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ヨガ的視点から見ても、人はそう簡単にヴィ―ガンにはなれない。

こんにちは。実はさっきお昼ご飯を作りながら、中田敦彦さんのYouTube動画で(YouTube大学じゃなくてオリラジの動画でした)中田さんはヴィ―ガンになったという動画を拝見しました。わたし自身が2008年からベジタリアンで、朝のコーヒーに入れるミルクを除けばほぼヴィ―ガンの生活をしていますので、大変うれしく思います。

そこで今日はわたし自身の12年の経験と失敗と、専門であるインド哲学からの視点もふまえ、どうやったらヴィ―ガンに移行できるかというお話をいたします。

中田さん、1日1食って、タイ上座部のタマユー(森で修行する派)のお坊さんと一緒ですね。ちなみにわたしは1日2食でベジタリアンの領域に入るので、中田さんは流石、パーフェクト・ヒューマン!

最近は菜食もヴィ―ガンも嬉しいことに普通になってきたので、特に何も言われなくなりましたが、ひと昔までは偏ってるだの、宗教的だの、場がしらけるだの、難しい人だの、それはそれは偏見の目で見られ、孤独な思いをしてきました。

ヴィーガンになるにはヴィーガン体質が必要

わたしがベジタリアンな理由は、中田さんと同じです。

①環境のため ②非暴力のため ③自分の健康のためです。

それにしてもヴィ―ガンで、1日一食とかすごくストイックですよね。中田さんは発想が大胆で自由な人なので、体もマインドの方についていくタイプなんだと思いますが、みんながみんなマインドセットだけで実行するのはかなり難しいと思います。

やっぱり三食きちんと食べないとおなかがすくとか、野菜だけだとおなかがいっぱいにならないとか、すぐ消化して何度もおなかがすくとか、

とにかくおなかが空くんです!わたしもそうでした!

ヴィ―ガンを始めたときは20代半ばだったので、おなかが空いて空いて…。だから『やっぱりベジタリアンなんて無理だ!ヴィ―ガンなんてもっと無理だ!』と挫折してしまう気持ちはとてもわかります。習慣を変えるには決意だけではなくて、知識と、順応するプロセスが必要になってきます。

わたしの場合はヒンドゥー教の元僧侶だった友人と3年間一緒に住んでいたので、彼が毎日作るご飯に感化されて自然と移行できましたが、自分ひとりで習慣を変えるのは大変なことだと思います。わたしだったらきっと無理です。

現代人が突然ヴィ―ガンに戻るのは、むずかしい!

ヴィ―ガンで体を機能させるには、まず自分の体のシステムをアップグレードしなければなりません。言ってみれば、石炭を燃料にしていた蒸気機関車から、電気で動く電車になるようなものです。蒸気機関車の状態が一般的な食生活としたら、電車はベジタリアン、ヴィ―ガンはリニアモーターカーみたいなものだと思ってください。どこからエネルギーを持ってくるのかが、全く違います。

ですので今の状態で突然燃料だけ変えて、しかも燃料の量を減らしたらきっと辛いだけです。そこで必要となってくるのが次の三つです。

①マインドセット ②呼吸 ③自然の多い環境

①マインドセットをヴィ―ガン仕様に変える。

まずはマインドセットから。中田さんも動画で話していましたが、『三食食べなきゃいけない』という思い込みから解放されることです。現代の日本人のほとんどの人が三食食べる必要のない生活をしていると思います。逆に言うと三食必要な人は、

肉体労働者と成長している子供・未成年です。

アーユルヴェーダを例に出すと、もともと精製された小麦粉は宮殿を建てたりする重労働者が食べるものでした。そして肉は戦争で戦う者が食べるものでした。なぜかというと、短時間に消化して、短時間にエネルギーとして使えるからです。だからインド料理で出てくるナンは小麦でできています。だけど家庭で食べられるのは全粒粉のチャパティが主流。ゆっくり消化して蓄えたほうがいいライフスタイルだと、チャパティが最適だということです。

現在ほとんどの日本人の方が、肉体労働も戦争もしていません。ということは一日三食食べなきゃいけないほどのエネルギーは必要ないのです。100年前と比べると、食べなくてもいいくらい楽な生活をしていることに、わたしたちのマインドが気づいていないのです。マインドセットは明治時代のままになっています。

