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Ⅴ.特殊な疾患

①シェ-グレン症候群
シェーグレンによって記載(1933年)
涙腺や唾液腺のリンパ球浸潤と腺房破壊とそれによって起こる乾燥性角膜炎や口腔乾燥症を特徴とする自己免疫疾患。
症候群は他の自己免疫疾患,慢性関節リウマチや全身性エリテマトーデスと関連

原発性シェ-グレン症候群
(50%) ドライアイ+ドライマウス
続発性シェ-グレン症候群
関節リュウマチ(24%),  SLE(11%) など合併

好発年齢:30-50 歳代
性差:98% が女性
好発部位:耳下腺と涙腺
症状:①涙量の低下--乾燥性角膜炎
   ②唾液分泌量の減少--口腔乾燥症
   ③口腔粘膜の萎縮--摂食痛,灼熱間,味覚異常
   ④多発性う蝕

X線所見: 唾液腺造影において, 独特の点状造影

組織像:①リンパ球性炎症細胞浸潤
    ②腺房の萎縮消失
    ③線維性結合組織の増生
    ④導管上皮の増生
    ⑤上皮-筋上皮島 の形成
....特徴的所見(診断のために口唇腺の生検を行うことが多い.)

予後:①乾燥症状のまま (腺型)
   ②腺外症状に進行 (関節,肝,肺,甲状腺など)
   ③B細胞性悪性リンパ腫へ移行 (まれ)44倍のリスク

診断基準:①組織検査
      口唇生検 涙腺生検
       4mm² あたり 1 focus (50 個以上のリンパ球の集族巣)
     ②口腔検査
      唾液腺造影(直径 1mm 未満の小点状陰影)
       唾液分泌量の低下(ガムテスト 10min ーー10ml 以下)
     ③眼検査
      シルマ-テスト(5min 5ml 以下)
     ④血液検査
      抗Ro/SS A 抗体 (80%), 抗 La/SS B 抗体 (40%)
①から④項目のうちいずれか2項目を満たす

2.ミクリッツ病
涙腺と唾液腺の両側性腫脹を来す原因不明の疾患。
シェ-グレン症候群と同じ疾患と考えられていた

血清学的解析
1.ミクリッツ病では、抗核抗体は陰性例が多い
2.シェーグレン症候群に特異的な抗 SS A 抗体はほとんど陰性
3.ミクリッツ病では、著明な高 IgG4 血症 を呈する

臨床的
4.ステロイドの治療に対して良好な反応性を呈する   
  (シェーグレン症候群とは異なる疾患の可能性)

全身性IgG4 関連疾患 systemic IgG4-related plasmacytic syndrome (SIPS)

IgG4関連疾患診断基準 Diagnostic criteria
1. 血清 IgG4 の高値 (135 ㎎ dl 以上)
2. IgG4 関連疾患で特異性の高い臓器 涙腺 , 唾液腺 , 膵臓 , 後腹膜 ) の異常
3. 組織学的に IgG4 陽性形質細胞とリンパ球浸 がみられる

以上の3項目のうち2項目以上合致すれば IgG4 関連疾患と診断する.


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