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北海道のド真ん中で私は財布を落とした。

2018年11月初旬
他より一足早く秋から冬に移り変わろうとする北海道を一人旅をしている時、私は財布を落とした。

・現金0円
・クレカなし
・免許証なし
・ガソリン約半分(走行可能距離150km)
・現在地(川湯温泉)から新千歳空港まで330km

絶望的な状況であった。

これを読んでいる人のなかでは実際に財布を落として「財布 落とした」と検索で引っかかった人もいるかもしれない。
気持ちは動揺し焦っているかもしれないが、とりあえずコップ一杯分の水を飲んで大きく深呼吸しよう。

この記事の最後に、わたしのしたこと・あなたが出来ることをまとめているのでそこまで飛ばしてください。

さて、それでは3泊4日の道東旅を楽しんでいるちょうど3泊目の夕方に話を戻そう

11.2 16:30 屈斜路湖
この日は前日の雨とは真逆で雲ひとつない快晴の一日だった。
屈斜路湖のコタン温泉で綺麗な夕陽が沈むのを白鳥と共に眺め、日々の疲れを全て吹っ飛ばしたところでその場から10kmほどにある川湯温泉の宿をオンラインで予約
さっそくチェックインすることにした。

11月に入ると途端に旅行客が減る北海道
宿は古い温泉旅館で宿泊者はツアーで訪れていた団体老夫婦たちと私だけだった。
荷物を降ろし、前日から狙っていた星空を眺めにいこうじゃないかと宿を出ようとした。
入泉後で喉が乾いていたので財布を取り出し、宿の売店で140円のジュースを購入し、再び車のエンジンをかけた。

次に財布を無くしたことに気付いたのはまたこの宿に帰ってきた20:00のことだった。人生で初めて財布を落とした。

意外と頭は冷静で現在の状況を整理、イマの私は何ができるのか無意識に思考していた。

どうやらiPhoneはあるようだ。車の鍵もあるカメラもある。スーツケースは宿にある。

無くしたのは財布だけか
ではどこで落としたのか

宿〜摩周湖〜屈斜路湖〜宿

私は日が沈んでから再度宿に戻ってくるまでに2箇所に立ち寄った。
落としたのはそのどちらかであることは間違いない。念のため宿のスタッフに財布の落し物はないか確認、荷物も全部出して確認してみる。

やっぱりない。
それほど時間も経っていないしその2箇所に急いで戻ることにした。

時間は戻って

17:00 摩周湖

もう陽は暮れ新月の真っ暗な夜空にポツンポツンと星が見え始めた。北海道の11月は思っていよりだいぶ寒かった。車内の温度計で確認したところ気温は5度。東京を出るとき20度を超えていたことを考えると極寒だ... 

東京での格好+ヒートテックのみで試される大地に来たのが最大の失敗だった舐めすぎていた。しかし星が綺麗だ... ここまで来たのだ撮影しよう!

星撮影ってのはリザルトと比べてかなり地味でシャッターを切ってから20秒前後待たないといけない。極寒の中20秒ジッとしているのが無理だった私はそこらへんを全速力でグルグル走ったww きっとこの風景を見ていた人がいたら変人扱いされ通報していただろう。結局この場所には10分くらいいて、展望台への階段をうさぎ跳びしたりRADWIMPSのトレモロを流して大声で歌いながらまた走ったりした。

え、ちょっと待った 

財布落としたの絶対ここじゃん!星の綺麗さに魅了され、漆黒の夜に翻弄され、寒さに感覚を奪われた私はここで財布を落としたに違いない!運転中に気付いた私はこの付近を念入りに探そうと思い車をさらに走らせた。

20:30 摩周湖

現場に到着すると一人のカメラマンさんがいて撮影をしていた。カメラマンさんにも財布を見なかったか聞いたがどうやら見ていないらしい。iPhoneのライトで足元を照らしては隅々まで探した。けどない。私がここに来てから3時間30分が経っていた。もしかしたら前に来たカメラマンが拾って行ったのかもしれないがとりあえずもう一箇所の撮影した場所も確認しよう。

