カフカを広げて図書館、秋初め。
2004年9月プラハ
九月も中旬を過ぎて最高気温も二十度を下回る日が続き、プラハは順調に秋らしくなってきた。レンカはつい先日まで在籍していた大学から旧市街広場に向かって五分ほど歩いたところにあるプラハ市立中央図書館に来ていた。在学中から、学校の図書館よりもこの市立図書館のほうが好きだった。大学の図書館もそれなりの大きさがあったが、常に収容できる人数よりも多くの学生がひしめいており、空気が悪かった。あんな環境で勉強できる人間の気が知れない、とレンカはいつも思っていたが、今の