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短編

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思いついたこと。見た夢の書き起こし。あるいは習作。
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#逆噴射小説大賞2019

阿吽昇天:装震拳士グラライザー(68)

阿吽昇天:装震拳士グラライザー(68)

「……で、だ」

 敵から奪った剣を喉元に突きつけたまま、俺は変身を解除する。

「リュウ。お前を蘇らせた黒幕は、誰だ?」

「ゲホッ……はは……息上がってるの初めて見たなぁ、グラライザー」

 この状況でなお、そいつはペテン師めいた笑みを浮かべている。

 人造人間リュウ。

 世界征服を目論む秘密結社<イザナギ>の大総統にして、俺の最強の宿敵だった男。

 そう。宿敵、だった。

 ──50年

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流れ転がる果てに因り-環紡術士道中記-

流れ転がる果てに因り-環紡術士道中記-

 丘陵地が星空に照らされて、稜線が闇の中から浮かび出ている。一方、空を回る巨大な光の環は地上を照らしはしない。ただ私の目に眩しいだけだった。空をゆっくりと回転する幾重もの光環。それは徐々にすぼんでいき、先端は深い森の中に沈んでいた。

 そこを目指して暗い林の中を駆ける。土を蹴るたび、早駆けの指輪が淡く灯る。

 先を行く師匠が、直棒で右手方向を指した。

「御同輩が集まってきたよ!」

 夜の林

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多次元交差ディメン・ジン

多次元交差ディメン・ジン

 万華鏡を覗き込んだことを思い出した。小さな穴を覗き込むと、想像もしないような微細な線と面、色と光の世界に包まれる。筒をひねると世界は回転し、目が回るようだった。

 ■

 先輩は銃を抜こうとした。その姿勢のまま、千の線と百の色に寸断された。血漿と肉が製材コンベアの上に落ち、錆鉄と廃材を汚す。暗闇の中で万華鏡のように煌めく怪物は、先輩をいまだに放さない。無数の足のような器官で残骸を捉えたままだ。

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圧制者と被管理市民と人工知能の御名において

圧制者と被管理市民と人工知能の御名において

「15年前、国家主席の延命手術が成功したのと同時に計画ははじまった。『電子的国家運営のための補助対策事業』。役人共はデンホって言ってる。それが、そうだ」

 中年は血管の浮き出た指を相棒に向けてきた。布のような重い長髪で顔面を覆い、ボルトとナットが目立つ手甲具足姿の相棒は何の反応も示さない。

「その年以降に生まれる全ての子供。その遺伝情報を国民管理システムたる人工知能フォンシェンに登録することで

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シッターズ!

シッターズ!

「もう、無理」

 硝子片が飛び散るビルの陰で那太郎は座り込んだ。日の差す表通りは炸裂音と、敵の外皮がそれを弾き返す衝撃音で満ちている。

 打ち上げ花火にも負けぬ轟音を切り裂いて、渦彦の怒声が届いた。

「那太ァ!もう一度だ!」
「もう無理だよぉ!!」

 負けじと那太郎が泣き返す。

 大通りには全長100数十mの大肉塊がのたうっていた。繊毛のような密な触手で己の身を支えるポリプ状の蚯蚓。それ

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マグマに咲く花

マグマに咲く花

 星が落ちて3輪後。その方角から、天を照らすほの明るい赤が目立つようになった。それは井戸が放つ色とそっくりで、ぼくは星が大地に穴を開けて井戸を掘ったのだと考えた。やがて村長たちも同じ結論に達したらしい。井戸のほとりに立つ茶岩積み造りの集会所に旅人が集められ、旅程計画がはじまった。

 大昔にも似たようなことがあったらしい。身記によれば3代前のことだ。空から星が落ちてきて騒音があたりを満たし、数輪の

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