また時間は戻り

18:30 屈斜路湖

駐車場に車を止め、他の光が干渉しないところを探し、天の川の位置を確認、撮影。摩周湖は風があって寒かったが屈斜路湖はほぼ無風。寒さも感じるが身体も慣れてきた。撮影もある程度やったところで星眺めるのも首が疲れるし湖の砂浜に寝っ転がりBGMを変えて HONNEのWarm on a cold nightをかける。

こんな星空眺めながら

「綺麗だね、好きだよ」

なんて言ったら相手が広瀬すずだろうが池田エライザだろうがアンハサウェイだろうが食い気味で「私も...!」って言ってくれるだろうなぁ(暗くて顔見えんし)なんて妄想している頃には財布を落としていることを知る由もなかった。

結果ここに戻ってしばらく探したけど見つけたのは大量の鹿とキツネだけだった。

ここでついに警察に電話した。

・財布を落とした事実、財布の色形、ブランド
・現金がいくら入っていたか・免許証・保険証
・クレジットカードの枚数、種類等

を伝えると、遺失届の受理番号を教えられた。クレジットカードを停止するのにこの番号が必要になるようだ。

私はすぐにクレジットカードを止めることはしなかった。私には3社分のクレジットカードがあった。止めるとしても2つを優先的にし、ETCに紐づいているクレジットカードは一番使う頻度が少なく限度額が低いので最悪の場合でも空港に着いてから止めるべきだと思っていた。さらに落としたと思われる場所が観光客がたくさんくるような忙しいところではなく深夜の星撮りが訪れるくらいのニッチなところだったので届けてくれるだろうという謎の自信もあった。

私が一番最初に行ったのはiPhoneのWalletに入っているSuicaを最大限にチャージ。これでコンビニまで行ければ飢え死にすることはなくなる。

レンタカーで運転していることも伝えたが、免許証も無くしていることには触れて来なかったので私もあえて触れることはしなかった。

では、もし私がこの状況で運転していたとするとどうなるのか。

免許不携帯

運転中に警察官に免許を確認された時に不携帯であると罰金3,000円が発生するが、違反点数の加点はない。つまりゴールド免許の人はそのまま更新することができる。

あとはガソリンをどうするかぁと思いつつとりあえず宿に戻って温泉に浸かり何ができるか考えた。

・警察に現金を借りる
→どうやら警察は個人に現金を貸し出すことはできない。たまに警察官がお金を貸してくれるみたいな話を聞くがそれは善意でのポケットマネー
・宿の人に現金を借りる
→できるかは話す人次第…自分次第
・宿の銀行口座に家族や知人に前もって入金してもらいそれを現金化
→次の日が土曜日でさらに文化の日…銀行システムオールダウン
・北海道に住んでいる知人に助けてもらう
→札幌や函館には知人がいるが札幌駅から車で5時間の道東まではさすがに来てくれないだろう…
・消費者金融に借りる
→究極の手ではあるがこれも身分証がないと借りれないらしく、断念
・持っているもの(カメラ等)を売って現金化
→大きい街に行けばできそうだ

Twitterで現状をツイートすると電子マネーを使えるガソリンスタンドがあることを教えてくれる友人がいた。友人に感謝!2018年のキャッシュレス社会に感謝!これが一番問題解決に近い道のりだ!川湯温泉付近は大きなガソリンスタンドはないが網走や釧路など都市まで100km以内で行ける!そこまで行けばなんとかなるかもしれない。時間はもう22時になっていたので明日ガソスタ営業開始したら電話をかけようと思い就寝Zzzz

11.3 早朝

朝霧が濃くガソリンの心配もあるがテンションがあがりすぎて撮影に向かった。

さて、朝風呂も入り、少しずつ営業を開始したガソスタも出てきたので近くから電話をかけることに...
町内のガソスタは4件 ここでApple Pay(iDかSuica)が使えれば完璧!だったのだが全滅

次に釧路のガソリンスタンドを調べると19個あることがわかった。さすがにこれだけあれば使えるところあるだろうと釧路駅に近いところから順にかけることにした。1店目ダメだ... 2店目ダメだ... 5店目...10店目...やばい...

