厳冬期 槍ヶ岳 北鎌尾根 山頂で地震発生
憧れは色褪せない。
登山をはじめた頃の憧れ
槍ヶ岳 北鎌尾根
友達からよくありがちな誘い『富士山登ろうぜ!』をきっかけに山の魅力に惹かれていき、山ぐるいが始まる。
山の高いところから見下ろして果てしなく続く稜線を見るのが好きだった。
経験や技術はなく、空っぽで前向きなバイタリティが唯一の原動力だったように感じます。
完全独学ということから今までには死に至らない多くのインシデントを経験して、その実体験からの改善や対策を積み重ねて今にいたります。
ある日、西穂高岳からの縦走中に槍ヶ岳へ登頂した時に地図にない北側の険しい稜線から仰々しい装備で登ってくる登山者がいた。
軽く挨拶を交わし、
その稜線を指で指して聞いてみる、
僕︰『ここは登山道なんですか?』
登山者︰『北鎌尾根だよ』
と、その登山者は語り始めた。
僕は内心『ははん、ヤベーな』と思いながらも、
その時に受けた衝撃というか、刺激は計り知れないものがあった。
早速、家に帰って地図を広げて北鎌尾根をなぞってみた(笑)
『そうだ 北鎌、いこう』
そんな野心をもち北鎌尾根に向けて着々と準備していた頃がとても懐かしい。
そして、北鎌尾根には数回登りキタカマーとなる。
加藤文太郎や松濤明は何を見て何を感じたのか、
日本山岳史に浸りロマンを感じながらトレースするのが醍醐味でした。
また、影響されやすい自分がいて冬の北鎌尾根に魅力を感じて大志を抱くようになった。
そして、その計画は実行する。
厳冬期 槍ヶ岳 北鎌尾根ソロ
2019年12月28日~2020年1月2日
自分が今まで積み重ねてきたフィジカルやメンタル、そして山の生活力の総合力を注いで厳冬期単独による槍ヶ岳北鎌尾根に挑戦した。
あれから4年…
仲間から『冬の北鎌尾根に行こう』と、
僕は『何をおっしゃいますか、また冗談きついなー』と様子を伺っていましたが、少し時間がたってまたその計画の話が出る。
どうも、本気らしいぞ
心の奥底に仕舞っていたあの時の記憶が蘇ってきたのと同時に、風雪の独標の登りに通常とは逆側の右側の悪いルンゼを登ったシチュエーションがフラッシュバックしてきた。
さてと、着々と準備する自分も怖いと思う。
何かの役を果たすかのごとく、また何かに駆られはじめていたのだろうか。
そして、『北鎌行くかー?』と言うと、
友達は『えっ、行かない気だったの?』と、
あの4年前の凄絶な記憶をうまく伝えきれてないな、とも思いました。
そもそも自分が思ってる記憶すら美化されていて経験した事実は伝え、その過程の真実は現地現物で探ろうということに(笑)
ザックリ見込んだリスクを逆算しても実行に移せるゆとりはあると、計画してまた厳冬期の北鎌に行く機会が訪れた。
初めて北鎌尾根を知ったときの刺激、ゾクゾク感や、その時の情熱や感動は今もなお、色褪せやしない。
永遠の憧れ、北鎌尾根
そして、最後に落ちもあって北鎌尾根の稜線の様に起伏に富んだ旅となりました。
元旦に槍ヶ岳山頂で地震に遭遇
今振り返ると山頂というタイミングが不幸中の幸いだったと思いました。
悪いコンディションの雪面、揺れたら抜けそうなホールド、想像したらゾッとしますね>_<
さて、無事に下山して生かされた自分は、これからどう生きていくか…
年の初めということもあって色々と考えていきたいと思います。