Discovery Tours ICELAND 坂本純子

Discovery Tours ICELAND代表。自撮のスナップ写真を通して、ひとの生き方をアイスランドから考えてみたい。時事、社会、教育、医療、アート、書評など、いろいろなトピックを網羅。月2度更新予定。https://linktr.ee/dis_iceland

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    マガジン

    • アイスランド編~”アイスランドから見る風景”より

      アイスランドでの日常についてのコラムをまとめました。

    記事一覧

    アイスランドから見る風景:vol.20 高知ー山の神が棲む処

    わたしが旅をするとき、目的地に選ぶ場所には条件がある。それは言葉が通じるということだ。大抵の先進国では英語で何とかなりはする。それでも話す相手が、わたしが使える…

    アイスランドから見る風景:vol.19-2 アイスランドで簿記を勉強する -後編-

    さて、前編からかなり時間が経ってしまったが、あれから2つ大きな変化があった。ひとつは、アイスランドでの簿記・中級コースを無事終了したこと、そしてもうひとつは、6…

    アイスランドから見る風景:vol.19-1 アイスランドで簿記を勉強する -前編-

    アイスランドでは、再就職やキャリアアップを念頭に、再度教育機関に足を向ける社会人が多い。高校・大学の卒業後に就職をしてはみたものの、仕事に慣れて業務がルーティン…

    アイスランドから見る風景:vol.18 ベルリンの西と東

    今月の中旬・4月10日から14日の4日間、ドイツの首都ベルリンに滞在した。旅行を思いたったのには、幾つかの理由があった。まずは何と言っても、アイスランドでは縁遠い春の…

    アイスランドから見る風景: vol.17 全滅領域ーSF論②

    ロシアのウクライナ侵攻から、すでに6週間が過ぎようとしている。欧州はロシアに経済制裁、ウクライナには資金・人道的援助を引き続き行ってはいるものの、依然として状況…

    アイスランドから見る風景:vol.16 2022年2月24日 欧州新秩序・冷戦2.0

    今回のコラムでは、2022年2月24日ロシアのウクライナ侵攻がもたらした欧州でのパラダイムシフトについて、アイスランドから考察してみたい。本来であれば、もっと早い時期…

    アイスランドから見る風景:vol.15 女性警察官の躍進と男性看護師の嘆き

    先回に引き続き、今回も男女賃金差解消に向けたアイスランドでの試みについて考察してみたい。その中でも看護師と警察官の例を取ることにする。選んだ理由は、最近この2つ…

    アイスランドから見る風景:vol.14 男女平等の縦と横

    先日、大変興味深い記事を読んだ。アイスランドでは、女性起業家が興した会社よりも男性起業家の会社のほうが、投資先に選ばれる割合が断然高いらしい。アイスランドの技術…

    アイスランドから見る風景:vol.13 コロナ禍の中での男女平等

    アイスランドはオミクロン変異種の感染拡大の真っ只中だ。南アフリカで特定された新変異種はイギリスに渡り、その後アイスランドに持ち込まれた。年末年始のホリディシーズ…

    アイスランドから見る風景:vol.12 2022年 新年の抱負

    遅ればせながら、謹賀新年、明けましておめでとうございます。昨年から定期的に書き始めたこのコラム、12回目で2022年を迎えました。アイスランドで生活をしていながらも、…

    アイスランドから見る風景:vol.11 ドレスデンとフェルメール ドイツ編①

    今年の10月中旬、カメラのレンズを購入する必要に迫られてベルリンに飛んだ。その寸前にデュッセルドルフに住んでいる友人と話をして、ベルリンに行くならついでに今話題に…

    アイスランドから見る風景:vol.10 消費を手放す

    先日、アイスランド人記者が書いた面白い記事を読んだ。内容はアイスランド人の消費について、タイトルは『買って、放つ (Að kaupa og sleppa)』というものだった。アイス…

