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【インタビュー】活躍の場を学外へ。3DCG・映像分野を学ぶDHU生が語る「コンテスト」の意味。

デジタルハリウッド大学(以下、DHU)は学校名の通り、デジタル分野に精通した学生を国内外に輩出しています。系列校などを含めるとその数はおよそ9万人。

デジタル業界の最前線で活躍する卒業生たちも、最初はみんな初心者。授業やサークル、インターンシップなど、学生時代にいろいろな経験を積むことで、プロとしての礎を築いていきます(どんな卒業生がいるのか気になる方は、ぜひ校友会のWebサイトへ!)。

今回取り上げるのは「コンテスト」。読者のみなさんの中にも、国内外で行われているコンテストやコンペに参加・応募することで、自らの力試しをしたいと考える人もいるでしょう。

このnoteでは、オリジナルの3DCG(静止画)と短編映画を制作し、コンテスト入賞を果たした2組3名の学生のストーリーをご紹介します。制作にまつわるエピソードや苦労話を通して、コンテストに参加することの意味について考えてみてください。


DHU伝統の「3DCG」で魅せるーー宮田英之さん(2年)

3DCGと映像に特化した情報メディア「CGWORLD」が主催する、学生限定コンテスト『WHO’S NEXT?』。テーマは「3DCGを用いた静止画作品」で、学生とは思えないハイクオリティなCG作品が投稿されています。

DHU生も毎年応募・入賞するこのイベント。2022ver.01(2022年5月開催)では175点の応募がありましたが、見事5位に選ばれたのが2年の宮田英之(みやた ひでゆき)さんです。

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▲『WHO'S NEXT?』5位入賞を果たした宮田さんの作品『Discovery』

『Discovery』は、イノシシの子供「ウリボウ」をモチーフに制作されました。ウリボウが優しい木漏れ日の差し込む森で、キノコを発見するという場面。ウリボウのふんわりとした毛並みと無垢であどけない様子がとても可愛らしい作品です。

好奇心旺盛なウリボウがキノコを見て、「これは何だろう?」と不思議そうに見つめる表情が印象的で、今にも動き出して物語が始まりそうなリアルさに引き込まれます。

3DCGとの出会いから作品のコンセプト、今後の展望について、宮田さんに伺います。

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宮田 英之(みやた ひでゆき)
2021年デジタルハリウッド大学入学。3DCGを中心に学習しながら、3DCGサークル「MontBlanc Entertainment」に所属。子供のころから自然の中で遊んだり生き物に触れたりすることが大好きで、現在はクリーチャーをメインにCG制作を行う。目標は「生命の歓喜を印象付けるような世界を表現する」。

——3DCGに興味を持ったきっかけは?

宮田:高校2年の時、デジタルハリウッドの社会人向け専門スクール(以下、専門スクール)で行われた森田悠揮さんのイベントに参加したのがきっかけでした。

それまで3DCGに触れたことはなかったのですが、森田さんの作品を見てから、自分もやってみたい気持ちが湧いてきて。その日からBlenderというソフトウェアで簡単なキャラクター作りを始めました。当時、VTuberが流行り始めていたこともあって、制作したキャラクターをVTuberで動かすことからやってみようと。

——それでDHUへ進学しようと思ったのですか?

宮田:森田さんのお話を聞くまでは、なんとなく大学へ行くのかなと考えていたのですが、「3DCGってすごく面白い!どうせやるならがっつりやりたいな」と思って、高校生ながら専門スクールに半年間通学しました。どうせならDHUで特待生を目指せるくらいのスキルを身に付けたい、という気持ちで勉強していましたね。それが森田さんのイベントに参加してから1か月くらい後のことです。

——すごい行動力ですね!森田さんから受けた感動の強さがうかがえます。

宮田:森田さんの作品ひとつひとつがとても魅力的で。フォトリアル(写真のように写実的な表現)なのですが、でもリアルすぎないというか。実際はいないのに、現実にいそうな生き物を上手に表現されていることにも感動しました。

——続いて『WHO’S NEXT?』に応募した経緯について教えてください。

宮田:専門スクールに通い始めた時、Twitterでコンテストの存在を知りました。『WHO’S NEXT?』の応募は高校2年が初めてで、今回が3回目。過去の審査員には森田悠揮さんも名を連ねていたり、入賞作品はTwitterでも話題になるので、大学生活の目標としてここで入賞したい!というのがありました。

——『Discovery』では、なぜ「ウリボウ」をテーマにしたのですか?

