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【「はじめに」公開】中村圭志 著『世界の深層をつかむ 宗教学』

 10月に創刊! 「わかったつもりで終わらない 独学シリーズ」の第1弾は『世界の深層をつかむ 宗教学』。
 単に「知っている」だけではなく、知識を自分ごと化し、自分の考えを持つための学びを促す新シリーズです。

このnoteでは、本書の「はじめに」をお届けします

はじめに

 宗教学は、世界じゅうのさまざまな宗教について、信仰の立場を離れて、客観的に研究する学問です。単一の学問ではなく、人類学、社会学、心理学、歴史学、文献学、民俗学……等々、様々な学問的手法の総体です。
 本書は、宗教学の世界に触れ、その考え方や基本的用語を知ると同時に、世界のさまざまな宗教についての基礎知識を得るための独習型のワークブックとして企画されました。
 全体を(のべ)15 日でクリアするように設計してあります。15 というのは大学の半年の講義日数ですね。それをさらに3 つの週に分けてあります。それぞれの週の特徴を紹介しましょう。

◉第1 週(5 日間)
宗教についてのよくある質問にざっと答えるという内容です。日本人は「無宗教」の人が多く、宗教についての基本的イメージがあまりはっきりしません。そこで半ば頭の体操的に宗教の諸相に触れてもらえるようにしました。

◉第2 週(5 日間)
思想性の高い、世界の重要な宗教──ユダヤ教・キリスト教・イスラム教という3 つの一神教と、日本にとくに縁の深い仏教──の歴史と教えのABCを学ぶ週となっています。最後の日には、他の大事な宗教も概観します。

◉第3 週(5 日間)
宗教と隣接する4 つの領域──哲学、科学、政治、経済──について、少しつっこんだ解説をします。ここまでくると、宗教についてのあなた自身の宗教学的な見解も出来上がってくるかもしれません。最終日には、宗教学という学問の体系を整理することにしましょう。

 毎回ちょっとしたテストがあります。それまでのページを振り返りながら、取り組んでみてください。宗教の世界には単純な正解はあまりありません。答えが合っているか間違っているかということにこだわらずに、ご自身の思考の整理として利用してください。各講義日の最終ページに解答例がありますが、さっさと見てしまっても構いません。

 本書をどのように使おうとご自由です。ひととおり眺めることで、宗教というものが、世界の時事的な問題と、あるいは私たち自身の日常と、深くかかわっていることがお分かりいただけるでしょう。それは決して「信仰心が大事だ」ということではありません。宗教は矛盾に満ちた古代からの文化です。宗教を批判的に眺めることもまた大事です。
 本書で独学することで、その意味がお分かりいただけるようになると思います。
 では、グッド・ラック!

目次

【目次詳細】
第1週 宗教とは何か? よくある疑問から考える
第1日 宗教の根幹「救い」とは何か?
第2日 「霊」は命、「神」は力を表す
第3日 教典の使われ方を知る
第4日 日本人はなぜ「無宗教」なのか?
第5日 愛や平和を説く宗教がなぜ紛争を招くのか?

第2週 世界をよみとく4つの宗教 歴史と教えの基礎を学ぶ
第1日〈ユダヤ教〉キリスト教とイスラム教のルーツを学ぶ
第2日〈キリスト教〉世界で信者が最も多い宗教を学ぶ
第3日〈イスラム教〉時事問題の理解の手がかりを学ぶ
第4日〈仏教〉知っているようで知らない日本の主流の宗教を学ぶ
第5日 さまざまな宗教の概要を学ぶ

第3週 宗教とさまざまな分野とのかかわり 現代の社会課題へのヒント
第1日 宗教と哲学
第2日 宗教と科学
第3日 宗教と政治
第4日 宗教と経済
第5日 宗教学の方法・まとめ

著者

中村圭志(なかむら・けいし)
1958年北海道小樽市生まれ。北海道大学文学部卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学(宗教学、宗教史学)。宗教学者、昭和女子大学非常勤講師。
著書
『図解 世界5大宗教全史』『図解 世界5大神話入門』『西洋人の「無神論」日本人の「無宗教」』(ディスカヴァー)
『教養としての宗教入門』『聖書、コーラン、仏典』(中公新書)
『人は「死後の世界」をどう考えてきたか』(KADOKAWA)
『面白くて眠れなくなる宗教学』(PHP研究所)
『教養としての仏教入門』『知ったかぶりキリスト教入門』(幻冬舎新書)
『信じない人のための<宗教>講座』(みすず書房)
ほか多数。

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