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田舎の小さな日用品と雑貨の店が広告費用ゼロでやってきたミスマッチの少ない発信方法

いつも伝所鳩の投稿をご覧いただき、ありがとうございます。

2020年11月にオープンした伝所鳩では、ブログやSNSで毎日2回の日々の発信を欠かさず続け、今日の投稿で1,000本目となりました。毎日欠かさず読んでくださっている方はさすがにいないかと思いますし、自分でも何を書いたのかもはや覚えてないくらいですが、頻繁に更新される長い文章に愛想をつかすことなくフォローを続けてくださっている皆さまには、感謝してもしきれません。本当にありがとうございます。

毎日投稿するというのは、今では生活の一部のようにもなってきたものの、実はこれが結構大変なんですが、なぜ毎日投稿をし続けるのか、ここで少しだけその理由をご説明しようかなと思います。

今回も長くなりますが、お付き合いいただけたら嬉しいですし、これからお店を始めようと考えている方は、ちょっとだけ参考になるかも?しれません。

新しくお店を出す場合、当然ながらたくさんの方に知ってもらい、お店に来てもらわなければ始まりません。どれだけすてきなお店を作っても、誰も来なければ自己満足でしかないわけですから。伝所鳩も一年と少し前にオープンし、誰も知らなかったこのお店を知ってもらうためにどうすればいいかを考えました。しかも、田舎の住宅地の中でたまたまお客さまが前を通り、自然とお店に入ってくれるなんてことはありません。もしあったらほぼ奇跡です。

お店を宣伝するには、ショップカードやチラシを作り、ひと目の付く場所に置いてもらったり、情報サイトやフリーペーパーなどに掲載してもらったり、ウェブ広告や雑誌、新聞折り込みを入れたりと、お店を知ってもらうための手段はいろいろとあると思いますし、それでお店を知るという方も多いと思います。伝所鳩のある但馬地域はウェブ発信が弱く、紙物のフリーペーパーが主流かもしれません。しかし、伝所鳩はこれらの方法を、なに一つ取っていません。

その代わりに行ったのが「自らで発信すること」。ただそれだけです。来る日も来る日もひたすら発信し続けることで、少しずつお客さまに知っていただくという方法を取りました。

なぜこのような方法にしたのか。もっと積極的にアピールした方がいいんじゃないのかとご意見をいただくこともあるのですが、最大の理由は「ミスマッチを減らすため」です。

伝所鳩のある兵庫県豊岡市日高町は、日本海のすぐそば。京阪神のように移動途中で通過するようなたまたま訪れるような場所にはありません。さらに住宅地の細い路地にあるお店は、住民でもたまたま訪れる場所ではないので、予定を立ててわざわざ時間を使って来てくださる方ばかり。だからこそ、せっかく来ていただいたのに期待していたようなお店ではなかったというのは、ぼくらにとってもお客さまにとっても残念なことです。

そこで、お客さまの目に触れる発信方法を自分たちだけの発信に限定することで、興味を持ってくださっている方に情報を届けるという方法を取りました。実は、ダラダラと長い文章を書くのにも理由があって、たまたま投稿を見てお店を知ってくれたとしても、わりと長い文章が書かれていればそこでもういいやとなってしまうお客さまもいることでしょう。でも、それでぼくらはいいと思っています。

長い文章や毎日の投稿を懲りずに見てくださるお客さまの多くは、しっかりと文章を読んでくださっていて、接客をしなくても商品のことを理解してくださっていたり、ぼくらの考えやお店のコンセプトをある程度分かってくださっている方がほとんどです。いつも思うのですが、伝所鳩に来て下さるお客さまはすばらしい方が多く、ほんとうにありがたいなと思います。

広告を出してお店を宣伝したり、人通りの多い場所にあるお店を出すのも戦略としては正しいのかもしれません。実際、伝所鳩は場所も悪ければ、際立った宣伝もしていないので、常に賑わっていたり、行列のできるようなお店ではありません。でも、それがいいなと思っています。

お店の前をたくさんの方が行き交い、フラッと来てサッと帰ってしまったり、お店に来てスタンプラリーのように写真だけを撮って帰っていく。そんな風にどこかお店や商品が消費されているような場所にはしたくないですし、何かしら目的を持ってお越しいただき、そしてゆっくりと商品をご覧いただき、値段やデザインだけではなく、ものの価値を理解した上で買うことで、きっと簡単には消費されないその方にとって大切なものになるはずです。

お店を既にやっている方、これから始めようと考えている方は、集客に苦戦することがたくさんあると思います。ぼくらもそうです。お店をやっていると広告の売り込みなども頻繁にあり、ときに無料で掲載します(のちのち有料で)といった甘い誘いもあるのですが、ただ闇雲にお客さまに来てもらえたら正解かというとそうではない気がします。

ちゃんとどういうお客さまに来ていただきたいかをイメージして宣伝しなければ、ミスマッチを起こしてしまうはずです。お店はお客さまと一緒に作っていくもので、どういう方に来ていただきたいかを考えて集客していく。これもお店づくりの大切な点かなと思います。

もちろん伝所鳩もまだまだお客さまの数は少ないですし、全くもって成功しているわけではないですが、少なくとも今来て下さっているお客さまはお店のイメージととても近い方が多く、そういう点では毎日の発信を続けてよかったかなと思います。正直めちゃくちゃ大変ですけど。

そういえば、昔よく通っていたカフェのマスターから、隣の席に座った常連のお客さまをこんな風に紹介してもらったことがあります。10年前にお店をオープンした直後、お店の前を通りかかった方を見て「いつかあんな方に来ていただきたい」と思っていたら、10年後には常連になっていたと。ちゃんと自分のお店には、どういうお客さまに来ていただきたいかをイメージしているんだなと思ったのを思い出しました。

来るもの拒まず、去る者追わずという言葉がありますが、まさにお店をやっているとその通りで、いつの間にか常連のお客さまができたり、急にお客さまが来なくなったり。最初は、少しの変化に一喜一憂したりもしていましたが、今はそこまで気にならなくなりましたし、日々の発信はこれからも淡々と続けていければなと思います。

10年後にこの場所があるのかどうかはぼくらにも分かりませんが、次の2,000本を目指して、引き続き懲りずに読んでもらえたら嬉しいです。

伝所鳩の毎日の発信は、公式サイトのブログ、Instagram、Facebookでご覧いただけます。

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