と諦めかけていた合計17店目 ENEOS Dr.Drive十條前店で「iDとQUICPayなら使えますよ」と言う神のお言葉を聞くことが!!

どこかで大丈夫だろうと思ってはいたが、これで今日の21時の便で帰って明日からまた普通に仕事ができると確信がもてた。セイコーマートでサンドウィッチをSuicaで購入。釧路まではつけるだろうが不安だったので少しでも燃費がのびるようエンジンの回転数を2000回転を超えないことを意識して運転した。ここまで安全運転するのは免許取得した時以来かもしれない笑

1時間ほどで釧路のガソリンスタンドに到着し、セルフで給油。本当にiDで支払えたぞ!

よっしゃ!釧路で昼飯でも食べて寄り道してから新千歳に帰るか〜と思いながら給油していたちょうどその時電話が...

?「こんにちは ○○さんのお電話番号ですか?」

私「はい」

?「弟子屈警察署のものですが昨日遺失届を出していたお財布と思われるものが摩周湖で見つかりました。」

私「本当ですか?!」

警察署「はい。摩周湖の方で見つかったとご連絡がありました。現在お財布は摩周湖レストハウスにありますが受け取りに向かわれますか?もし遠くにいるようでしたら警察の方で預かり免許証に記載されている住所に着払いで郵送することも可能ですが」

私「今すぐ受け取りに向かいます!ありがとうございます!」

あぁ...ありがとう北海道 ありがとう日本 ありがとう弟子屈警察署のみなさん ありがとう摩周湖で見つけてくれた人 ありがとうTwitterのみなさん ありがとう温泉 ありがとうセイコーマート .... and more
これからはもっと人に優しくしよう。

さらに1時間かけまた摩周湖に戻ることにした。ガソリンも満タンになり気持ちもルンルン!窓を全開にしてTom Mischのsouth of riverを熱唱しながらの運転はとても清々しく、初めて「ショーシャンクの空に」を観た時と同じような感覚だった。

摩周湖レストハウスの駐車場に着くと駐車料金500円を求められた。
あ、やばい...現金ない...違う。財布取りに来たんだった。

私「財布を取りに来た者です。」

レストハウスのおじさん「おおぉ、よかった。そこ車止めて」

名前を確認すると

「もう落とすんじゃないよ。気をつけてね。」と財布を渡してくれた。

私はそのお財布から500円玉を取り出して駐車料金を支払い、この21時間で3回目となる摩周湖を見ることにした。

星空が覆っていた摩周湖とはまた違い、美しい景色だった。
財布を落とすなんて経験人生で初めて。クレジットカードが悪用されたり現金を抜かれることがなく持ち主にしっかり戻ってきたのでネタ話として話すことができる。落し物や忘れ物は気を付けていても起こってしまうことがある。その時慌てずどう対応するのかが大事なのかもしれない。分かっているけどそれでも落とさないよう気をつけよう笑

財布を落とした話はこれで終わりなのだが、私と同じ状況になっている人の為にもう一度実際私がしたこと・あなたができる方法を箇条書きでまとめて置こうと思う。Good Luck あなたも絶対お家に帰れるよ。

私がしたこと

・Suicaにできるだけチャージする
・警察に遺失届の提出・落としたであろう箇所に戻る
・Apple Payでガソリンを入れる
・温泉に入り一旦落ち着く

他の方法(財布以外にもスマホなど全てを無くした場合も含む)

・警察に遺失届の提出(まず真っ先にすること)
・クレジットカードの利用停止(その次にすること)
・平日であるならゆうちょ銀行の電信現金払が最善の策であろう
・ SNS等で知人に連絡し直接来てもらう。
・近くにいる人に現金を借りる
・持ち物を売り現金化する


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