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M-GTA分析のやり方

こんにちは!
いつもnoteのネタや文章の書きだしに困っている私ですが…(笑)

大学院で修士論文を執筆したのですが、今日はその時に研究方法として使った "M-GTA分析のやり方" について、まとめてみようと思います!

※あくまでも、個人の説明なので、知識的な間違いがある可能性もあります。必ず専門書も読んでください。

1. M-GTA分析とは

 そもそもM-GTA分析(修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ:Modified Grounded Theory Approuch)とは何か??

 社会学的な質的調査の研究方法の一つであり、数値だけでは解明できないニッチな環境の関係性や仕組みをインタビュー調査から分析し、KJ法(以下では、親和図法)のような付箋紙にキーワードを拾ってカテゴリごとにまとめていくことで、解明できなかった点を図にして証明していく手助けになる研究方法です。

 木下康仁氏(社会学者)が、1960年代に生まれた質的研究法の一つであるグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)に、より簡単で行いやすいような独自の修正を加えています。

 使用される研究分野は、看護、医療、ソーシャルワーク、介護、教育、臨床心理などの人が密接に関わる領域がほとんどです。

※私は、地域における「在住者」と「よそ者」の交流が、新たな観光資源の発掘に使用できる事を明確に証明する手助けとして、M-GTA分析を用いました。



2.M-GTA分析の行い方

 では、そんなM-GTA分析の行い方を簡単に説明します。基本は、インタビュー調査で得たデータを文字起こしして、その文字起こしデータを細かく切り刻んでいく形となります。
 簡易的な説明になりますので、詳しい事を知りたい人や実際に使用してみたい人は、例えばこんな本をぜひ手に取って読んでみてください。


• 実施方法 (*簡易説明)
1. インタビューをする。
2. インタビューした内容を全部書き起こす。
3. 研究対象分野の書籍・論文をヒントに(カンを頼りに)フレーズごとに内容を細かく区切る。
4. 細かく区切ったフレーズを各グループごとに分ける。(親和図法)
5. グループごとに共通する【概念】を題名とする。
6. 各グループごと(【概念】)がさらに繋がるのではないか?と検討し、抽象度を上げて<カテゴリー>をつくる。(親和図×2度目)
7. <カテゴリー>ごとに関連を見出す。
8. 結果図 (M-GTAを通じて見えてきた仕組み・モデル)をつくる。
9. 【概念】<カテゴリー>を用いて、モデルの説明文(「ストーリーライン」)をつくる。
10. 2周目(笑) (1回目のモデルから、リサーチクエスチョンを作り、インタビューを追加していって、結果図を完成に近づける)
11. インタビューを繰り返して、もう新しい概念が出てこなくなったら終わり。(「理論的飽和」といいます。)




3.注意すべきこと

 ここまで、ざっとM-GTA分析の方法を説明してきましたが、簡単にご理解いただけたでしょうか?

 しかし、このM-GTA分析には注意しなくてはいけない事があります。
それが以下の3つです。

① ニッチな環境下になればなるほど、確保できる対象者が少なくなるので、M-GTA分析を使用しても根拠が薄くなります。さらに、根拠を明確にするためにアンケートを実施しても大人数回答は難しくなってしまいます。

 この場合には、可能な限り関連研究を探す等を行い、いかにこのニッチな環境下の研究が社会の役に立つ or 研究する意味がある という事を、他者が納得できる形で証明する必要があります。

②思っているよりも何十倍も時間がかかってしまうので、スケジュールに余裕がなくなってきます。

 本当に、これはM-GTA分析をしてみようと考えている方には、強く主張したいです。私は、修士論文締め切り1か月前からM-GTAを行う事になり、年末年始を全てM-GTA分析に捧げ、1日10~13時間レベルで死に物狂いでやりました。。。

 初めてやるよ!という方は、可能であれば、ぶっつけ本番ではなく、事前に予行練習をしてから本番に臨まれる事をお勧めします!!!