    アイスランドから見る風景:vol.9 ワクチン未接種と外国人

    先日ドイツに住んでいる友人から、アイスランドではワクチン反対派はいないのか、という質問を受けた。その会話をした、およそ2か月前のアイスランドでは、国民16歳以上の…

    アイスランドから見る風景:vol.8 ”FALLING MAN” 世界が共有する9/11の記憶ー書評①

    ひとが過ぎ去った時間に思いを馳せるとき、脳裏に浮かぶ出来事には2種類あるように思う。ひとつは個人に還元できる実体験、そしてもうひとつは世代が共有したメディアを通…

    アイスランドから見る風景:vol.7 碧(みどり)の湯・露天風呂へようこそ

    早朝に水面が凍る季節になった。紅葉の彩りを添えてくれた落葉樹も葉を完全に落とし、庭の佇まいは途端に淋しくなった。霜と雨に濡れた落ち葉の鬱陶しさに、もの哀しさはさ…

    アイスランドから見る風景:vol.6 ラビット・ホール

    レイキャヴィーク市は、幾つかの住宅地区に区分されており、隣接する地区の間には住居のない自然エリアが設けられている。その区画整備は、新しく都市開発された市の裾野部…

    アイスランドから見る風景:vol.20 高知ー山の神が棲む処

    わたしが旅をするとき、目的地に選ぶ場所には条件がある。それは言葉が通じるということだ。大抵の先進国では英語で何とかなりはする。それでも話す相手が、わたしが使える外国語を母国語にしていると、コミュニケーションの質が違うことは確かだ。外国人同士が話す英語はあくまでツールに過ぎない。それぞれの言語が持つ繊細な綾(あや)やニュアンスは、母国語でない限り使いこなすことは難しい。言語を操る能力は、”理解”よりも”表現”のほうが明らかに難易度が高い。 年齢のせいもあると思う。新しい言語を

    アイスランドから見る風景:vol.19-2 アイスランドで簿記を勉強する -後編-

    さて、前編からかなり時間が経ってしまったが、あれから2つ大きな変化があった。ひとつは、アイスランドでの簿記・中級コースを無事終了したこと、そしてもうひとつは、6月の一時帰国時に簿記3級の試験に合格したことである。今回はこの2つのトピックに焦点をあてながら、コラムの続きを書いてみようと思う。 初級のおばあちゃん先生のコース終了後すぐに、次の中級コースが始まった。最初の4回はエクセル。簿記に必要な関数に重点を絞った授業内容だ。本来は簿記の先生が教えるはずだったのが、他で受け持っ

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    アイスランドから見る風景:vol.19-1 アイスランドで簿記を勉強する -前編-

    アイスランドでは、再就職やキャリアアップを念頭に、再度教育機関に足を向ける社会人が多い。高校・大学の卒業後に就職をしてはみたものの、仕事に慣れて業務がルーティン化するにつれて、この国の人たちはキャリア転換や転職を考えるようになる。アイスランドにおいては、育児休暇や職場での昇進・昇給の頭打ちが、キャリア転換の機会になる。アイスランド人は転職に対する抵抗感はまったくない。転職した、と報告すると「そりゃ、おめでとう」という返答が返ってくるお国柄だ。 社会人の再教育の目的は、高等専

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    アイスランドから見る風景:vol.18 ベルリンの西と東

    今月の中旬・4月10日から14日の4日間、ドイツの首都ベルリンに滞在した。旅行を思いたったのには、幾つかの理由があった。まずは何と言っても、アイスランドでは縁遠い春のぬくもりを感じたかった。それなら別にベルリンにこだわる必要はなかったのだが、実は昨年10月の夜景撮影が手ブレで大失敗しており、早い時期にリベンジ撮影をしたいと思っていた。それに加え、ロシアのウクライナ侵攻後、ドイツの首都の雰囲気がどのように変わったのかにも興味があった。4月15日からのイースター(復活祭)の混雑を

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    アイスランドから見る風景: vol.17 全滅領域ーSF論②

