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知らないと損する”頭金”の話

こんにちは、やー です。

住居用でローンでの住宅購入を検討している方は、頭金をどれくらい支払えば良いか悩むと思います。
今日はそこに結論を出します。



頭金は1円も出さなくていい。




今回は住宅購入でもっとも多い、子どもがいる世帯が住宅用物件を購入する場合についてお話していきます。
それでは早速、頭金を入れなくていい理由を説明していきます。


そもそも頭金とは

住宅ローンを組むと、借入れた元金に対して利息が載って、それを月々返済していくことになります。
たとえば3000万円の物件を35年ローンで購入した際、月々の返済額は3000万円/(35年 x 12ヶ月) ≒ 7万円 となるわけではなく、それに加えてさらに利息分(たとえば2万円)が載って、月々の返済額は9万円となります。
なので、実際は年間 9万円 x 12ヶ月 = 108万円支払っているのに、元金は年間で7万円 x 12ヶ月 = 84万円しか返済していないことになります。

利息は残りの元金に対してかかってくるため、元金が高ければ高いほど利息も高くなります。

つまり、元金が3000万円なら月々の利息は2万円だけど、元金が6000万円なら月々の利息は4万円になる、というようなことが起きます。

この元金を最初の借り入れ時点で直接減らすのが頭金を入れる目的です。
そして次のようなメリットが生まれます。
 ・利息の総額を少なくできる
 ・月々の支払いを少なくできる
  (or 返済期間を短縮できる)

一見、いいじゃんと思えるかもしれませんが、実際にシミュレーションしてみると、これらのメリットを捨ててでも、頭金を入れないほうがいい場合があることに気がつきます。



理由1 一番お金が必要な時期に金欠になる

早速、シミュレーションを見てみましょう。
総額3600万円の戸建を購入した際の、流動的な金融資産(貯蓄)の推移をシミュレーションします。
条件は下記の通りです。
 ・本人年齢:30歳 配偶者年齢:29歳
 ・こども二人:3歳+0歳(高校まで公立、大学は実家から私立へ通う)
 ・世帯年収:650万円(子育て世帯中央値)
 ・基本生活費:17.4万円(住居費、教・養育費以外で生活に必要な費用)
 ・貯蓄:500万円
 ・35年固定金利:1.4%
 ◼︎総額3600万円/頭金360万円(総額の1割) → 元金3240万円

他にも社会保険料や、固定資産税、児童手当など様々な要素を考慮しております。

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子どもが義務教育期間である40歳半ばまでは順調に貯蓄は伸びるものの、大学進学に伴い、貯蓄が急激に減少し、51歳時点で貯蓄がマイナスへ転じます。
子どもの教育費負担が一番大きく、一番お金が必要なときに、頭金で支払った360万円が頭をよぎるはずです。

では、頭金を入れず、フルローンで3600万円の住宅を購入した場合を見てみましょう。

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余裕とは言えないものの、マイナス貯蓄を避けることが出来ています
51歳時点での貯蓄額を比較すると、
頭金を360万円入れた場合:-7.3万円
頭金を入れなかった場合  :54.7万円
物件購入から21年後の貯蓄の差は ”62万円”一番お金が必要な時期に、頭金を入れた分の利益がまだ返ってきていないのです。

子どもが生まれるより10年も前に住宅購入をしていれば話は別ですが、
子どもが生まれてから住宅購入する場合、頭金を入れた分の利益が返ってくるのは、子どもが大学を卒業した後になってしまいます。


少し話は逸れますが、そもそもこのシミュレーションの家族のように、資金繰りがギリギリになってしまう場合は、そういった物件を購入するべきではありません。
病気や転勤などの都合により、その物件に住み続けられなくなった場合、身動きが取れなくなってしまうからです。
そうならないよう、住居用の物件を購入する際には、自分の手で資産推移のシミュレーションを行い、自分の希望と現実でバランスを取っていくのがベストだと思います。
そのために必要な知識をこれからドシドシUPしていく予定ですので、乞うご期待ください。

理由2 結局、意味がない

頭金を入れることで生じるメリットは、
 1. 利息の総額を少なくできる
 2. 月々の支払いを少なくできる
大きく分けてこの2つです。

これらのメリットも、1割程度の頭金であればほとんど意味がありません。
早速シミュレーション結果を見て比較みましょう。

頭金を360万円入れた場合(35年で返済)
1.  利息総額:824.0万円
2. 月々の返済額:9.8万円
3. 住宅ローン減税総額:285.0万円

頭金を入れなかった場合(35年で返済)
1.  利息総額:914.8万円 (差額90.8万円)
2. 月々の返済額:10.8万円(差額1.0万円)
3. 住宅ローン減税総額:316.3万円(差額+31.3万円)

