この言葉ってある意味「あるがまま」ってことなんですよね。

「あの人ってわがままよね」って言うと悪口になりがちですけど、ちょっと「わがまま」を悪者にしすぎだなとも思います。

あるがままでいるって素晴らしいことなんですよ。

小さいころに「わがまま言うんじゃありません」と叱られてきた人も多いでしょうから、「わがまま」にネガティブな印象をもつのは当然です。

でも、「わがまま」が悪いわけではなくて、どう表現するかの問題だと思うのです。

たとえば、「スーパーでお菓子がほしいと床に転がってダダをこねる」のはよくないですが、だからといって「お菓子がほしいという気持ち」自体は悪くないですよね。

同じように、「疲れたから休みたい」という感情が湧くのは悪くなくて、それを「私はこんなに疲れてるんだから、あなたが代わりにしてよ」と誰かに丸投げする表 現をしてはじめて「それはダメだ」となるわけです。

だから湧いてくる感情は抑えなくていいと思っています。

どんどん「わがまま」になっていいんですよ。
「私は今、お菓子が食べたいんだな」「疲れて仕事がしたくないな」なんていう「わがまま」は受け止めてあげていいんです。

その上で「帰りにコンビニでお菓子買っちゃおう」と素直にわがままを実行するのもいいですし、「明日は仕事に穴を開けられないから、来週落ち着いたら有休をとってのんびりしよう」とできる範囲でわがままを聞いてあげるのもいいと思います。

結局、感情は自然に生まれてくるものなので、受け止めるのが一番です。
その上で「どう行動に出すか」というのが大事なんですよね。

続きが気になる方に

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著者について

藤野智哉(ふじの・ともや)
1991年生まれ。精神科医。産業医。公認心理師。
秋田大学医学部卒業。幼少期に罹患した川崎病が原因で、心臓に冠動脈瘤という障害が残り、現在も治療を続ける。
学生時代から激しい運動を制限されるなどの葛藤と闘うなかで、医者の道を志す。
精神鑑定などの司法精神医学分野にも興味を持ち、現在は精神神経科勤務のかたわら、医療刑務所の医師としても勤務。 障害とともに生きることで学んできた考え方と、精神科医としての知見を発信しており、メディアへの出演も多数。
著書に『「自分に生まれてよかった」と思えるようになる本』(幻冬舎)『自分を幸せにする「いい加減」の処方せん』(ワニブックス)、『精神科医が教える 生きるのがラクになる脱力レッスン』(三笠書房)などがある。

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