    ロシアのウクライナ侵攻から、すでに6週間が過ぎようとしている。欧州はロシアに経済制裁、ウクライナには資金・人道的援助を引き続き行ってはいるものの、依然として状況は膠着したままで、停戦どころか、一時的な休戦の予兆もない。国内で使用される天然ガスの40%をロシアからの輸入で賄っていたドイツは、その依存脱却のために、国民に光熱費の節約を求め、同時に国内エネルギー資源が逼迫した際の緊急対応プランと今後のエネルギー移行プランを公表した。 幸いアイスランドは国内エネルギーの大半を地熱と

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    アイスランドから見る風景:vol.16 2022年2月24日 欧州新秩序・冷戦2.0

    今回のコラムでは、2022年2月24日ロシアのウクライナ侵攻がもたらした欧州でのパラダイムシフトについて、アイスランドから考察してみたい。本来であれば、もっと早い時期にこの題材でコラムを書き上げたかったのだが、わたし自身が今日まで欧州で戦争勃発の事実を消化しきれていなかった。ロシアのウクライナへの進軍とその衝撃、数分ごとにアップデートされる戦争の状況一刻一刻に、頭と心が完全に麻痺してしまった。 疫病と戦争が双子であることは、人類の歴史を紐解けば明白な事実ではあるものの、それ

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    アイスランドから見る風景:vol.15 女性警察官の躍進と男性看護師の嘆き

    先回に引き続き、今回も男女賃金差解消に向けたアイスランドでの試みについて考察してみたい。その中でも看護師と警察官の例を取ることにする。選んだ理由は、最近この2つの職種が交差する現場にわたし自身がちょうど居合わせたことだ。その上、偶然ではあるが、ここ10年来の男女比の是正に関し、看護師と警察官では大きな差が生じている。職業に対する世間一般の抱くイメージが、いかに職種の男女比に影響しているか、またそれを是正する努力をどのように行っているか、今回のコラムに綴っていこうと思う。 少

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    アイスランドから見る風景:vol.14 男女平等の縦と横

    先日、大変興味深い記事を読んだ。アイスランドでは、女性起業家が興した会社よりも男性起業家の会社のほうが、投資先に選ばれる割合が断然高いらしい。アイスランドの技術開発ファンドが投資先に選んだイノベーション会社26のうち、女性起業家の会社は1社のみ、男女混合は3社、男性起業家の会社は22社だった。これは出願者の30%が女性だったことを考えると、あまりに少ない割合ではないか、という疑問が提起された。 この状況について、女性起業家の一人が次のように考えを述べた。イノベーション分野に

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    アイスランドから見る風景:vol.13 コロナ禍の中での男女平等

    アイスランドはオミクロン変異種の感染拡大の真っ只中だ。南アフリカで特定された新変異種はイギリスに渡り、その後アイスランドに持ち込まれた。年末年始のホリディシーズンという人の移動が多い時期も、アイスランド政府の国境での感染予防対策に変更はなかった。旅行者にはワクチン接種証明と72時間前の陰性証明、アイスランド居住者にはワクチン接種証明と到着後48時間以内のPCR検査。島国であることから、日本のように厳しい水際対策を取る道も選べたが、アイスランドはそうする代わりに、16歳以上の追

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    アイスランドから見る風景:vol.12 2022年 新年の抱負

    遅ればせながら、謹賀新年、明けましておめでとうございます。昨年から定期的に書き始めたこのコラム、12回目で2022年を迎えました。アイスランドで生活をしていながらも、こうやって書いたものが日本にいるみなさんの目に留まるのは嬉しいものです。今年も2週に一度のペースを死守(!)しながら、興味深い題材を提供していきたいと思います。本年度も、どうぞよろしくお願いします。 ****閑話休題。あっという間に、1月も中旬になろうとしている。12月のクリスマス時には、オミクロン蔓延寸前のヨ

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    アイスランドから見る風景:vol.11 ドレスデンとフェルメール ドイツ編①

