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病理学まとめ 唾液腺腫瘍ver

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唾液腺の腫瘍性病変と唾液腺の非腫瘍性病変
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唾液腺腫場(SGT)の形態的モデル

唾液腺腫場(SGT)の形態的モデル

唾液腺腫場(SGT)の形態的モデルを説明し、各々のグループに含まれる代表的な腫瘍をリストアップしなさい

タイプA.腺上皮細胞のみからなるもので、単相性の導管、腺房構造を持っている。(画像は形のイメージ)

タイプB.外側の細胞のみからなる(筋上皮細胞)束状、充実性配列となっている。(画像は形のイメージ)

タイプC.腺上皮と外側の細胞が増殖(A,B両方)、細胞外基質形成を伴わないと充実性/シート

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良性唾液腺腫瘍(SGT)の特徴

良性唾液腺腫瘍(SGT)の特徴

WHO分類では11個あるとされている

1.多形腺腫
2.筋上皮腫
3.基底細胞腺腫
4. Warthin腫瘍
5.オンコサイトーマ
6.リンパ腺腫
7.嚢胞腺腫
8.乳頭状唾液腺腺腫
9.導管乳頭腫
10.脂腺腺腫
11.細管状腺腫

今回は、多形腺腫、筋上皮腫、ワルチン腫瘍を挙げる

1)多形腺腫

臨床所見・・・上皮性構造と間葉様構造からなる良性腫瘍で最も発現頻度の高い唾液腺腫瘍である。発生

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悪性唾液腺腫瘍(SGT)の特徴

悪性唾液腺腫瘍(SGT)の特徴

WHO分類では20個に分類される

1.粘表皮癌
2.腺様嚢胞癌
3.腺房細胞癌
4.多型腺癌
5.明細胞癌
6.基底細胞腺癌
7.導管内癌
8.腺癌 , NOS
9.唾液腺導管癌
10.筋上皮癌
11.上皮筋上皮癌
12.多形腺腫由来癌
13.分泌癌
14.脂 腺腺 癌
15.癌肉腫
16.低分化癌
未分化癌
大細胞神経内分泌癌
小細胞神経内分泌癌
17.リンパ上皮癌
18.扁平上皮癌
19.オ

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唾液腺の非腫瘍性病変

唾液腺の非腫瘍性病変

唾液腺の非腫瘍性病変

Ⅰ退行性病変および進行性病変
1. 萎縮
2. 放射性障害
放射線照射後唾液腺炎
3. 化生
 ① オンコサイト化生
 ② 杯細胞化生
 ③ 扁平上皮化生
 ④ 壊死性唾液腺化生症

Ⅱ唾石症

Ⅲ炎症
1. 急性唾液腺炎
2. 慢性唾液腺炎
① 慢性再発性耳下腺炎
② 慢性硬化性唾液腺炎

Ⅳ特殊な疾患
1.シェ-グレン症候群
2.ミクリッツ病

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Ⅰ退行性病変および進行性病変(唾液腺の非腫瘍性病変)

Ⅰ退行性病変および進行性病変(唾液腺の非腫瘍性病変)

退行性病変および進行性病変
regressive and progressive diseases
1. 萎縮 
2. 放射性障害 
 放射線照射後唾液腺炎
3. 化生 
① オンコサイト化生
② 杯細胞化生 
③ 扁平上皮化生 
④ 壊死性唾液腺化生症

この中で、3.化生の定義を述べ、唾液腺に見られる化生についてまとめる
・化生の定義 ある種の正常な成人細胞から別のタイプの正常な成人細胞へ分化

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Ⅱ唾石症(唾液腺の非腫瘍性病変)

Ⅱ唾石症(唾液腺の非腫瘍性病変)

Ⅱ唾石症
唾液腺導管内に生じた石灰化物(唾石)が導管を閉塞する疾患.

