菅原大介|リサーチャー

UXリサーチ・マーケティングリサーチ・市場調査のトレンドウォッチャー/【ニュースレター…

菅原大介|リサーチャー

UXリサーチ・マーケティングリサーチ・市場調査のトレンドウォッチャー/【ニュースレター】「リサーチハック 101」(https://diisuket.theletter.jp)/【経歴】ex:マクロミル/【著書】『#マーケットリサーチ大全』ほか

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リサーチャーが毎日行っている、「調べる習慣」の身に付け方

「仮に、アンケートやインタビューが使えない環境にあったとして、菅原さんならどうやって情報を集めますか?」(実際には世の中一般的にそういう人も多いので)―オンライン学習サービス・Schooのディレクターさんから最近いただいた質問です。 時を同じくして、いつもリサーチ記事のウェブ連載を掲載いただいているヴァリューズの担当編集者さんからも、「ビッグデータなどのデータセットからは得られない、リサーチ活動ならではの魅力や価値は何ですか?」という質問もいただきました。 私自身は日頃、

    • 中計をリードするリサーチの成果物(相性◎×ジャッジ付き)

      会社の経営方針・事業方針を示す「中期経営計画」は、3~5ヵ年の活動方針を社内外に公表する重要資料です。中計の主管部門は経営企画部が担いますが、取りまとめ役の立場でもあるため、実際には様々な部門の協力を必要とします。 デジタルプロダクトを運営する企業においては、プロダクト戦略を描くプロダクト本部、リサーチ実務を管掌するデザイン本部、データ分析を推進するDX本部などにとって、過去の業務成果や未来の活動方針を伝達する重要な機会です。 ところが、数年に一度のタイミングでやってくる

      • ユーザーインタビューのモデレーターが上手い…!と思った瞬間

        デザイン・マーケティングの領域を行き来してユーザーリサーチを担当していると、自分が行う以外にも様々な立場の人がインタビュアー(モデレーター)を務めるユーザーインタビュー(ユーザーテストも含む)に立ち会う機会があります。 そうすると、「この人、モデレーターが上手い…!」と思う瞬間が何度も訪れます。不思議と、必ずしもモデレーターとなる人の職種・役職・資格・経験歴に限らず上手いのです。例えば私は、幸運にも以下のような神回に遭遇しました。 ・デプスインタビューの進行を相手の性格に

        • リサーチのトレンド 2023

          今年も1月〜12月までに「#リサーチハック」のハッシュタグでXに投稿してきた、デザイン・マーケティング・市場調査のリサーチ界隈で起きていた主なニュース・トレンドを7つのトピックに分類してお届けします。 リサーチのトレンド 2023 1.ChatGPT/生成AIの活用 2.VOCデータの再評価 3.ディスカバリーリサーチの価値浸透 4.リサーチ支援会社の合従連衡 5.リサーチツールの越境機能強化 6.リサーチデータベースの構築 7.案件依頼・相談フローの改良 2023年も新

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        リサーチャーが毎日行っている、「調べる習慣」の身に付け方

          有料サービスの方向性を考える会員アンケートの取り方

          ファンクラブや優待プランなどの有料会員サービスは、利用メリットの旗印が鮮明な割に、「新規が増えない/退会申込が多い」「売上/利益インパクトが中途半端」など、有料の価値が社会でも社内でも認識されず、運営意義が問われることが少なくありません。 同じ状況は、本体事業から付帯的に立ちあがるオプション課金や物販展開でも同様に見られ、「売上の足しにはなっているけど、制作費・人件費を含めると赤字で、かといって廃止の判断が難しく、そのまま運営だけが数年続いていく」ケースもよくあります。

          有料サービスの方向性を考える会員アンケートの取り方

          アプリの利用習慣をわざわざアンケートで聴くメリット

          「意気込んでユーザーアンケートをやってみたが、だいたいログデータでわかっていた結果だった」(あるいは、周りがそのような微妙な反応だった)―とりあえずユーザーアンケートに手を出してみたものの期待したような業務成果に至らなかった、という状況は、データ分析体制がある程度整いつつある企業や組織で見られる調査課題です。 また、社内に数あるデータ分析業務の中でもアンケートが後発の存在だと、既に確立されている業務と同等あるいはそれと異なる分析パフォーマンスを求められます。分析しようとして

          アプリの利用習慣をわざわざアンケートで聴くメリット

          スタートアップのユーザーリサーチ101

          初心者対象のユーザーリサーチ講習セミナーに今年20件(※)出演する中で驚くことがありました。それは、最も多い質問が「どのタイミングで実施するとよいか?」「どれくらいのサイクルが適切なのか?」という内容だったことです。(※2022年1月~10月時点) これは本当に意外でした。順当に考えると質問法や好事例についての質問が上がりそうなものですが、調査の内容以前に、皆、業務計画のところで疑問を持っていることが多かったのです。(もちろん質問数や選択肢数の上限適正など定番の質問も多いで

          スタートアップのユーザーリサーチ101

          メルマガ施策の改善ならメルマガ会員へのアンケートで

          企業のカスタマーサポートセンターのコールや問合せフォームには、メルマガに関するものが少なくなく、「配信数が多い」「配信時間帯が夜遅い」「登録解除できない」などをメインに、マーケティング施策としては異例の量の苦情が集まってきます。 この企業側からの一方通行的な施策に対する見直しを求める声が上がる一方で、もちろんメルマガはユーザーに有用な情報をもたらす存在として、新着メルマガ・おすすめメルマガ・クーポンメルマガ・特集メルマガなどの利点は、よく認識されています。 メルマガ運営を