ベジタリアンだった宮沢賢治の雨にも負けずに『玄米四合と味噌と少しの野菜を食べ』とありますが、玄米四合を毎日ひとりではさすがに多いですよね。しかし宮沢賢治は『農民の文化的生活』を説いた人でしたし、明治生まれの日本人は玄米四合を消化するだけの機能とパワーと使い道を持っていました。飛脚や人力車の引手が馬よりも速かったことは有名です。でも今はどうでしょう?玄米四合は必要ないどころか、かえって未消化になってしまいます。

ヨガやアーユルヴェーダでは生命は循環の上に顕れるという考え方をするので、未消化物という循環できずに滞るものがあると、不和となって『病気』の状態が顕れると考えます。未消化になるくらいだったら、消化できる時に消化できる分だけ食べるほうがいいのです。

なのでヴィ―ガンやベジタリアンへの切り替え期間は、消化ができるようになるまで三食食べていいと思います。反対にヴィ―ガンになれない、お肉や魚が無いと疲れるという方は二食に減らして様子を見てみるのはいかがでしょうか。それだけでも、肉を消費する量が30%以上減るわけです。

ではどうやったら、上手く消化吸収率を上げ、食事の回数を減らしていけるのでしょうか?

②ヨガと呼吸法でヴィ―ガン体質に変える

体をヴィ―ガン仕様に変えていく上で、一番有効なのが体の機能を整えるために、適度な運動をすることなのですが、中でもベジタリアンと相性が抜群なのがヨガです。ヨガの発祥地であるインドはベジタリアンの人がほとんど。インドの人は牛をお母さんだと思っているので、乳製品を取ります。だからヴィ―ガンは少ない。お肉を食べる人もいますが、一週間に一度くらいで、毎日食べるような文化はありません。

ところでヨガをして、汗をかくと、反対におなかがすきそうですよね?そうです。ヨガをしたら体の機能が活発になって、いい具合におなかがすきます!このいい具合におなかがすくのが、消化の火といわれるアグニが活発になっている状態です。

その状態の時にご飯を食べると、食べたものを体はしっかり消化吸収してくれるんです。野菜の栄養をしっかり吸収してくれるので、お肉や魚がなくても体が潤ってきます。だったら何の運動でもいいんじゃないか?と思うかもしれません。究極的には呼吸法ができていれば、何の運動でもいいと思いますが、ヴィ―ガンへの移行という点を考えるとヨガが最適です。それは、ヨガのアサナ(ポーズ)をすれば、呼吸法が自然についてくるからです。

ヨガのポーズをとると縮こまっていたナーディ(経絡)が開きます。そこで体の持っている循環のリズムとタイミングを合わせて息をすると、氣(プラナ)がたっぷり取り込まれて、体のすみずみまで運ばれていきます。氣(プラナ)もエネルギーです。呼吸からエネルギーを吸収することができるようになると、エネルギーの供給もとが食べ物だけではなくなるので、食べる量を減らすことができます。

こうしてうまく消化できる体、そしてうまく呼吸が機能する体を作っていくと、食事の量と回数を苦痛なく自然に減らしてヴィ―ガンに移行できます。

③自然に囲まれることで、ヴィ―ガン体質に変える

もうひとつ、最後に重要なのが『自然に囲まれていること』です。先の『呼吸から氣を取り込むこと』と繋がっているのですが、都会、土のないビルや、木の少ないところでは、空気中の酸素も氣(プラナ)も少なくなります。昔のヨガの行者も、今ほどの都会でなかったでしょうが、食べ物を取らずにプラナだけで行をするときは、森に入って変なポーズをしていたと言います。実際に食事を取らず、呼吸だけで生きているブリザリアンも存在します。食べるだけがエネルギーの供給元でないということは、一瞬おどろきかもしれませんが、やってみるとすぐにわかります。

変なポーズとはヨガ・ニードラと言われる両足を首にひっかけるポーズです。その状態で経絡を閉じ、瞑想に入ると、呼吸だけで数か月飲まず食わずで生きられるそうです(笑)

マインドセットを変え、ヨガをして体を整え、消化と呼吸ができる体にすると、だんだんベジタリアンでいることは苦でなくなってきます。苦でなくなってくるとむしろお肉や魚を消化するのは、野菜の消化よりも速度が速いために体に負担がかかって疲れてしまうことも。そういう風に感じられるようになってくると、あなたはもうヴィ―ガン体質です!



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