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確固たるカルチャーをもつことで成長したネットフリックス『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』【無料公開#24】

8月28日発売の『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』。マクドナルド・メルカリ・SHOWROOMで事業と組織の成長を加速させてきた著者が、カルチャーを言語化し共有化するための手法をご紹介いたします。組織運営に悩む経営者、人事担当者、マネージャー、すべてのはたらく人に向けて、「新しい組織論」を無料公開にて連載いたします。

「カルチャーをつくる」ことにどんな意味があるか

年を経るごとに創業当初のカルチャーが失われていくのは、ある意味仕方のないことです。

ではなぜ、脈々と受け継がれ醸成されてきたカルチャーを改めて可視化し、自社のカルチャーとして定義すべきなのか。

あるいはなぜ、「あるべき姿」を目指し、意図的に新たなカルチャーをつくるべきなのでしょうか。

それは経年によって生じたカルチャーのほころびやズレを修正し、チューニングする必要があるからです。

外部環境が変化し、自社のビジネスモデルの変化を余儀なくされるなかでは、さまざまな場面で重要な意思決定が求められます。

その際、カルチャーが「なんとなく暗黙知で共有されている」ままでは、属人的な判断が求められ、意思決定の精度にバラツキが出てくる可能性があります。

組織としてスピーディかつ適切に意思決定するためには、カルチャーを確固たるものとしておく必要があるのです。

カルチャーをもつことで成長したネットフリックス

確固たるカルチャーをもつことで成長してきた企業の代表例として挙げられるのは、ネットフリックスでしょう。

ネットフリックスは、今でこそ世界的な映像ストリーミング配信サービスとして知られていますが、1997年に創業した当初、事業として取り組んでいたのは、オンラインDVDレンタルサービス(1998年開始)でした。

けれども2007年、そのコア事業をストリーミング配信へシフトすることを発表し、2013年からはオリジナル作品の制作も始めました。

そうやってネットフリックスがビジネスモデルを変化させるなか、2009年にウェブ公開し、2013年にフェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグが絶賛したことで大きな話題となったのが「カルチャー・デッキ」です。

カルチャー・デッキでは、ネットフリックスのカルチャーを「自由と責任(Freedom & Responsibility)」と総称したうえで、そこに不可欠な要素として「大切だと思うものをバリューとする」「ハイパフォーマンス」「自由と責任」「コントロールするのではなく、分脈を提示する」「整合性を取りながら、ゆるく連携する」「市場価値に見合った最高の報酬を払う」「昇進と人材開発」の7つ(注:筆者訳)を挙げています。

まだ誰も成し遂げていなかった「世界規模のストリーミング配信サービス」を生み出すにあたって、知見や経験もないなか、何を優先し、何をすべきか。

社員一人ひとりが大切にすべきカルチャーを、言語化することによって共有したのです。

そして、カルチャー・デッキはその後もアップデートされ、社内外の環境変化に対応し続けています。


著者プロフィール

唐澤俊輔(からさわ・しゅんすけ)

Almoha LLC, Co-Founder

大学卒業後、2005年に日本マクドナルド株式会社に入社し、28歳にして史上最年少で部長に抜擢。経営再建中には社長室長やマーケティング部長として、社内の組織変革や、マーケティングによる売上獲得に貢献、全社のV字回復を果たす。
2017年より株式会社メルカリに身を移し、執行役員VP of People & Culture 兼 社長室長。採用・育成・制度設計・労務といった人事全般からカルチャーの浸透といった、人事・組織の責任者を務め、組織の急成長やグローバル化を推進。
2019年には、SHOWROOM株式会社でCOO(最高執行責任者)として、事業成長を牽引すると共に、コーポレート基盤を確立するなど、事業と組織の成長を推進。
2020年より、Almoha LLCを共同創業し、人・組織を支援するサービス・ツールの開発を進めつつ、スタートアップ企業を中心に組織開発やカルチャー醸成の支援に取り組む。
グロービス経営大学院 客員准教授。


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