 私は、ぶっつけ本番でM-GTA分析をする事にしてしまった為、最初どうやって文字起こしデータを切り分けて、まとめていけばよいか分からず、1度で済んだものを2回も3回もやり直した…という事がありました。

③自分1人で、データに向き合っていく事になるので、どんどん主観的な仕上がりに偏ってしまい、客観性を失いかけます。

 こればかりは仕方がない事ですが、長時間データに向き合っていくと、自分の都合の良い形で結果を仕上げてしまう恐れがあります。ですので、分析を行うときには、専門書を読みながらデータに向き合うか、他人の意見を定期的に取り入れられるようにアドバイスを仰ぐことが非常に重要になってきます。

実際に行う際は、本当に気をつけてください!(笑) 
論文として世の中に出す場合には、客観性に関する点が恐ろしく疑われます!(笑)




4.実際に私が使ったツールとやり方

 ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます!!
きっとここまでたどり着いた方は、本当にM-GTA分析の使用を検討されている方だと思います。

 そんなあなたに、どこにもM-GTA分析のやり方として載っていない、
私が実際に昨年使ってみたツールをご紹介させてください!!

①Google ドキュメントをchromeで開いて、音声入力
 結構、文字起こしデータを作るのって難しいんですよね。
そのまま録音音声を文字起こししていては時間がかかって仕方ないですし、業者に頼んでいてはお金がかかる & 自分の中に内容が残りにくいのでその後の分析で”データを読む”という二度手間が発生します。

 そこで私が実際に使った方法は、Google ドキュメントをchromeで開いて、音声入力です。パソコンでchromeを開き、Google ドキュメント音声認識を使って、耳でデータを聞きながら、聞こえてきた言葉をパソコンに向かって話します!

 すると、音声を認識して勝手に文字を打ってくれます。

※ 割と精度がよかったので、お金をかけたくない方にはお勧めです!一度認知した単語は、AIで学習してくれてたので、いちいち変換しなくて楽でした。

② Excelでフレーズごとに切る
 文字起こしの次に大変なのが、文字起こしデータをフレーズごとに区切る作業…。

 私は、ドキュメントに書き上げた文章をExcelシートに貼り付け、誰が・何を発したかを区切り、整理した上で、さらにもう1つスプレッドシートを作り、フレーズごとに切るという作業を行いました。

③Miroで親和図と結果図の作成
 そして、 先ほどExcelで切り分けたものを、そのままコピーして貼り付け! ※ なんと、切り分けたままmiroに張り付く!!超便利!

 この親和図では、私は、【概念】付けと<カテゴリー>付け/分けを行いました。
まず得られたデータを「なんとなく、Aのキーワードは、Bのキーワードと同じ事を指してるな」等という感じで、名前のまだない【概念】分けていきます。

 そのあと、その名前のまだない【概念】に名称を、専門知識や専門家や先生のアドバイスをもとに付けていきました。その後は、<カテゴリー>も同様にAの【概念】とBの【概念】等をまとめて、<カテゴリー>に名前を付けていきます。

 そして、結果図もmiroで書き上げる事で、不要なペンや紙の出費を抑えつつ、すぐに修正できるというメリットを体感できるので、オススメします。

…ちなみに、Miroとは、付箋やペイントなどの機能を備えているアプリの事です。類似品もたくさんありますので、ご自身に合ったものでよいと思います。Miroのページはこちら↓基本英語対応ですが、当時私はアプリを模索した中ではダントツの使いやすさでした。



④ Excelで概念ごとに整理(分析シート) *違う方法を勧める
 そして最後に、ExcelとMiroを駆使して整理してきた事をシートに確認用としてまとめておきます。

 私は、Excelで 概念名、定義、具体例(なんて言っていたか)、理論的メモ(なんでこの分け方で、この概念名なのか?) を記載しまとめました。
そして、何といっても、修士論文にそのまま転載できた!(であろう)という事が最大の分析シートを作るメリットだと思っています。

(私は、乱雑すぎて残せる状態じゃなかったです…)

 しかし、Excelでは正直うまくまとめられないな、と感じていたのでアナログでやるもよし、異なる方法でやるもよしだと思いました。




5.これからM-GTA分析を行おうと思う勇者へ
(私自身、M-GTA分析を使ってみて)

 私自身、M-GTA分析を使ってみて、本当に大変な思いをしたので(時期が時期で急いでいたからかもしれませんが)余裕をもって、まずは練習をしてみる事を強く!!!オススメします。

専門書からでは知り得ることが出来なかった貴重な意見や考え方を吸収し、研究成果にも自分の生き方・考え方にも反映させることが出来ました。協力していただいた方々皆様に、心より感謝をしています。

これからM-GTA分析を行おうと思っているそこの勇者!!!
 ぜひ、私と同じ苦しすぎるスケジュールで悩まされることなく、余裕をもって、協力してくれた方々に大きな感謝の心をもって挑んでいただけたらいいな、と思います。きっと、M-GTA分析が人生の中で大きな経験 に(負にも正にも)なると思います。応援しています。


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