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『物語の欠片』のカケラの裏話2024パキラ・ルクリア
最後に橘鶫さんの物語の挿絵として私の絵が登場してから随分時間が経ちますから「KaoRuのヤツ、フラれたんかな?」って思っていた物語の読者の方々もいらっしゃったかと思いますが!いやいやワタクシ、結構しつこいんでございますよ!
ということで帰ってまいりました、鶫さんの物語の挿絵の制作過程について語る『物語の欠片』のカケラの裏話!
そもそもなんでアンタは鶫さんとコラボさせてもらってんの?という方はこちらをどうぞ↓
これまでのコラボの裏話はこちらから↓
普段はダブル主人公のカリンとレンの視点で進む物語ですが、今回は『天鵞絨色の種子篇』という副題で、毎話違う登場人物がそれぞれの視点で自身の過去を語る、という形で進められており、この中の数話で私が描きたいキャラクターを勝手に選んで描いた絵を挿絵として使っていただいています……つまり、とても(私にとって)贅沢なコラボなのでございます。
今篇でも複数枚採用していただいたので、私の絵が二点ほど鶫さんの物語に登場したら裏話を書く、という流れで行きたいと思います(よって裏話に同時に登場する二人は全然接点がない可能性も大きいです)。
尚、今回も私の挿絵はぜひ物語と共にご覧いただきたいので、こちらでは掲載せず、鶫さんの物語のリンクを埋め込みます。どうぞ物語と共にお楽しみください。
パキラ
今回の私の挿絵の一人目であり今篇の第一話を飾ったのは
ポハクの族長、パキラです!
鶫さんの物語で私の絵が最後に登場したのは昨年九月、番外篇パキラの息子のイベリスの物語。
このイベリスは私が特に思い入れの深い彼の両親のエピソードを思って描いたのですが、今回のパキラの物語はイベリスのお話の続きから始まる形となっています。
パキラは2022年の最初のコラボに続いて二回目の登場。
なぜ描いたのかって、好きだから。
しかし、やはりパキラは私の中で未だにイベリスのお母さんであるシュンランとの悲恋の物語が一番印象強く、イベリスに続いて今回の絵もシュンランとの昔話に戻っていくような雰囲気の絵となりました。
テーマカラーは相変わらずの砂漠色ですが、手の中の緑はかの金緑石を意識した色合いです。
実際、鶫さんがこの絵と共に綴られた物語の回想部分は、確かにシュンランのいた頃のお話なのですが、今まで詳しく語られなかったパキラの過去の一面と、彼の中で生き続けるシュンランの存在を知ることができる物語になっていて、パキラに傾倒する読者の一人として、このお話が読めて本当に良かったと思います。
……え?挿絵の制作裏話なんだから鶫さんの物語についてよりも絵について語れよ、と?
いやね、このパキラ、あまりにもすんなり描けてしまったので、裏話として書くことがほとんどないのですよ。
パキラは二年前にに最初に挑戦した時に少々(髭で笑)迷走したものの、その際私の中で鶫さんと共有した人物像がしっかり出来上がっており、パキラを描こうと思ったらその私の中のパキラを紙の上に具現化すればいいだけの状態になっているのです。
今回のこのパキラも、鶫さんから一発合格をいただきました。
ルクリア
今篇で次に私の絵と共に登場したのは水の化身であるワイのルクリア。
今篇で登場する絵の大半はこの春にまとめて描いたものなのですが、このルクリアだけは昨年12月に描いたものです。
彼女を描いた理由は「ルクリア以外の化身はみんな描いたから、化身をコンプリートしたい」でした。
描くにあたって『鳥の歌篇』のルクリア初登場の場面などを読み直したのですが、あまり具体的な容姿の描写は発見できず、結局「自分の中のルクリア」を描き出すことにしたのですが、私の中での彼女は「とても美しいけれど、そこまで女性性が強調されていない人物」で、私が普段描く絵のモチーフにとても近いところにいる人。
ちょっと(私にとってだけかもしれませんが)面白いのですが、この絵、geekさんがウミネコ童話集に寄稿された『はやて』の挿絵の三枚目のボツ作と合格作のちょうど中間地点で描いているのです。
普段私は描いてからすぐにスキャンするようにしているのですが、データの取られた日付から見るに
はやてボツ作 12月7日
ルクリア 12月14日
はやて合格作 12月21日
と、ちょうど一週間ずつ置いて描いています。
12月時点では気が付けませんでしたが、今振り返ると、「ルクリアを描くことが『はやて』三枚目の完成に繋がったのではないか」と思うのです。
もちろんこの三枚の間にもいろいろなものを描いています。
しかしルクリアもはやても他者様の文章に寄り添う挿絵という共通点があり、そこを意識せずにこの三枚、というよりルクリアとはやて合格作の二枚は描けなかったのではないかと思います。
そして二つの物語の最大の違いは「文章が先か後か」。
はやては既に完成されたお話につける挿絵ですが、ルクリアは絵の後に文章が書かれます。特にルクリアは今まで私の中に大きく印象的なエピソードを残していませんから、余計「エピソードの絵起こし」より「人物自体に迫る」部分が大きく、そうなると(特にルクリアのような人は)余計なものが削ぎ落とされた、よりシンプルな構図になります。
その「ルクリアを描く」を経たからこそ、ごちゃごちゃしすぎていたはやてボツ作から合格作へ進めたのかな、と今になって思います。
もう少し地に足が付いた(?)話をしておきますと、他の『物語の欠片』の挿絵や『はやて』の挿絵ではいつものHahnemühleのBambooを使用したのに対して、このルクリアは同じHahnemühleでも、Agaveという水彩用の紙を使っています。
この紙は水彩でも足し引きがかなり利くBambooと違って、あまり重ね塗りに向いていない、心持ちさらっとした印象の絵を描くのに向いています。
ですから「ルクリアを描くなら絶対この紙!」と前々から決めていて、Agaveの残りが少なくなってきたこともあって昨年12月、ルクリアを描くことを決心した、という経緯もあります。
ルクリアを描いた紙が手元のAgaveの最後の一枚で、生産終了なのか、最近どの画材屋さんでも見かけません。Hahnemühleのサイトでも見あたりません。
最後の一枚で納得のいくルクリアが描けた、そのことに満足すべきなのでしょう。
こちらの絵も鶫さんには一発合格をいただきました。
では、今回はこの辺で。
また鶫さんの物語に私の絵が二枚ほど登場したら裏話も顔を出します。
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灼熱のポハクと水の国ワイのコンビネーションだったのでちょっと悩みましたが青鷺名人にはポハクに、青いRu鳥にはワイに飛んでもらい、二次元の魔法で(魔法なのか?)空間を共有してもらいました。
何だか梅雨だけど真夏のように暑い(んですよね?聞く話だけで分かんないんですけど)日本を描いたみたいにも見えますかな。
豆氏のスイーツ探求の旅費に当てます。