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初めての作品制作とグループ展

お久しぶりです。
7/19(金)-7/21(日)の3日間北参道のTERRITORY GALLERYで開催されていた「Artous グループ展 「誕生」」に参加しました。

今回展示を主催したArtousは元々、月に1回美術展に足を運び展覧会の感想を共有する鑑賞会を実施しているコミュニティです。色々な人と美術について話してみたいと思い、今年の1月に参加しました。そして今回鑑賞する側だけではなく、作ることも体験することで美術鑑賞を視野を広げようということでグループ展を開催することになりました。

学生時代にアートを学んだり、アーティストとして現在も活動されているメンバーもいますが、自ら制作して展示したことはない人が大半です。自分も去年の今頃初めて美術館に行ったのに、まさか一年後作品を作ることになるとは..!

展示風景①
展示風景②
展示風景③

いざ展示当日作品が集まると、平面作品、立体作品、素材も様々。元々美術館に行くコミュニティだからこそ、それぞれ本当に美術が好きだという気持ちが伝わってくる作品です。

自分も作品のテーマ決め・素材選び・表現手法の検討などすべてが初めての経験でたくさんの学びがありました。キャンバスも初めて買いましたが、amazonや100均で気軽に買えることにも驚きです。

このnoteでは、初めて作品を完成させるまでの経緯を残していきます。


制作物

まず今回制作した作品を紹介します。

▼作品タイトル
Human beings are 0.01% of the biomass distribution of the planet -Study for visualization

▼素材
墨汁、アクリル、スプレーペイント、キャンバス(340×240)

▼制作背景(キャプション)

古来日本においては、周りの環境・生命(=自然)を神聖なものとして敬い、恐れ、調和を図ってきた。一方西洋では、キリスト教の教えをもとに人が自然を支配する考え方が広まった。さらに科学の発展により、客観的に自然を分析することを可能とした。

日本のもつ「内からのまなざし」は感覚的であるため、西洋の「外からのまなざし」のような客観的な説得力を持たない。しかし、現代の日本に育った作者(1999年生まれ、北海道育ち)にとっても「内からのまなざし」は本能的な感覚である。

本作品は西洋の客観的な手法で「内からのまなざし」の視覚化を目指す試行である。

※本作品は2018年に発表されたカリフォルニア工科大学とイスラエル・ワイツマン科学研究所の科学者らによる論文「The biomass distribution on Earth」を元に制作された。地球上の総生物量の内訳としては植物が8割以上を占め、続いて細菌、菌類、節足動物の順で続く。人間は0.01%と試算される。
※本作品は視覚言語の祖とよばれるOtto Neurathのアイソタイプを元にした具象表現、スパッタリングなどの手法を取り入れた抽象表現の2つのアプローチで構成される。

2枚のキャンバスで1つの作品になります。今回作品の大本はカリフォルニア工科大学とイスラエル・ワイツマン科学研究所の科学者らによる論文論文となっているため、コンセプト重視になりました(ちょっと考えすぎたかも)。現在アートは見た目の美しさもさることながら社会的、美術史的な文脈で楽しむ節があるので文脈を考えるところから始めました。以下に制作の流れを記録していきます。

手順1.アウトプット形式・期日決め

ギャラリー選択に影響するため、アウトプット形式を決める必要がありました。作品の構想は間に合っていなかったですが、まずは決めてしまおうということで平面に決めました。

スケジュール感としては2月頃?参加決定、6月中キャプション提出、7/20までに作品制作になります。

手順2.文献調査

制作をする前にまずは文献調査から始めることにしました。発想から自由に制作するのは難しいと思ったので、社会的側面というか伝えたいことをまず整理しています。

以前こちらのnoteで書いたように、東京に出てきてから人間の自然観について考えるようになりました。

北海道に住んでいたからか自然はそこに有る、支配するのではなく共生していく、むしろ住まわせて貰っている感覚です。

でもそれは感覚でしかなく、言葉にして伝えるのは難しい。人間は一部でしかないと思うけど、、実際地球に生命ってどれくらいいるんだろう?

このように経済発展に不可欠な科学的な分析(西洋的視点)でこの日本的視点を表現してみようというのが、今回の作品の動機です。そこでGoogle scholarで見つけた論文「The biomass distribution on Earth」を題材にすることにしました。

ただ純粋に分かりやすく表現しようとするとデザインになってしまうので、美術の文脈にある手法を使うことにしました。

まず使いたかったのがオットー・ノイラートのアイソタイプ。情報の視覚化に取り組んだ第一人者で、デザインもかっこいい..!これでピクトグラムを使って数で表現することに決まりました。

そしてもう一つ試したかったのが、絵の具や墨汁を使った自由な表現。4月から通いはじめた桑沢の授業で偶然の形を作る授業があり、これを初めてキャンバス上でやってみようと思いました。これでキャンバスを2つ使うことが決まりました。

手順3.下書き

まずピクトの形を考えてみます。手元で書いた後、Figmaでたくさん試してみました。普通ピクトはまとまって使われることもキャンバス上に描かれることもないので、とても難しい。。

ラフ①
ラフ②
ラフ③
ラフ④

一番しっくりきたのがこちら。

手順4.作品制作

100均やAmazonで素材を探してきました。アクリル、スプレー、墨汁、クレヨンなどなど。休みの日に色々試してみました。記録動画はこちら↓

ピクトの方はFigmaで制作したものを印刷してくり抜いてスプレーを試してみました。しかし結構滲みが出てしまったので墨汁と白のアクリルで調整しました。

抽象画の方は、墨汁で作った横の動き(安定)を内からのまなざし、アクリルの縦の動き(強さ)を外からのまなざしにしています。これはカンディンスキーの点と線から面へを読んだことも影響しています。また開放と感じられる左上に重みを持たせてバランスをとっています。

試行錯誤の末、ぎりぎり展示直前に完成..!自分で作ろうとするとこんなに難しいと思いませんでした。キャンバスも初めて買いましたがこんなに気軽に試せるとは思いませんでした。これから美術館に行くときの作品の見方も変わりますし、気軽に休みの日に試せるのも良い発見でした。また機会があれば作ってみたいです。

▼制作途中のメモ

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