本質的な課題と向き合うための想像力ーーカスタマーサポートとプロダクトの両輪で課題解決へと導く
電脳交通のシステムを導入いただいた後、実際の運行現場で起きている課題や改善点を把握するため、利用後のお問い合わせ対応やアフターフォローの充実は欠かせません。
現場の課題を拾い上げ、適切なシステム開発に活かすことで、タクシー事業者にとって必要不可欠な存在になっていく。そんな現場の課題に寄り添うカスタマーサポートと課題解決のためのプロダクト開発を兼務しているのが松浦です。
タクシー会社勤務の経験を活かしながら、電脳交通に参画する、タクシーの実情を最も理解している人物です。なぜ電脳交通に関わっているのか、カスタマーサポートとプロダクトの両輪で、どのような課題解決に取り組んでいるのか、話を聞きました。
現場感を持ちながら、業界全体を変革したい
ーー松浦さんは、タクシー会社に所属しながら電脳交通にも参画されています。電脳交通入社の経緯について教えてください。
タクシー会社では、6年間、経営から運行管理、配車オペレーターなどあらゆる業務に携わってきました。人材不足に悩まされながら、いかに効率的に経営していくかを模索する日々でした。正直に言って、アナログでできることはほぼすべてやりきっている業界だと思います。
配車一つとっても、スキルを持ったオペレーターの職人芸で成り立っています。これら職人的な技術や経験を共有化するには、業界全体のデジタル化が必須だと痛感しました。そうした危機感から、2020年頃に電脳交通のシステムを自社に導入したんです。導入後に「もっとこうしたらいいのに」「もっとこういう機能があったら」と考え、近藤社長に「電脳交通で働かせてほしい。現場の課題をもっと活かしてより良いサービスにし、ひいては業界を変えていきたい」と相談し、参画することになりました。
ーー自社ではなく、なぜ、あえて電脳交通に入って業界を変えようと考えたのですか?
日々の業務に追われるとできることは限られますし、一社ではなく外部の力も借りなければ業界全体は変化しません。電脳交通というタクシー業界全体のDXを推し進める存在がそうした役割になれるはずですし、私の経験が電脳交通に役に立つとも思いました。業界全体が変わっていく大きな波を作ることで、地域交通を支えるという使命が果たせると考えました。
ーーそうした経緯を踏まえて、現在、松浦さんはカスタマーサポート(以下、CS)とプロダクトの部署にいらっしゃいます。どのようなお仕事をされているのか、教えてください。
CSは、電脳交通のシステムを導入いただいたタクシー事業者様のアフターフォローを中心に対応する部署です。CSには日々「こんな時どうしたらいい?」「こんなことできないの?」といった質問や要望が集まってきます。こうした貴重な意見をデータベース化し、社内であれば誰でも参照できるようにしています。
さらに、お問い合わせに対して「この機能で解決できるはず」「この機能について十分な理解が行き届いていないかも?」「この機能を間違って使っているのでは?」といった、お問い合わせに対する適切な課題解決を提案すると同時に、現場から集まった課題を開発につなぎ、プロダクトの改善、新機能の開発を行っています。現場感をもって事業者に寄り添った課題解決を図るためにも、カスタマーサポートで収集した意見と顧客のお困りごとを把握し、開発チームへの橋渡しをしています。
本質的な課題への翻訳がプロダクト開発の鍵
ーーCSにおいて、松浦さんならではのアプローチでどのような課題解決に取り組んでいますか?
私は事業者側の経験があります。そのため経験則や現場ならではの様子をイメージすることができます。また、事業者やドライバー特有の温度感を踏まえながら、お問い合わせいただく直接的な課題とその裏側にある本質的な課題の違いを意識して、システム開発に正しい形で活かすようにしています。
ーー直接的な課題と本質的な課題の違いとは、具体的にどのようなことですか?
例えば、事業者やドライバーの「こういう機能をつけてほしい」という意見をそのまま反映して開発しても意味はありません。既存の機能がわかりにくかったり、実は別の機能で代替できたりするかもしれません。もしかしたらUIや操作性が原因かもしれません。彼らが普段考えていることを想像しながら発言内容を翻訳し、その裏側にある本質的な課題を解決できるようなアプローチでなくてはいけません。CSが課題解決の入口なら、プロダクトは出口のようなものです。その出口が間違わないよう、常に意識をしながらCSとプロダクト開発を往復しています。
たとえば、先日に一部機能をリリース、目下開発中の「DSスマート」パッケージは、自動受付機能を強化し、いかに少ない人数でお客様からの配車依頼を処理するか、という観点で開発している仕組みです。しかしながら、事業者の経営方針によっては、日中はオペレーターが対応することに価値があるケースもあり、特定の時間帯や特定顧客向けだけで利用したい機能である可能性も考慮しなければいけません。事業者が抱えている課題を解決するデジタル化を促進する一方で、実運用を考慮し、あえて人が介入する余地を残すなど、”非合理の理”が求められるケースもあります。
ーーCSでは、チャットボットによるお問い合わせ対応も導入しています。これも一つのデジタル化ですね。
これまでCSは、9時から17時までの電話による対応がメインでした。しかし、タクシーは24時間365日稼働しているため、24時間体制のサポートを求める声も少なくありません。そこで、タクシー会社が自力で問題解決が図れるように、FAQやよくある問合せに対する対処方法をまとめたマニュアルなどを整備して最適な情報がすぐに見つけられる環境を提供しています。また、サポート時間外でも問合せや機能改善要望の一次受付ができるよう、チャットによる受付機能も提供しています。
ーーCSやプロダクトの今後について、どのようにお考えですか?
