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【能動的三分間#3】有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む

【能動的三分間】3回目はドリヤス工場の「有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む」です。

作者のドリヤス工場さんの詳細は不明ですがtwitterのプロフィールを見てみるとパチモノ同人作家、時々商業作家、とのこと。水木しげるを彷彿とさせるタッチの絵です。

収録作品をいくつか紹介すると、
人間失格【太宰治】
注文の多い料理店【宮沢賢治】
羅生門【芥川龍之介】
阿Q正伝【魯迅】
イワンのばか【トルストイ】
ドグラ・マグラ【夢野久作】

などなど。

私はいわゆる文学作品をほとんど読んだことがありません。高校の国語の授業で走れメロスとか蜘蛛の糸など少し触れたくらいでしょうか。

なぜ読まないかというと、最後まで読み進めてその上で自分にとって面白くない可能性が高いと思うからです。

もちろん名作と言われて語り継がれているわけですから、優れた文章表現、メッセージ、世界観など、何か突き抜けたものはあるのだと思います。ですが、現代社会を生きる自分と過去を生きた文豪では価値観は違って当たり前です。1冊本を読むのにかかる時間は決して少なくありません。

有名な作品だし、教養として読んでおこう、と手に取るには時間損失のリスクが大きい。そんな敷居の高い文学作品をこの作品はなんと全て10ページの漫画にしてくれているのです。冒頭に紹介した作品自体、それぞれボリュームはまちまちなのですが(ドグラ・マグラなんか真面目に読んだら半日以上はかかります)、全て10ページにまとめてくれているのです。なんとお得な買い物でしょう。

No.1でも書きましたが、長々と2時間映画を見ても意外とだれてきたり、4〜5時間かけて本を読んでも振り返ってみると覚えている言葉は数行だったり。コンテンツの肝はシンプルなことが多いです。この作品の肝は「現代社会のスピード感に合わせた文学作品の楽しみ方を提供してくれること」でしょうか。自分ができないことは誰かがやってくれている。それをお金で買えばよい。まさに資本主義。笑

多少強引に10p程にまとめている感じはありますが、各作品、内容と「肝」を理解するには十分です。分かりにくければネットで検索すればいくらでも解説や考察が出てきます。

漫画で読んでみても面白いと思えるもの、いまいちピンとこないものがあります。面白かったのはフランツ・カフカの「変身」田山花袋の「蒲団」魯迅の「阿Q正伝」トルストイの「イワンのばか」夢野久作の「ドグラ・マグラ」あたりでしょうか。

”私は阿Qについて書こうとして色々な困難を感じた。一つは文章の名目であった。外伝とするには内伝がなく別伝とすれば本伝がない。そこで「閑話休題、言帰正伝」という一句から「正伝」を取出し名目にする。”

”「ドグラ・マグラというのはどういう意味なんですか。」「伴天連の使う現魔術のことを言った長崎地方の方言だそうで。読んで御覧になればすぐにおわかりになる事ですが。」「イヤ、モウ結構です。」”

いかにも文学作品らしい言い回しも漫画なのですんなりと読めました。

本の購入費に充てます。薄給なのでサポートいただけると大変助かります。本で得た知見を皆様に還元できればと思います。