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エンジニア・キャンプ YAMAGUCHI④ 発表編

こんにちは。デジテックfor YAMAGUCHI運営事務局のもんじゃです。
「エンジニア・キャンプ YAMAGUCHI」最終回は、渾身の発表の様子をお知らせします。

発表順

各チームともスタンバイOK。発表順は大事ですね。M-1グランプリのように順番が結果を左右すると言っても過言ではありません。(いや、今回はコンテストじゃない)
ふと見るとスクリーンの前の机の上に、途中おやつで出した個包装のバームクーヘンが等間隔に4つ置いてあります。

これは何だ

これはファシリテーターが準備した順番決めのくじでした。裏に番号が書いてあります。何と気の利いた趣向・・・固い頭では出ない発想です。
順番は①獣害チーム、②見守りチーム、③お墓・空き家チーム、④草刈りチームに決まりました。

発表開始!

①獣害チーム

作成したのはWebアプリ「獣害マップ」です。
メンバーは、地元の方の「経験と勘で、見回りや罠を設置する場所を決めている。情報共有が課題になっている。」といった旨の説明に着目し、被害が起こる前に何か対策するための方法を考えました。
だとすれば、サルの出現状況のデータを取得し、可視化できれば、サルの動きを把握でき、見回りや罠の設置場所の検討などに役立ちそうです。

そこで、被害を受けたときやサルを見かけたとき、その場で写真を撮ってアップロードすれば、サイトの地図上に表示されるアプリを作成しました。投稿が多いほど赤くヒートマップのようになっています。

アップロードの手順さえ覚えてもらえれば誰でも使える

ポイントは何といっても使いやすさです。写真を撮ってアップロードするだけです。サルを写すとなると難しいでしょうが、必要なのは写真についている位置と日時の情報だけなので、何が写っていても問題ありません。アップロードするだけでデータが蓄積され、可視化されていく仕組みです。

今後の改善点として、猟友会の方へのリアルタイム通知や、被害状況など写真の有効活用、サル発生地のAI予測など。まだまだ伸びしろ十分です。

また3Dプリンターで、地元の方が持ちやすいプレートも作成。地元の方が親しみやすいよう配慮が行き届いていました。

大量生産して配りたい

②見守りチーム

作成したのはIoTで見守るぬいぐるみ「わくわくベアー」です。
4つのテーマの中で、地域からのニーズはあるものの、何を課題の本質と設定するか最も悩ましい課題だと思っていました。チームでは、高齢者の見守りと子どもの地域活動を掛け合わせ、その結果として「見守り」の解決を考えました。

具体的な内容は、
(学校)タブレットで子どもが高齢者に「あいさつ」(ボタンを押す)
(高齢者宅)ぬいぐるみが手を挙げるので、ぬいぐるみの頭をなでる
(学校)なでられるほど学校にあるメーターが上がっていき、タブレット上で誰がぬいぐるみをなでてくれたかを確認できる
 ⇒ 一定期間リアクションがない場合、市民センターに連絡し安否を確認

実演ではベアーの手が挙がると大きな歓声が

将来的には、遠方の家族への通知や、子どもたちが「わくわくベアーキット」を作って仕組みを学ぶ機会を設ける、ベアーが声を出せるようにするなど、楽しく地域を巻き込んだ展開が考えられます。

導入後の展開もしっかり検討

技術面として、ベアーの腕はタブレット操作に反応し、サーボモーターで上がる仕組みになっています。ベアーの頭にM5Stackを使用し、なでられたら距離センサーが反応します。学校のメーターもM5Stackで動きます。
子どもたちが作ることを想定し、できるだけ安価で簡易な方法を採用しています。

③お墓・空き家チーム

作成したのは「ハウスAさんからのお手紙」です。
空き家の状況を定期的に家主に知らせ、日常的に空き家に対し意識を持ってもらうことで、状況の伝達だけでなく、今後空き家をどうしていくか(住む、貸す、手放す)を考える契機になるサービスです。

