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うつ病入院生活 40日目


【21:00 消灯】

少しの間起きていたと思う。
半くらいまで。

寝付きは○。

【3:00 一旦目覚める】

隣の病棟の声や音が聞こえてきた。

看護師さんを繰り返し大声で呼んでいる。

別の人は部屋の壁なのかドアなのか
鉄製のものを全力で叩いているような殴っているような
音がする。

日中に聞こえたり朝方に聞こえたりすることは
あったけどこんな夜中に聞こえるのは
初めてかもしれない。

それに周りが静かだからか窓を閉めていても
はっきりと聞こえる。

さすがに眠れない。


【5:00 一旦目覚める②】

ちょっと目を閉じていただけという感じだった。
明るくなってきたから目が覚めたのかもしれない。


天井を見つめてここが病院だと気付くと
なぜかホッとした。


ここで違和感に気付いた。


明らかに昨日までの気持ちと違う。


気持ちが沈んでいる。


薬が増えたおかげかここ数日とても調子が良かった。


嫌だ。

昨日まであんなに楽しかったのに。


スマホを取り出し面白い動画を見る。


感情が湧かない。


ただ目の前で映像が流れていく。


なんで。


悔しさや苦しさから逃げるようにもう一度
枕に顔をうずめる。


【8:00 朝食】

配膳の放送で起きる。

ごはんとみそ汁だけ食べた。


【8:30 身支度】

OTさんに喜んで欲しいから派手なTシャツを着ようと
思っていたのに気分が乗らない。

それよりあんなに昨日まで元気な姿を見せたのに
別人の私を見て彼女はどう思うだろう。

もはやこんな状態を見せるくらいなら会いたくない。 


【9:00 今の気持ち】

現在、9:03。

タイムリーな感情を残したい。

一つ原因を挙げるとすれば、最近元気になったから
私もそろそろ退院を考えないといけないか、
そうなったら復職するか、
今ならいけるかもしれない。


という感情が昨日湧いた。


そして思考が少し深めに及んだ。

自分が出勤する様子

ご迷惑おかけしました、と頭を下げる様子

仕事を振られる様子

これくらいならできる?と伺われる様子

ちょっとしんどいけど作業に向かう様子

申し訳なさそうに退勤する様子



反対に過去の自分の様子も思い出した。



みんなにいい顔していくつもタスクを抱えて

『どうにかなる』という上司の言葉を
自分に言い聞かせて蓋を開けたら大失敗。

切羽詰まった時に電話した上司の呆れた声が
耳に残っている。


みんなに迷惑をかけた上に会社で泣いてしまった。


自分が提案したものだから手を抜きたくないと
思っていたのに他の業務に追われて
結局納品前日まで手を付けられていなかった。


会社に1人残って朝の5時まで作業して
自分の中で出来ることはやったと思った。


でも確認した上司の口から出たのは
言葉ですらなくため息だった。



『お前のために何人が動いてるのか分かっているのか』


『他の忙しい奴らを見ても
 お前はまだ時間をくれと言えるのか』



私は心が折れた。


昨日までは
怖さが完全に消えることなんてないだろうし
一旦行ってみてもいいかもしれないと思えていた。


でも今こうなってしまった。



あぁ。
まだダメなのか。


辛いよ。しんどいよ。

いつになったら抜け出せるんだよ。


海の底から這い上がって
やっと空が見えてきていたのに
また足が何かに絡まった。


【13:10 今の気持ち】

トイレに行った。

鏡を見た。


またあの眼だ。

何も捉えきれてない。

虚で遠くに焦点があっていて

眼球が奥に引っこんでるような感覚。

まぶたも開ききれてない。

またあの私に戻ったのか。

悔しい。

きょうは作業療法には行きたくない。

盆踊りの練習も散歩も。


診察だけ受けよう。


【21:25 今の気持ち】


診察が終わった。

自分が気づかないうちに燃料ギリギリで
突っ走ってたんだって。

だから急に走れなくなってそれが気持ちに表れた。


ちょっと時間を戻して話をする。


作業療法には参加しなかった。

参加しないとOTさんが声をかけに来てくれる。

昨日たくさん話したOTさんだった。


思わず元気が出た。


ただ実際に湧いた元気以上に
元気なふりをしてしまった。

「〇〇さんのおかげで元気が出ました!
  後半は行っちゃおうかな!」


OTさんは

『決して無理はしないでください
  休むのは大事なことです』と言いながら
部屋を出て行った。


ドアがバタンと閉まった瞬間、
私はベッドに突っ伏した。

また無理をした。

いい顔をした。


それが一番応えた。


結局私のいい顔癖は一生治らないんじゃないか。

いい顔し続けて苦しみ続けるんじゃないか。


気持ちの沈みに加えて
ボディブローを食らった気分だった。



診察の話に戻る。


私は初めて診察で泣きながら先生に話をした。


『人間誰にでも癖があるから
  いい顔するのは簡単には治らない』

そう言われた。

『ただ、あなたがいい顔をする理由の根本には
 人によくみられたいという欲求がある。

 人によくみられたいと思うのは悪いことではない。

 だからいい顔をすることで
 その欲が満たされればいいけど
 満たされないのであれば苦しいだけ』


そうか。
仕事で上司にいい顔した時は、
仕事を振られすぎて結局キャパオーバーになって
よくみられることができなかった。

だから苦しかった。

きっとその基準で反応を変えるのは
私にとって最大と言えるほど大きな課題だ。


でも変われれば私の心も楽になる。

練習だ。訓練だ。


まだまだ長い付き合いになりそう。

がんばれ私。

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