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うつ病入院生活 69日目 


【21:30 薬服用】


夜勤の看護師さんが別フロアで
てんやわんやしていたらしく
詰所に戻ったのがこの時間だった。

この看護師さんは前に
泣きながら話を聞いてもらって
自分の過去についても話してくれた看護師さん。
(詳細はこちらの記事に書いてます↓)


看護師さんの中で一番お世話になったので
詰所のカウンター越しではあるけどお礼を言った。

もう病院では会いたくないけど、
またどこかで会いましょうと話した。

本当にありがとうございました。


【21:45 手紙を書く】


20歳の患者さんへの手紙を本書きする。

気持ちが入りすぎて筆圧が強くなってしまったけど
まぁいいでしょう。

本当に病気が完治、または寛解して
彼女が歩みたい人生を笑って過ごせたらいいなと
心から思う。


【23:00 就寝】

すーっと眠くなった。
よきよき。


【5:00 目覚める】


久しぶりにこんな時間に起きた。
うれしい。

まだ外は暗いけど少しずつ明るくなってきている。


トイレへ。


勤務表の確認。


推しがいる。


【7:00 起床】

5時に起きてからはあまり寝られなかった。

7時に起きて16歳の患者さんに
手紙の下書きをすることにした。


この子は一番長く話を聞いたから
思い入れがある。


言葉を選びながら書き進める。


 【8:00 朝食】

にんじんと玉ねぎのみそ汁。

きんぴらごぼうが美味しかった。


【8:20 超身支度】


メイクして髪を巻いて。

きょうもまたアイシャドウが濃くなってしまった。

推しがいる日は濃くなりがち。
力の入れ過ぎに気をつけよう。


きょうはいろんな人に会うのが
最後の可能性があるから
インパクト重視のプロレスT。

【9:00 洗濯】

最後の洗濯。
いつもより少なめ。

早朝は雨が降っていたけど、
もう晴れているから下着類以外は外に干すつもり。


【10:30 屋上へ】


検温がないので詰所で看護師さんにお願いして
干しに行くことに。

姉に頭の形と髪質が似ている看護師さんだ。

髪を切っている。
さっぱりだ。

でもやっぱり姉に似ている。


あす退院と伝えると
拍手+「おめでとうございます」が返ってきた。

そりゃ、「退院=おめでとう」なのだけど
少し複雑だよな〜。


【10:45 単独外出】


病院から出てすぐのところで
病棟長の先生とすれ違った。

先生は何度か部屋を訪れて
お話を聞いてくださったので
明日退院の旨を伝えた。


『あなたは絶対大丈夫ですよ』


これ以上に心強い言葉もないだろう。
ストレートに受け止めて自信を持って退院する。



昨日と同じルート。

コンビニに行って
飲み物とお菓子(梅のり巻き)を購入。

神社に向かっていると別のフロアに入院している
中3の男の子と遭遇した。

最近、集団での散歩や盆踊りの練習に
来なくなったからどうしてるのか心配してたけど
1日1時間の散歩を満喫してるらしい。


『ここ登っていったら大橋が見えるところが
 あるんですけど知ってますか?』


知らなかった。

何度も通ってるのに。

よっぽど下を向いて歩いていたんだと思う。


彼は一緒に走ってくれてその場所を教えてくれた。


綺麗だった。

きょうは青空で白い橋が映えていた。


彼も今月末で退院らしい。

みんなと遊べなくて寂しいと言っていたし
うれしい、と肩を揺らしていたので
彼の退院は濁りなく「おめでとう」でいいみたい。


神社で私はこれまでのお礼と健康祈願。

彼は高校受験合格祈願。


がんばれ!


【12:00 昼食】

ひやむぎ。

大葉、しょうが、みょうがが
たっぷり入っていて美味しかったけど

だいぶ大人の味だったみたいで
若い子は嫌がっていた。


【13:30 作業療法】


最後の作業療法。

塗り絵の続き。

今日中に終わらせないといけない。
職人のようにせっせと塗り進める。

休憩も惜しんで…完成!