お問い合わせにただ回答するのではなく、そこから一歩踏み込んで、事業者へ自発的に価値ある提案ができるようにしたいですね。お問い合わせがない事業者だからといって、問題がないわけではなく、そもそも課題に気付いていないケースも多くあります。
電脳交通から、各事業者の生産性を向上させる価値ある提案を行い、各地のタクシー事業者を支えること、つまりは”カスタマーサポート”ではなく「カスタマーサクセス」へと進化していくために何ができるかを考えています。
プロダクトでは圧倒的な使いやすさ、便利さ、生産性を実現できるUXを実現したいです。現在のシステムは、配車室にとって便利な機能や開発がメインでした。今後は現場のドライバー、ひいてはタクシー会社の経営者にとって価値あるプロダクト、たとえば情報が可視化され経営の改善につながったり生産性が向上したりするようなシステムを目指しています。他にも、API連携など他社や他業種との接続を円滑にし、電脳交通のシステムを通じて新しい価値を生み出せる環境をつくっていきたいですね。
徳島で働きながら、全国の事業者と対話する
ーーCSは徳島本社オフィスでの勤務です。みなさん、どのように働かれていますか?
リモートでのサポートは可能かもしれませんが、あえて対面で集まっています。たとえばクレーム一つとっても、事業者側の温度感や緊急性の高い問い合わせで速やかに対応すべきものだという判断は、オフィス内で状況を共有していないと伝わらないものがあります。何かあればすぐに集まって議論し、迅速に開発側にフィードバックすることもあります。意識の共有をスムーズにし、正しい解決策と迅速な対応による正のループを回すためのコミュニケーションがCSやプロダクト開発には欠かせません。
ーー徳島にいながら、全国各地のタクシー事業者へサポートを行っています。各地の事業者とやりとりをするなかでの苦労はありますか?
タクシー事業者は全国各地、特に地方の会社さんが多いです。地方ならではの交通事情は、普段から地方都市にいるからこそ肌感覚でわかるものもあります。それこそ、都市圏だとアプリを使えばすぐに呼べて配車できると思いがちですが、地方都市では電話して配車依頼をするのが通常です。徳島という場所で働くことは、地域交通の実情や日常におけるタクシー利用の実感が持ちやすいと思います。
徳島にいながらタクシーという地域交通の課題の実感を持ちつつも、一方で産業全体をデジタル化し課題解決を推進していくという大きなミッションもあります。いわば、泥臭い業界で泥臭くなりながら、変わらない為に変化を促進していく。これこそが電脳交通のあるべき姿だと考えています。
電脳交通が目指すデジタル化とは、基盤となる仕組みやシステムによって誰でもすぐに使えるようになると同時に、個々の課題や実情に即した、より本質的な課題解決にアプローチするためです。
特定個社に寄りすぎてもいけませんが、特定個社から出た課題は、他の会社にも転用できることも多々あります。タクシーという事業を円滑にする基盤を整備しつつ、各社や各地の特異性に対応していくプロダクトが今後求められてきているとひしひしと感じます。
相手への想像力を持ち、使命感を持って取り組む人へ
ーー最後に、電脳交通のこれからについて松浦さんなりのお考えを伺わせてください。
人口減少、地域の高齢化が進むと、バス路線がなくなったりするだけでなく、タクシーも減少していきます。それはつまり、人が移動する手段が減少するということです。地域交通を支える業界全体の使命を全うするため、各部署一丸となって取り組んでいます。
CS、プロダクト&サービス、両セクションに共通して、なぜ相手はこんなことを言っているんだろうと考え、相手が望んでいることへの想像力をしっかり持って考えられる、かつ、本質的な課題に対して具体的なソリューション案を考えるという、仮説と検証を繰り返し続けられる方を歓迎します。
タクシー業界の経験やスキルは電脳交通に入ってからでも問題ありません。それよりも、地域交通を支えるという使命感にやりがいを感じる人と一緒に働きたいですね。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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