宮田:もともと自主制作をしている時に、ウリボウの画像がたまたま目に留まって。「かわいいな」「これで何か作ろう」と思ったのがきっかけです。制作中のタイミングで『WHO’S NEXT?』の募集が出たので、この作品で勝負しよう!と。応募締切までの時間を計算すると、イチから作っていては間に合わない!という事情もあったのですが(笑)。

——工夫した点はありますか?

宮田:毛が無い状態から作らないといけないので、バランスを考えるのが大変でした。毛が無いウリボウは本当にかわいくない(笑)。

作品の制作期間は1ヶ月半ぐらい。長い時は1週間続けて、1日10時間くらい制作していました。でもやらない時はまったくやらないです。

——やらない時はやらないとは意外でした。

宮田:
「何もしない期間」を作るよう意識しています。僕の場合だったら博物館へ行くとか、釣りに行くとか。あとはInstagramですごく可愛らしい動物の画像を見ていると作りたくなってくる。そういう時間が大事だと思っています。

3DCGはさまざまな工程があるので、自分が普段やらない工程を勉強すると、それが最終的に作品のクオリティに繋がったりします。今は静止画のウリボウを、今後は単体で動かせるようにして、映像にしたいです。

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▲学内に展示されている森田悠揮さんの作品「Eternity (永遠)」と、宮田さん。CGの作品データを立体造形化している。

——今後の目標は?
宮田:
『WHO’S NEXT?』でもっと上を目指したい気持ちもありますし、個人として納得するような作品を作りたいです。森田悠揮さんが『The Rookies』という世界的なコンテストで3位入賞をされたので、僕も挑戦して結果を残したいですね。

——最後に、後輩へメッセージをお願いします。
宮田:
大学のPC環境はすごく良いです。スキル向上のためには授業だけじゃなくて、自主制作も大事。僕もよく大学のPC教室で自習しています。大学に来たらぜひ話しかけてください!

先輩から後輩へーー川又瑠音さん(2年)、宮城有斗生さん(4年)


日本初のケーブルテレビ向けデジタル放送配信事業を行う日本デジタル配信株式会社が主催する『マイクロシネマコンテスト』(応募期間:2021年12月〜2022年4月)。

DHU2年の川又瑠音(かわまた るお)さん、4年の宮城有斗生(みやぎ あるとき)さんが所属する映像サークル「1frame」制作の作品「自分がかえるところ」が、同コンテストのドラマ4K部門で入賞しました。

▲「自分がかえるところ」

ストーリー性のある、5分以内の短編動画」で、全国の人々に元気と感動を提供することをテーマに制作された243点の応募作品の中から、入賞を果たした今回の作品。

主人公である新入社員コウタは夢の中で、高校生の時の親友ユウスケに出会います。社会人として忙しい毎日を送る中で、忘れがちな「大切なもの」を思い出すきっかけを与えてくれるショートムービーです。

制作の背景やモチベーション、お二人の関係性についても訊きました。

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川又 瑠音(かわまた るお)【左】
2002年生まれ。2021年、デジタルハリウッド大学入学。入学後は映像を専攻しMVや映画の制作について学ぶ。映像制作サークル「1frame」に所属。幼い頃からの夢は映画館で自分の名前を見ること。

宮城 有斗生(みやぎ あるとき)【右】
2000年、千葉県生まれ。2019年、デジタルハリウッド大学入学。大学入学後本格的に映像制作を学び、主に撮影・編集(カラーグレーディング)を中心に学ぶ。映像サークル「1frame」を設立、サークル長として活動。2019年冬からフリーランスとして活動し、現在広告制作会社でインターン中。猫とサウナとアイスコーヒーをこよなく愛する映像クリエイター。


——マイクロシネマコンテストに応募したきっかけは?

川又:2022年の春休み、友達といっしょに参加できるコンテストはないかと思って見つけたのがこれでした。所属しているサークル「1frame」で宮城先輩が「みんなでやろう」と提案していただいて、いろんな人を巻き込んで制作することになりました。

——「何かやりたいよね」の裏にはどんな意図があったのですか?