住宅ローン控除とは?と思う方がいるかもしれませんが、順番に説明していきます。

まず利息総額について
最終的に支払う金額を減らす目的で頭金を支払うのは非合理的かもしれません。
はじめに360万円支払う余裕があるなら、頭金を支払わず、その分を投資に回して複利で増やしていけば、10年足らずで、利息減額分である90万円を回収出来てしまいます。
さらに投資で増やした後で繰越返済してしまえば、頭金を支払わないうえに利息総額を減らすことが出来ます。
このように、最終的に支払う金額を減らそうとすると、頭金を支払うことが
逆効果になることがあります。

次に月々の返済額です。
これは先に支払うか後に支払うかの問題です。
たしかに、先に支払ってしまえば月々の負担は軽くなったように思えますが、果たして本当にそうでしょうか?

元々支払っていた頭金が、ローン返済に当てられ、さらに2,000円ほどお得になっているだけだと考えるとどうでしょうか。
他にも用途がたくさんある360万円という大金を、毎月の数千円のために使ってしまうのはもったいない気がしてきます。

毎月の数千円は、格安SIMに変えたり、電気代を見直したりなど、捻出するには困難な数字ではありませんが、360万円を一朝一夕に用意するのはさすがに難しいですよね。
でもこの360万円が手元にあれば、教育費や副業、株式投資の資金に回したり、より多くの資産を集める活動に使うことができます。

トランプゲームの”大富豪”では、2やジョーカーなどの強力なカードの使い所が勝負の鍵を握るため、初手でいきなりそれらを出してしまう人はいません。
それと同じように、まとまったお金も使い所が重要です。
大きなお金を動かして、「負債」ではなく「ポケットにお金をいれてくれる資産」を増やしましょう。
お金の価値が暴落することがわかっていたり、もう労働期間も長くないので返済を短く済ませたいなど、特別な事情がない限り、大金はできるだけ手元に残しておくのが良いでしょう。

最後に住宅ローン減税についてです。

これはサラリーマンが使える数少ない節税対策のうちのひとつであり、フーディンのサイコキネシス並の破壊力があります。

控除には2種類あり、所得控除 と 税額控除 があります。
税金 = 稼いだ額 x 税率で決まりますが、
所得控除は、稼いだ額を見かけ上減らしてくれるもので、結果的に税金が減ります。
しかし税額控除は、この税金を直接減らしてくれるため、その効果は絶大です。

そして住宅ローン減税は税額控除であり、所得税と住民税を払わなくてもよくなるケースもあるほど、強力な節税メソッドなのです。
デーモンの斧を装備した人造人間3号くらい、強力に直接効くと言えます。

頭金となんの関係があるのかという方がいると思います。
この住宅ローン減税の控除額は、その年の住宅ローンの借り入れ残高の1%(10年程度)で計算されるため、頭金を入れると入れた分だけ控除が受けられない場合があるため、頭金とは大きく関係しているのです。

たとえば、3600万円の借り入れをすれば、その年の最大控除額は36万円となります。もし所得税+住民税が36万円未満であれば、所得税と住民税が0円となります。
なので360万円を頭金で入れてしまうと、その年の最大控除額は32.4万円となり、3.6万円分の控除を受けられなくなってしまいます

その結果、合計31.3万円分の控除が受けられなくなり、利息総額では90万円減額したものの、結果としてみると58.7万円しか得していない計算になります。

まとめ

ここまで、頭金を1円も出さなくていい理由をお伝えしてきました。
まとめると、

一番お金が必要な時期に金欠になる
頭金を払ったことで、後々子どもの教育費負担が増え始めたころに、貯蓄が厳しくなるとお伝えしました。

結局、意味がない
頭金のメリットである、
利息減額効果は、自分で頭金分の資金を運用した方が合理的
月々の返済額減額は、大金の使い道を毎月の返済に分散に当ててるだけ
で、意味がないうえに、
住宅ローン減税をフル活用できず、メリットがさらに薄れるとお伝えしました。

以上から、頭金は1円もいれる必要がないという主張をしておりますが、
なかには、頭金をいれなければ金利が上がる場合もありますし、やはりご自身で計算し、納得したうえで決断するのがベストだと考えています。

そのために必要な知識をこれからどんどんUPしていきますので、チェックをお願いします!


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