具体的には、
空き家に湿度センサーやカメラを設置し、雨漏りの有無や草の生育状況をセンシングします。データを集積し、家主には「調子はバッチリです」「そろそろお掃除してもらえるとうれしいな」など空き家(の視点)からLINEメッセージが届きます。

草がボーボー生える状況

湿度情報はM5Stackから、カメラ画像はラズベリーパイからそれぞれネットワーク経由で例えば市民センターのPCに送られます。IFTTTというアプリを経由してデータを解析して作成したメッセージを、LINEで家主に送る仕組みです。
また、草の生育状況は、現地の画像からOpenCVという特定の色を検出するプログラムを用い、草の色を数値化して判定します。

システムの詳細を説明

今後は、4Gなど一般的なネットワークを使ったデータ転送への改善や、各データを総合評価する仕組みの導入などが考えられます。
IoTやプログラムなど複合的に組み込んで1つのサービスの構築を目指す、非常にレベルの高い作品でした。

④草刈りチーム

作成したのはイベント企画「ONO QUEST」です。
小野地区では、毎年必ず伸びる草に対し、それを刈る担い手が不足してきていることから、その担い手を呼び込むイベントを企画し、そのWebページやプロモーションビデオを作成しました。

写真は当日に撮影 このドアはアクトビレッジに実在

イベントの内容ですが、
開催時期は、草が生い茂る2か月程度の期間です。
・小野地区に眠る秘宝(宝箱)を探すべく、まずはアクトビレッジおので「ミッション」として、草を刈る場所のヒントページに飛ぶ二次元コードと、草刈りの道具を受け取ります。
・場所を探し当て、3~4袋分の草を刈って写真を投稿します。
・再び設置された二次元コードを読み取り、最終の宝箱がある場所につながるキーワードを集めつつ、4か所程度草を刈ります。
・宝箱を発見したら、中の二次元コードを読みとり、記載のフレーズをアクトビレッジのスタッフに伝えると、ゲームクリアです。

地元住民への聞き取り調査などあらゆる手段をつかって

実際にイベントページを作成しています。若い世代も参加したくなるよう見た目にこだわったデザインになっていて、今後の改善点は、よりリアルな、スマホにも対応できるような表示にして臨場感を持たせたい、とのこと。
短い時間で、イベント参加者に必要な地図や写真を表示する、わかりやすいページができました。

講評

ご協力いただいた地元の方に講評をいただきました。
導入するとすればという視点で、将来的な可能性を感じていただき、今すぐにはなかなか難しそうという現実的なご意見や、獣害チームの作品は、まさに関係者で出没情報の共有をしていかないといけないと考えていたところで、今すぐにも使いたいといううれしいご意見をいただきました。

また、草刈りイベントは、地域にいかに人を呼び込むかという観点から、小野地区の活動活動と組み合わせてイベントができれば、若い世代に関心を持ってもらって活動に参加してもらう非常にいいアイデア、というコメントをいただきました。

お疲れ様でした!

2日間あっという間に無事イベントが終わりました。参加者からは、
「様々な方(社会人や学生等)としっかり交流できた」
「若い方の利用者目線のアイデアに触れ、自身の考えも変わった」
「新たな技術に触れることができた」
「地元の方の考えを聞く貴重な機会になった」
などなど、非常に好意的なご意見を多くいただきました。

今回のイベントを通じ、参加者の皆さんが「自分もデジタル技術を使って何らかの形で地域課題の解決に貢献できる」ということを知ってもらえたら、このイベントは大成功です。
また本イベントは、小野地区の方々に趣旨にご賛同いただき、準備から開催までしっかりご協力いただけたことが非常に大きく、それゆえ満足度の高いイベントにできたと思っています。

今後に向けて

小野地区の方へはあらためて機会をいただき、本イベントの報告と作成した試作品の紹介をすることにしています。もちろん地域のご意向に応じて、ということになりますが、この中で何か1つ実証につながるかも・・・という期待も持っています。もし、本当にそんなことになれば、「実証編」の記事でお知らせします。

今回、ご参加いただいた、参加者の方々、地元の方、関係者の皆さま、本当にありがとうございました!

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