なんかOTの実習に来てる男の子が
すごい褒めてくれたから
そんな言うならあげるよ
ということであげました。

写真に残しておけばよかった。


最後に病棟のリーダー的なOTさんにあいさつ。

小麦肌優男OTさん。

この人は本当に仏のような人で
びっくりするくらい剣幕で罵ってくる
認知症のおじいちゃんとかにも
落ち着いて安らかに対応していた。

何でストレスを発散しているのか
教えてもらえばよかった。

とっておきの方法が見つかっていたかもしれない。

お元気で。


【16:00 集団散歩】


最後の散歩。

まずは馬にあいさつ。

きょう最後だと伝えると
看護師さんが餌やりをさせてくれた。


初めてではなかったけど感慨深い。


…と思ったのも束の間。

さっさとよこせと言わんばかりに
餌箱を引っ張られてこぼしてしまった。


あーあ、有終の美が。


馬にとっては知ったこっちゃねぇや。


その後はなんとなんと鬼ごっこ。

最終日だからはしゃいだるか!


9歳、14歳、16歳、
28歳(女性・うつ病)、
29歳(男性・元ラガーマン)。


ダントツで体力がなかった私。

しんどすぎ。

あと長らくやってなくて忘れてたけど
人に追いかけられるの苦手だった。


いい汗かいたよね〜。


その帰り道。


OTさんにあいさつしているのを見ていた
患者さんが私の退院について言及してきた。


まずい。まだ16歳の子に伝えていない。

案の定バレてしまった。

『明日!?なんで!?』

はぁ。
こんな形でバレて傷付けてしまうくらいなら
早めに言ったほうがよかったんだろうか。

【16:30 謝る】


16歳の彼女に謝った。

「出来るだけ寂しくなる時間を短くしようと思って
 明日まで黙っておこうと思ってた。
 ごめんなさい」

ごはんを一緒に食べようと言うと
うなずいてくれたから少し安心した。


ただ10分くらい経ったころ、
用があって共有フロアに行ってみると
めちゃくちゃ泣いてた。


退院を伝えていなかった
20歳の患者さんが背中をさすっていた。


やってしまったな。
どうすればよかったのか。


【16:45 手紙】

16歳の子へ手紙を本書きする。
下書きの時点でめちゃくちゃ長くなった。


結果的に5枚も書いていた。


彼女がこれを読んでどう思うか分からないけど
辛い気持ちにさえならなければそれでいい。


【18:00 夕食】


16歳の彼女は目が虚ろで少しむすっとしていた。

退院を言い出せなかった経緯や
なぜ先に他の人に伝わっていたのかを話した。

彼女がそんなこと
求めていたかどうかもわからないけど。

結局、彼女は夕食を全く食べなかった。


でも夕食後部屋の整理をする時には
ずっと部屋の前にいた。


『このタイミングがちょうどよかったかも』と
彼女が言った。

早く言ったら言った分だけ
落ち込んだり不安定になってたかもしれない、と。


ほっと胸を撫で下ろした。


【19:15 入浴】


最後の入浴。

最後はぬめりやカビ、水垢を
しっかりスポンジで洗い流した。

毎日お世話になりました。


【20:00 話す】


16歳の子がきょうは遅くまで
付き合って欲しいと言うので
最後のわがままは聞くことにした。


フロアにいたのは彼女だけじゃなく
19歳の女の子、33歳の男性、32歳の女性だった。

その3人は最近入院されたばかり。

みんないろんな理由があってここにいるんだなと
改めて感じた。

もっと話が聞きたかったけど
21時半に看護師さんから撤収命令が出た。


残念。


【22:21 今の気持ち】

最後の夜だ。

今はとりあえずイネ花粉のせいで
鼻炎が大変なことになっている。

これがなかったらもう少し感傷に浸れそうだけど
ちょっとどうも無理っぽいぞ。



終わりは始まり。

何も終わってない。

明日はスタートだ!

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