マイナンバーカードで混乱なんかしていない④

オンライン資格確認の義務化を機に廃業する、と言われる先生がいらっしゃます。保険証の廃止に反対する立場の人達は、そういう先生方の声を受けて、オンライン資格確認の義務化で廃業する医療機関が増えてとんでもないことになる、と言います。
これは、真実でしょうか。
人が仕事を辞めるのは、医療分野に限らず、どんな方にとっても一大事です。
定年が来るのとちがって、開業医の先生方は、自分で仕事を辞める時を決めないといけません。辞めるにあたっては、従業員もいるし、建物設備の問題もあるし、何より来てくれている患者さん方をどうするか、いろいろ配慮しないといけないことがたくさんあります。そのためのセミナーが開かれるぐらいです。
それで、高齢などの事情があって、廃業しないといけいないと思う時、真っ先に決めないといけないことが「いつ辞めるか」です。
もっというと何年の何月に辞めるか、ということです。
それを決めれば、それに向かって、心の準備や、周囲への連絡など、あらゆることが動き出します。
そういうことを考えれば、オンライン資格確認の義務化期限は、辞める踏ん切りを付けるのに良い期日なのかもしれません。
ただし、もしそういうことであれば、辞める日時をオンライン資格確認の義務化期限にした先生が増えるだけで、全体の廃業が増えるということではありませんね。
ネットのニュースに、「オンライン資格確認の義務化で仕事を辞める」というような見出しがあったのでクリックしたら、患者が減って経営が苦しくなったので、義務化を機に廃業する、という内容でした。

自分の年齢や経営状態とは関係なく、保険証の廃止やマイナンバーカードの普及がなどの政策に嫌気が刺して廃業される先生がいるかもしれません。
それは、確かに残念な話ですが、でも、どうでしょうか。
そうやって、それが原因で辞めたとしても、今度は自分が患者になるかもしれません。
マイナンバーカードで受診するのが当たり前の世になっていたら、ご自身もマイナンバーカードで患者として医療機関を利用することになります。
その時に、「こんなもののために、自分は大事な仕事を辞めたのか」と後悔することになりはしないか心配します。

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