川又:その友達が授業で「何でもいいからやることって大切だよ」と先生から言われたことがきっかけでした。DHUにいると、実際に動いているか動いていないかの差がはっきり見えてくるんです。やってる人は、自分たちが知らないところでもやってるし、かつ自分たちが知っているところでも活躍している。例えば、大学のWebサイトとか外部のコンテストで、僕と同じ学年の学生がインタビューを受けてたり。

あと他大学に比べて、仕事をしている学生が多いですよね。アルバイトではなく、クリエイターとして実際の制作現場で働いている人がいる。このまま何もしなかったら、大学にいる時間がもったいない。だから動こう、動こうと意識しています。

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——他の学生や友達に刺激を受けることが多いんですね。

川又:そうですね。僕の周りはやる気のある学生や、SNSで積極的に発信している学生が多いので、クリエイターになるなら自分もどんどん発信しなきゃ、という気持ちになります。

——そんな中で応募した今回のコンテストですが、作品づくりで苦労したポイントはありますか?

川又:新入社員が夢の中で高校生の時の親友に会う、というのがストーリーの中心なのですが、「現実」と「夢」の表現が難しかったです。夢って、自分が見るから夢だと分かるじゃないですか。だけど、映像化されて「見ている側」からすれば、これが夢なのか現実なのかということが分からない。なので、『あ、さっきのシーンは夢だったのかな?』と考えてもらえるような表現の仕方を工夫しました。

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▲コウタがユウスケと「再会」するシーン。

——具体的にどんな工夫を?

川又:例えば映像のテンポですね。テンポが早めにきたところを急に切って、ちょっとゆっくりなパートを作る。その後にそれがはっと消えるような演出にして、またテンポがいい映像にする。そうすることで「夢」っぽい感じを出せるように工夫しました。

——宮城さんは先輩として制作に携わる中で、意識したことはありますか?

宮城:任せるところは任せつつも、やっぱり作るからには「これ作ったんだよ。すごいでしょ」と一緒にやったみんなが言えるものにはしたいな、っていうのはありました。なので、映像を始めたてのメンバーが見落としがちな部分を、直接的に教えるというよりは誘導するように心がけました。

——宮城さんには2年生の時にもインタビューに答えていただきましたが、最高学年になった今、どういった思いで後輩と接していますか。

宮城:僕らは学籍番号が最後の10番台(2019年入学)で、後輩たちは全員20番台(2020年以降入学)。僕らはコロナ以前の大学を知っている、つまり、普通に大学に通って、先輩たちと同じ空間を過ごしていた最後の世代なんです。

僕が大学生活で一番重要視したことが、先輩や先生など上の世代の人とつながることでした。でも、僕は勝手に「20世代」と呼んでいるのですが、後輩たちはそういう経験をしていない。それがないまま卒業してしまうのは、デジタルハリウッドらしくない。なので、僕らが先輩たちに教わったことを後輩たちに受け継いでいかなければいけない。今回のコンテストが、川又さんや他のメンバーにとって、そういう経験になっていればいいなと思います。

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——最後に、お二人から未来のDHU生に向けてメッセージをお願いします。

川又:まずは足を動かしてください。映像が作りたかったら何でもいいから撮ってみる。やりたいことを見つけるには何でもやってみる。自発的に動いていくことが大事です。

実は、僕が初めて「自分で動いた」のって、この大学に入ろうって決めたことなんですよ。なのでクリエイティブなことに興味があるみなさん、ぜひDHUで一緒に学びましょう。

宮城:DHUの良さに気づいていない人はまだまだたくさんいるな、と思っています。これから大学を選ぶ人もそうですし、今年入ったばかりの新入生も感じていると思いますが、DHUは高校までの環境とはまったく違って、席に座っていれば先生が教えてくれる、みたいな環境ではありません。その分、自分から学べば学ぶほど何者にでもなれる。

僕自身、本当に「ただの高校生」でした。でもクリエイティブ的なものって、ハマるとめちゃくちゃ楽しいんです。みなさんもまずは好きになって、ハマってみてください。そうすれば見る景色も変わってくる。それを4年間続けたら、気付いた時には「何者か」になっているはずです。

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まとめ:コンテスト挑戦がもたらすもの

宮田さんの自身のやりたいこと、好きなことに向き合い、それをストイックに突き詰めていく姿勢。川又さんと宮城さんへのインタビュー中に終始感じた、先輩/後輩の信頼関係。

コンテストという目標に向かって自分自身を磨き、結果を得たDHU生たちの姿はまさに、”Entertainment. It's everything.”(すべてをエンタテインメントにせよ!)を体現しているように感じました。

このnoteが、みなさんの「動く」「つくる」きっかけになれば嬉しいです。

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