          メルマガ施策の改善ならメルマガ会員へのアンケートで

          動画コンテンツの視聴者フィードバックをアンケートで集める方法

          近年、企業が生み出す動画コンテンツは、「情報コンテンツ・キャンペーン告知・生配信イベント・ライブコマース」などの形で展開され、インパクト・情報量・ライブ性・シリーズ展開などの訴求力の高さから、最重要のコミュニケーション施策の一つです。 一方で、「労力の割に露出が伸びない」「企画演出の判断基準が無い」「タレント起用効果が不明瞭」など、継続的な運営や効果的な活用に至るには改善活動が欠かせず、動画配信における露出力・訴求力・計画力に対する懸念事項は尽きないものです。 そこでおす

          動画コンテンツの視聴者フィードバックをアンケートで集める方法

          オウンドメディアの企画を読者アンケートを使って洗練させるリサーチ方法

          「自社メディアの発信内容がビジネスと連動していない」「掲載しているコンテンツが他のメディアとあまり変わらない」―オウンドメディアの運営は、活動の自由度こそ高いものの、事業活動から孤立したり、制約で個性を出しづらい難しさがあります。 加えて、編集部内においても、取りためている読者データや過去記事コンテンツをあまり活かせていない課題を持っていることが多く、足元の企画は進めていても、「過去の振り返り」や「未来の見通し」をなかなか提示できないジレンマを持っています。 そこでおすす

          オウンドメディアの企画を読者アンケートを使って洗練させるリサーチ方法

          横断的なデータドリブン組織に必要な、定量調査と定性調査の使い分け方

          過去にアンケートを実施したことがある方に質問です。なぜ「アンケート」という調査方法を選んだのでしょうか?その案件は「インタビュー」ではだめだったのでしょうか?そもそもこの2つの調査方法には実施形式以外にどんな違いがあるのでしょうか? 調査の監修を依頼される立場で相談者と話すと、「なんとなくアンケートだったから」「アンケートと決まっていたから」「インタビューは慣れていないから」など、特に深い理由はなく決定される(積極的な選択ではない)ことが多いように感じます。 実は調査のプ

          横断的なデータドリブン組織に必要な、定量調査と定性調査の使い分け方

          公式SNSの運営価値を高めるユーザーアンケート活用法

          「SNSの仕事価値が組織に浸透しない」「施策の成果以前にブランド力が弱い」―SNSの担当者が活動初期あるいは組織変更と共に悩む課題です。また、会社の文化によっては次のような業務に対する定番の指摘も入り、取り組む以前のハードルがあります。 ・ビジネス貢献がよくわからない ・ツールを増やしても大変なだけ ・ユーザーと交流するのはリスク さらに人員体制によって、専任体制下では業務が注目されていても孤立してアピール手段が不足したり、共同体制下では惰性的な運用により大きな成果は上が

          公式SNSの運営価値を高めるユーザーアンケート活用法

          ユーザーリサーチにおける、周年キャンペーンの活用法

          「リサーチの必要性が(社内に・顧客に)理解されないのですが、どうしたらよいでしょうか?」―調査活動の入口に立っている皆さんから私がよくいただく質問です。リサーチとは言わば研究開発の先行投資のようなものなので、決裁者や取引先に価値を事前に認識してもらわなければいけません。 以前まで私はこの質問に対して、「満足度調査」あるいは「競合調査」が組織の中で始めやすいテーマです、と答えてきました。しかし最近では、「始めやすいからと言って続けやすいテーマであるかどうか」はまったく別問題で

          ユーザーリサーチにおける、周年キャンペーンの活用法

          この調査リリースがすごい!~リサーチPRが上手い企業の特徴~

          「調査を活用してサービス広報を強化したい」、それと同時に、「調査的にも間違いのないデータを出したい」―調査会社在籍時から事業会社勤務の今に至るまで、8名ほどの広報担当者と一緒に仕事をしてきて、初めに聴く目的や動機がこの言葉でした。 調査データを活用してプレスリリースを行う「調査リリース」業務は、別の専門領域であるリサーチ技能を問われる特異な業務です。実施頻度で言えば毎月かそれに準じたサイクルであるにも関わらず、どこかでやり方を習う機会も一般的にはありません。 また昨今は、

          この調査リリースがすごい!~リサーチPRが上手い企業の特徴~

          リサーチを始める前に知っておきたいこと

          「リサーチって何から始めたらいいですか?」(自分もこれから業務の中に取り入れていきたいのですが)―日頃リサーチについてのノウハウ・トレンドを発信していて、ゲスト出演するセミナーの場やクライアントの皆さんから私がよく聞かれる質問です。 この問いはシンプルかつ本質的で、「できそうなこと・参照できるもの」はいろいろあるけれど、周りに気軽に聴ける人がいない、組織内にやっている人がいない、という状況を表しています。確かに理論や手段の話ほど立ち上げ方の知見は見聞きしません。 そこでこ

          リサーチを始める前に知っておきたいこと

          「#リサーチハック」で振り返る、リサーチのトレンド 2021年

          リサーチのノウハウ・トレンドをTwitter上で発信する「#リサーチハック」の中から、リサーチ業務従事者あるいは調査業界にとって今年の象徴となるトピックス(調査テーマ・調査サービス等)を、2021年の振り返りとして下記5つの項目にまとめました。 私の立場は公私でリサーチを扱う一個人に過ぎず、各トピックスの選定理由も極めて定性的ですが、調査手法を固定・特化していないからこそ感じる変化があり、同じく何かの縁でリサーチを使う機会のある皆さんにこの記事をご参照いただければ幸いです。

          「#リサーチハック」で振り返る、リサーチのトレンド 2021年