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経営スタンスの4象限とは?『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』【無料公開#27】

8月28日発売の『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』。マクドナルド・メルカリ・SHOWROOMで事業と組織の成長を加速させてきた著者が、カルチャーを言語化し共有化するための手法をご紹介いたします。組織運営に悩む経営者、人事担当者、マネージャー、すべてのはたらく人に向けて、「新しい組織論」を無料公開にて連載いたします。

経営スタンスの4象限

では、企業のカルチャーはどのようにつくるべきなのでしょうか。

その手がかりとなるのが、組織を運営する経営陣のリーダーシップスタイルの分析です。

さまざまな企業のカルチャーを検証した結果、経営者や経営陣が取っているリーダーシップスタイルを4つに分類することができました。

経営におけるリーダーシップスタイルは、経営陣が意思を持って自らのスタンスを取っている(取るべきだ)、という趣旨から、本書では「経営スタンス」と呼びたいと思います。それは次の4象限です。

自分たちの会社がどれに近いのか、考えながら読み進めてみてください。

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〈経営スタンスの4象限〉

① カリスマリーダー経営(変化志向×中央集権型)

一人のカリスマが常に変化を起こしながら組織が成長していく。

個のリーダーの強みを最大化することで成果を挙げる。

強力なトップダウンのため、大胆な意思決定ができる。

例)フェイスブック、ソフトバンク、SHOWROOMなど、特にカリスマ経営者と言われる創業者が経営する会社に多い

② チームリーダー経営(安定志向×中央集権型)

個に依存せず、経営陣がチームで意思決定し、全員の力を結集し成長を進める。

合議で決めるためリスクは取らない傾向にあり、安定した経営を志向する。

一社で長期的に働くことで、合議のためのすり合わせスキルを高めてゆく。

例)NTTや花王など、いわゆる日本の大手企業に多い

③ 複数リーダー経営(安定志向×分散型)

子会社別、事業別、地域別などに分散して組織運営し、各責任者に権限を委譲する。

各責任者のレベルに成果が依存するため、リーダーシップ層の育成が重視される。

権限委譲しつつもレポーティングを適切に求めることで、一定のガバナンスは効かせながらトータルで安定的に成長していく。

例)GE、P&G、マクドナルドなど外資系グローバル企業に多い

④ 全員リーダー経営(変化志向×分散型)

ビジョン・ミッション・バリューで大枠の方向性だけ規定し、あとは個人に任せる。

個の多様性の価値を最大化し、違いから変化や化学反応を起こし成長することを期待する。

社員自身に自律性とリーダーシップが求められる。

例)グーグル、Airbnb、メルカリなど、IT系の新興企業に多い


ほとんどの企業は一人か数名の少人数から創業しますが、初めのうちは①カリスマリーダー経営であることが多いでしょう。

優れた技術者や専門家、あるいは信頼を集めるマネジメント層などが加わりながら、経営者の方針のもとプロダクトやサービスを開発するところから始まります。

やがて顧客を獲得し、事業が成長するにつれ、組織が拡大し、場合によっては②チームリーダー経営や③複数リーダー経営、④全員リーダー経営へとシフトすることもあります。

また、企業によっては組織全体としては②チームリーダー経営であるものの、新規事業開発を行う子会社だけは④全員リーダー経営のスタンスを取るなど、組織が完全に切り分けられている場合においては2つの異なる経営スタンスが共存することもあります。

いずれにしろ、経営スタンスが4つのうちどれにあたるかによって、企業のカルチャーはある程度傾向が分かれるのです。


著者プロフィール

唐澤俊輔(からさわ・しゅんすけ)

Almoha LLC, Co-Founder

大学卒業後、2005年に日本マクドナルド株式会社に入社し、28歳にして史上最年少で部長に抜擢。経営再建中には社長室長やマーケティング部長として、社内の組織変革や、マーケティングによる売上獲得に貢献、全社のV字回復を果たす。
2017年より株式会社メルカリに身を移し、執行役員VP of People & Culture 兼 社長室長。採用・育成・制度設計・労務といった人事全般からカルチャーの浸透といった、人事・組織の責任者を務め、組織の急成長やグローバル化を推進。
2019年には、SHOWROOM株式会社でCOO(最高執行責任者)として、事業成長を牽引すると共に、コーポレート基盤を確立するなど、事業と組織の成長を推進。
2020年より、Almoha LLCを共同創業し、人・組織を支援するサービス・ツールの開発を進めつつ、スタートアップ企業を中心に組織開発やカルチャー醸成の支援に取り組む。
グロービス経営大学院 客員准教授。


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