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「親中政権敗退、一帯一路暗雲」から

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三点に注目したい。
 1.ベターな選択
 2.中華思想
 3.時間軸

関連代表記事 日経新聞 2018/10/7
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36227760W8A001C1EA1000/
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A 一帯一路が実質的な新植民地政策であることは、一帯一路が打ち出された頃より警告されており、年月が進むにつれその実体が見えてきたという状況。これに伴い不信感がメキメキと育ち、中国依存への警戒心が高まってきた。ここにきて、親中政権の敗退が相次ぐ結果がでてきても、何ら驚くべき事象ではない。


B 一帯一路は、貧困国からみれば魅惑的な内容になっている。一方で先進国にとっても無視できる内容ではない。それは、中国の実体支配への警戒という側面だけでなく、次の世界のリーダは誰か?という視点で。


A 表現が難しいが、一帯一路の危険性や博打性を重々把握していても、それを完全無視する判断のリスクも相応に大きいため、注意しながらコミットしておくのがベターな選択といえそう。無視することは出来ない存在。日本であれば、少なくとも、現状延長のアメリカとのタッグ、一帯一路への協力、そしてインド太平洋戦略はバランスよく進めておく方がよい。特に、架橋と印橋の力を引き出せるようにしておくことが重要。長期的にアフリカ進出を考えるのであれば、インドとの関係性をフル活用することが重要。


B 中国自身も一帯一路構想の鈍化には当然気が付いており、その矛先をアフリカの地に向けている。物理的な遠隔性が違和感を生むが、市場支配という点や対台湾の観点に立てば、将来への有効な一手ではある。例えば、ジブチにGDP75%の融資を、アンゴラには190憶ドルもの融資を行っている*1。


A ここにきて、シエラレオネが中国融資にNOを叩きつけたのは注目に値する。アフリカの代表貧困国であり、インフラ支援の声が魅力的であることは否めないはずだが、客観的に損得を勘定しているよう。また、中国からの水面下での賄賂も当然動いているハズであり、それにも屈していないとみえる。中国のやり方には中華思想があり、この思想による支配が裏にあるため、どうしても、クリーンなイメージが生じにくい。


B 中国サイドが、発展主導型であったり、儒教的義理の重視といったり、沿線国と中国の相互利益追求といっても、現実を見つめれば実行支配を企んでいるようにしか見えない。


A 一帯一路的取組が中国にとって重要なのはいうまでもない。これに持続的発展を持たせるのであれば、中国がクリーンに生まれ変わるのが必要と思われる。中期的には、一帯一路の名前を伏せて、新しい目標を掲げて一帯一路ラインにインフラを作り込むのは面白い。例えば、電力インフラ、物流インフラ、ネットインフラ…といった個別名目で、色々な国をまきこんでいく。短期的には、進んでいるが、一帯一路の印象を改善するための、細かい策をシツコク入念に実施すべき。例えば、ワン・ベルト・ワン・ロードをベルト・ロードにしているが、このような些細な印象変化も長期的には力になる。


*1 Agola http://agora-web.jp/archives/2035163.html


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