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空とテロリズム  

詩誌「潮流詩派」190号 作品1 詩篇(状況詩篇)掲載作品 2000年創作

 あの空の両端に張り渡された綱から

この世界の最も陳腐な解釈が

転落していくのが見える

かつて何度も見たそんな光景の中では

あらかじめ「存在」が絶対化されている

何よりも 破壊すべきものの「存在」こそが

絶対的なものとされる

したがって

あらかじめ「絶対的なもの=敵」への敗北も織り込み済みであり

正当化されているわけだ

そして今度はこの「存在」の破壊が

自らの「存在」を声高に叫び始める

ある言葉の後で

やがていつかは誰もいなくなり

すべてが終わったかに見える

だがそれでも 

この無人地帯では

絶えず何かが 

誰かによって語り続けられる

いまここで

あの空の彼方から

過ぎ去ってしまうことのない風が 

揺れ動くものを

その影とともに運んでくる



以上の作品のオリジナルは90年代半ば頃に書かれた散文草稿『ゼロ-アルファ』のごく一断片を配列形式のみ改変したものである(内容的改変無し)。
なお、「この無人地帯では 絶えず何かが 誰かによって語り続けられる いまここで あの空の彼方から 過ぎ去ってしまうことのない風が 揺れ動くものを その影とともに運んでくる」はグレン・グールドの上記著作集のある一節から連想した。今この本は手元にない。実は2011年に私の亡き父親と私自身の蔵書を千冊レベルで断捨離した。価値軸を完全にカッコに入れて。


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