    今年の10月中旬、カメラのレンズを購入する必要に迫られてベルリンに飛んだ。その寸前にデュッセルドルフに住んでいる友人と話をして、ベルリンに行くならついでに今話題になっているフェルメール展を見に、ドレスデンまで足を延ばすといいと勧められた。フェルメール展、と聞いて動悸が早くなった。ドイツでの大学時代、17世紀のオランダ絵画はわたしの専攻だった。大学のゼミでアムステルダムに研修旅行をし、幾多の美術館や個人コレクター宅を訪問しながら、厳しいドイツ人の教授に絵画の見方を教わった。レン

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    アイスランドから見る風景:vol.10 消費を手放す

    先日、アイスランド人記者が書いた面白い記事を読んだ。内容はアイスランド人の消費について、タイトルは『買って、放つ (Að kaupa og sleppa)』というものだった。アイスランドの国民的スポーツである鮭釣りでは、釣った鮭を再び川に戻す、という習慣がある。それにちなんで、例え何かを買ったとしても、その行為に満足したら、買ったものを手放してみるのはどうか、という提案だった。手放すということは、買った店に返品するのではない。買ったものをタンスの肥やしにしたり、物置に入れたま

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    アイスランドから見る風景:vol.9 ワクチン未接種と外国人

    先日ドイツに住んでいる友人から、アイスランドではワクチン反対派はいないのか、という質問を受けた。その会話をした、およそ2か月前のアイスランドでは、国民16歳以上の接種率は80%を越えていたと思う。日本で約70%、ドイツでおよそ68%の国民が2度ワクチン接種を終えたことを考えると、少ない人口を考慮に入れても、やはりアイスランドの接種率の高さは群を抜いている。ちなみに今日アイスランドでは12歳以上の国民の89%が2度の接種を終え、約10万が追加接種を終えた。(2021年11月19

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    アイスランドから見る風景:vol.8 ”FALLING MAN” 世界が共有する9/11の記憶ー書評①

    ひとが過ぎ去った時間に思いを馳せるとき、脳裏に浮かぶ出来事には2種類あるように思う。ひとつは個人に還元できる実体験、そしてもうひとつは世代が共有したメディアを通した体験である。個人レベルの体験は、実際に自分の身の上に起こったことなので、良きも悪きもその人を形成する一部となる。それに比べると実体験ではないニュースは、時間の経過とともに色褪せて、その内容は曖昧になってしまうことが多いものだ。そのうちに、後日談や自分の想像と混ざりあって、どこまでが本当に起こったことだったのか、記録

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    アイスランドから見る風景:vol.7 碧(みどり)の湯・露天風呂へようこそ

    早朝に水面が凍る季節になった。紅葉の彩りを添えてくれた落葉樹も葉を完全に落とし、庭の佇まいは途端に淋しくなった。霜と雨に濡れた落ち葉の鬱陶しさに、もの哀しさはさらに積もる。針葉樹と苔類のわずかな緑が、庭に残された唯一の色合いだ。そのうちに雪が降り、そんな苔の色など寸時に地表から掻き消されてしまうことだろう。 木々の緑を想う以上に、わたしには庭を訪れる野鳥たちが恋しい。彼らの存在は、アイスランドの短い夏にさらなる楽しみを与えてくれる。アイスランドに来るまでは、わたしの中での身

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    アイスランドから見る風景:vol.6 ラビット・ホール

    レイキャヴィーク市は、幾つかの住宅地区に区分されており、隣接する地区の間には住居のない自然エリアが設けられている。その区画整備は、新しく都市開発された市の裾野部分、つまり街の中心から離れた、これまでは住宅が建てられていなかった場所において、特に顕著である。もともと手つかずの自然があった場所を住宅地に変えるのだ。私有地のまま残された土地はあるにせよ、自然保護の立場を念頭に、市が都市開発をしていることは明らかである。 この自然エリアは、その地域に住む住民にとって、身近に自然と親

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