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「私にしか出来ない仕事をする」ということが、そのまま「会社にとって必要な人」になるわけではない。

これ、似たようなことを言っているようでいて実は間違っちゃうと全く正反対な結果を生んでしまう例かなと。

「私にしかできない仕事をする」

唯一無二の存在というか社会価値も高く、企業にとっても辞めてほしくない優秀な人材であり、この人を求めて転職市場でも引っ張りだこ。もちろん給料もぐんぐん高くなっていく印象がありますよね。当然、会社にとって必要な最重要人材な見本みたいな存在でもあると。

例えば、
・何か困ったことがあっても私が対応すれば解決する。
・みんな私にいろんな事を尋ねてくる。
・その資料は私にしか作れない。
・私がいないと会社が回らない。
などなど

確かにそうなんですが、実はこの「私にしかできない仕事」を間違えて捉えてしまうとこれは会社にとっては困ったことになります。

それが「属人化」です。

「属人化」というのは、特定の業務や作業が特定の担当者や人材の経験やスキル等に過度に依存してしまう状況を指します(by Serch Labs AI)。
つまり、担当者がいないとその作業ができない、他の人がその業務のやり方を知らない、十分に理解していないという状況になってしまい、不在時に対応方法がわからず、製品やサービスの品質に差が生じるといった問題が発生します。

でもたしかに「私にしか出来ない」ということでは、私が休むと他の人じゃ替えが効かないのでたしかに「私にしか出来ないこと」をしていますし、休まれると困るし、辞められても困るので「会社にとって(見かけ上)いないと困る人」であることは確かです。

でもその状況が会社にとって好ましいのかと言われると、それは好ましい状況ではありません。その人がいれば仕事は進みますが、い無ければ進まない。また、その人のこなせる仕事量が会社が進めることができる仕事量になってしまう。つまり、その人の存在そのものが会社を左右するボトルネック(阻害要因)になってしまうのですから、「会社にとって(本当の意味で)必要な人である」とはいえません。

ボトルネック(阻害要因)は存在してはいけないのです。

では、「会社にとって(本当の意味で)必要な人」とはどういう人のことを言うのでしょうか?

それを紐解くのが「標準化」です。
「標準化」というのは誰か特定の人しかできないような難しいことを、「誰でも」「簡単に」「同じ手順で」「シンプルに」「同じ品質で」できるようにすることです。あるいは、習熟に長い時間がかかるようなことを短い時間でできるようにすることも標準化です。
実は「属人化している業務を標準化する事」が、実は会社にとって必要な人、価値の高い人になる事なのです。

たとえば、ある資料を作成する仕事があったとします。

その資料の作成にあたっては、複数の箇所からデータを持ってきて、その都度データを加工してグラフ化し、必要に応じてコメントを記載して行く必要があります。特にそのコメント書くにあたっては過去のデータ推移を理解しつつマーケットトレンドを加味しながら考察を進める必要があり……。

とまぁ、聞いただけで複雑ですし、人に教えるのもなんだか難しそうだし、そもそもできそうな人は周囲にいないし、いままで自分しかやってこなかったことだし、自分でやった方が早い気がするので、いつも自分だけでやってきました、なんて話はよく聞きます。

で、それが属人化なのですが、その面倒くさそうな仕事を誰でも読めばできるようなスタイルでマニュアル化し、プログラムを作って誰でも正確な計算ができるようにしてグラフ化し、コメントを書くにあたっての注意事項や参照ポイントを明文化して、まぁ自分が休んだとしても誰か他の人がそのマニュアルを見ながらであればちょっと時間をかければでできてしまうように仕事内容を整理して整えておく。

それが標準化です。

「いや、だってそんな標準化をしちゃうと、私がいなくてもできるのだから私の存在価値がなくなってしまう!」
なんて思う人が出てくるかも知れません。

でも実はそこがポイントで、この「標準化」って門外漢の人が行うのは難しくて、なかなか上手に標準化ができる人って少ないのですね。
一方で会社の至る所に属人化した仕事が存在しています。この至る所にある属人化した仕事を標準化すると、実は会社としてはとても効率化が図れます。だって、「あの人じゃなきゃできない」という仕事を、誰がやっても出来る仕事にするのですから、会社から見たら対応する人も減らせるし、教育期間もコストも減らせるし、もっとたくさんの仕事を少ない労力でこなせるようになります。社員から見ても、仕事が標準化されていると、仕事を覚える労力が減りますし、そもそも仕事に余裕ができます。

標準化ってどんどんやっていった方が良いと思いませんか?
だって、属人化した仕事をたくさん抱えたって、自分も休めないですよ。

と、属人化した仕事を標準化する人がいてくれれば会社としては非常にありがたく、そんな人は会社にいて欲しいと言うことになります。

すなわち、それこそが「会社にとって(本当の意味で)必要な人である」ということになります。

業務の習熟は、まず自分が高いクオリティーでアウトプットを出せるようにトレーニングしていきますが、それが一定のクオリティーでできるようになった次の段階には、誰でもができるように標準化していく事が、実は自分の価値を高めていくことの一つなのです。

決して、自分で仕事をいっぱい抱えてこなしていく事じゃありません。

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