好発部位:大部分が顎下腺 ( 90%) , 耳下腺(6%),舌下腺・小唾液腺(2%)

好発年齢:中年以降 
性差 :  男性 にやや多い 
臨床症状:唾腫 (食事の時に唾液腺が腫脹)唾疝痛. 表在性の時には硬結を触れる

X線所見: 唾液腺体内排出導管内に唾石に相当したX 線不透過像

唾石
粗造あるいは平滑な表面を有する円

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Ⅲ炎症(非唾液腺腫瘍)

Ⅲ炎症(非唾液腺腫瘍)

Ⅲ炎症(唾液腺炎)
老人・子供に多い.耳下腺・顎下腺に多く舌下腺に少ない.

1.急性唾液腺炎
主に耳下腺 に起こる唾液腺の急性炎症.口腔から上行性に細菌感染がおこる.
発生頻度:開腹手術を受けた人の 0.75%:長時間手術による脱水

病理組織像:導管周囲の好中球浸潤,膿瘍形成 , 腺組織の破壊

2.慢性唾液腺炎
主に唾石による導管の閉塞のために起こる非特異性炎,軽度の上行性感染
主に顎下腺

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Ⅴ.特殊な疾患

Ⅴ.特殊な疾患

①シェ-グレン症候群
シェーグレンによって記載(1933年)
涙腺や唾液腺のリンパ球浸潤と腺房破壊とそれによって起こる乾燥性角膜炎や口腔乾燥症を特徴とする自己免疫疾患。
症候群は他の自己免疫疾患,慢性関節リウマチや全身性エリテマトーデスと関連

原発性シェ-グレン症候群
(50%) ドライアイ+ドライマウス
続発性シェ-グレン症候群
関節リュウマチ(24%),  SLE(11%) など合併

好発

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Ⅴ.肉芽腫性炎(唾液腺の非腫瘍性病変)

Ⅴ.肉芽腫性炎(唾液腺の非腫瘍性病変)

5.肉芽腫性炎
①結核 Tuberculosis
②梅毒 Shiphilis
③放線菌症 Actinomycosis
④サルコイド-シス Sarcoidosis

Ⅵ.ウィルス性炎(唾液腺の非腫瘍性病変)

Ⅵ.ウィルス性炎(唾液腺の非腫瘍性病変)

6.ウィルス性炎
①流行性耳下腺炎Epidemic parotitis (Mumps)
②巨細肪封入体症Cytomegalic inclusion disease

6 . ウィルス性炎唾液腺炎
①流行性耳下腺炎
ムンプスウィルスの 飛沫感染
6-8歳の小児が感染
潜伏期 2-3 週間
有痛性の耳下腺の腫脹,70% が両側性

②巨細胞封入体症
サイトメガロウィルス(ヘルペスウィルス群)による人に

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全身性IgG4関連疾患とシェーグレン症候群との違い

涙腺と唾液腺に対称性の腫張をきたす慢性炎症性病変であり、原因不明で高度のリンバ珠浸潤を伴うものをミクリッツ病、白血病、結核など原疾患の明らかなものをミクリッツ症候群とよぶり。

これまで、ミクリッツ病とシェーグレン症候群は同一の疾患あるという概念がされてきたが、最近になりミクリッツ病では、血清分画中のIgG4が著しい高値を示すとともに、腺組織にIgG4陽性形質細胞の浸潤を伴うことからIgG4関連疾

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唾液腺腫瘍の病理診断の進め方

唾液腺腫瘍の病理診断の進め方

1)唾液腺腫瘍の概要の知識と臨床情報の解釈
病理診断に際しては,患者の年齢,性別,病変の部位,画像所見,触診所見,手術所見などの臨床情報を把握まずしておく。

唾液腺腫瘍の特徴

① 部位別頻度
耳下腺,小唾液腺,顎下腺,舌下腺の順で,耳下腺が6割以上。
悪性腫瘍の割合:発生頻度とは異なり,舌下腺がもっとも多く,小唾液腺,顎下腺がこれに次ぎ,耳下腺は最も低い.

② 組織型
多形腺腫が最も多く(6

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