「電波ってなに?」を突き詰めたら~見えないモノとの奮闘~
こんにちは!電気興業 公式noteです。
わたしたちはアンテナ屋さんなので、電波を扱う仕事をしているのですが、
そもそも電波ってなんなんでしょうね。
見えないし、触れないし、匂いもない、音もない、痛くもない、熱くもない
人間の五感でとらえられないのに、本当に存在するのか疑いたくなります。とはいえ、確かに存在しているんです。
ということで、ここでは「そんなつかみようのない電波を分かりやすく話せないものか」と考えた電気興業 公式noteの一編集者が、電波の正体を突き止めようとした奮闘記を楽しんでいただければ幸いです。
(※本記事は個人の解釈、考えを多く含むものであり、学術的な事実に基づいた情報以外は、一個人の意見であることを予めご了承ください。)
1.電波と光は仲間?
電磁波とは
まず、電波は、電磁波です。
...じゃあ電磁波ってなに?となると思いますが、エネルギーが空間を伝っていく現象のことをいいます。
空間を伝って、電気エネルギーを届ける波が電磁波です。
ただ、音の波とは違い、電磁波は空気が無くても伝わります。
電磁波には種類がある
電磁波は、波の形によって特徴が異なるので、周波数で種類分けされています。
周波数とは、波(図1の水色の矢印部分)が1秒間に何回発生するか、です。
例えば、1秒間に波が1回あるものは、1Hz(ヘルツ)の電磁波ということになります。
ちなみに、どの電磁波も1秒間に進むキョリは一定ですので、周波数が高くなれば、波長も短くなっていきます。(図2)
で、電磁波にはどんな種類があるかというと...
普段、聞いたことのある言葉がちらほらあるかと思います。
実は、放射線も光も電波も、電磁波という同じ仲間なんです!
先ほど、「どの電磁波も1秒間に進むキョリは一定」だとお伝えしましたが、電波も光の速さで進むということです。
電波が見えないのはなぜ?
光と同じ仲間なのに、なぜ電波は目に見えないのでしょうか?
答えは単純です、人間の身体構造の問題です。
人間には、光(可視光線)以外の電磁波を信号として受け取る器官が備わっていないため、見ることができません。
電波が透明なのではなく、人間の眼で認識できないだけであり、たまたま見えた電磁波を光と呼んでいるだけなのです。
それにしても、わたしたちが見ることのできる光は、電磁波のごくごく一部だったんですね。
2.電波の正体
「電波は波」って言われても...
ここまでに書いた情報は、ネットでとりあえず「電波とは」で検索すると知ることができますし、「電波ってなに?」という疑問に対しては、何も間違っていない正しいアンサーです。
ただ、間違ってはいないけど、私が知りたいのはそういうことじゃない。
そういうことが知りたいんじゃないんです。
そのエネルギーを伝える波が一体何者なんだ???????って話ですよ。
自分で書いていてなんですが、正直いまいちピンとこないんですよね、
波だって言われても。
音は空気を振動させて伝わるけど、じゃあ、電波は何を振動させて伝わるの?
何でできているの?成分は何?もはや物質ではないのか?ってことは概念?
次から次へと疑問が...
電波は概念?
まず、電波は、概念ではないです。
電波はモノに遮られますし、反射もします。
アンテナを使えば、出したい周波数の電波を出したい方向に飛ばすことができますので、実在するということになります。
(アンテナについては、また今度詳しく書きます!)
電波は物質?
実は、電磁波としてのエネルギーを媒介している存在がいます。
その正体は、「光子《こうし》」という素粒子です。
(またよくわからない言葉が出てきた...)
「なるほど、電波は素粒子でできているのか!」とはならず、まだ納得できません。
では、素粒子とは何でしょうか?
素粒子とは、わたしたちの身体をはじめ、この世のありとあらゆるモノを構成する最小単位です(いまのところ)。
地球上や宇宙空間には、何もない無の空間があると思っていませんか?
見た目には何もないように見えても、実際は多くの素粒子やエネルギーで満たされており、分子や原子も分解していくと、素粒子からできていることが分かっています。
現在までに17種類の素粒子の存在が確認されており、そのうち、物質間のエネルギーの伝達を担う粒子の一つが光子なのです。
つまり、空間に存在している光子によって電波としてのエネルギーが伝達されているのです。
じゃあ、この光子が物質かどうかが分かれば、電波の正体がつかめそう!
なんですが...
この質問に答える前に、「物質」が何かを理解する必要があります。
物質とは、簡単にいえば質量があるもののことを指します。
当然、この世のありとあらゆるモノを構成している、つまり質量のあるモノの最小単位である素粒子には、質量があると考えられるはずです。
ところが、この光子には、質量が無いとされています。
厳密には、光子の質量は無視できるものとして定義されているのです。
・・・ん?無いなら無いとなぜ断言しないのか。
断言できないんです。
光子には質量が無いという前提でなければ、光速で電波が進むことの説明がつかないのですが、なんせ宇宙のほとんどがいまだに解明できていません。
そんな状況では、光子に質量がある可能性が完全にゼロだとは言えない、というのが物理学の現状のようです。
ただ、わかっている範囲においては、現状、光子の質量はゼロとした方が都合が良く、電波は物質ではないというのが答えです。
結局電波ってなにもの?
ここまで長々と書いてきましたが、結局電波がなにかと言われれば、
波と粒子の性質を持ったエネルギーそのものとしか言いようがないわけです。
今回の結論としては、
「そもそも、実在するものにはすべて質量があるという誤った前提が、電波の理解を難しくさせていた」というのが、ひとつ答えになるのかと。
正直、電波を理解するために、こんなに遠回りさせられるとは思ってもいませんでした!
それにしても、大した答えも出せず、非常に不甲斐ないです・・・
3.もしも電波が見えたら...
モヤっとした話のまま終わるのも申し訳ないので...
電波は目に見えないとお話しましたが、もしも電波をはじめ、電磁波を視認できる器官が人間に備わっていたら、どのような世界が見えるでしょうか?
ちょっと想像してみました。
携帯電話も人間も光る?
電波がいったい何色をしているのかは知りようがありませんが、電波を出しているモノが光源のように光って見えるとすると、携帯電話が眩しくなるかもしれません。
ちなみに、人間も熱放射というかたちで、赤外線を出しているので(身体に手を近づけると、触れていなくても熱を感じるのはこのためです)、人間のまわりもぼんやり光って見えるんだろうなと...
紫外線がより一層気になる
紫外線だって見えてしまうので、日焼け対策に敏感になる人もいれば、効率よく日焼けできる場所と時間帯が分かるので、便利に感じる人もいそうですね。
透視能力が手に入る?
”電波の光”や電波の反射を使って、モノのシルエットを認識することも可能となり、どこに何があるのかが簡単に分かるようになります。真っ暗闇でも空間を把握することができるので、夜間の犯罪発生率が下がるかもしれないですね。
そう考えると、電波が見える世界では、良くも悪くも視覚情報が増えるので、ブルーライトカット眼鏡があるように、「マイクロ波カット眼鏡」なんて代物があったりするのでしょうか?
最後に
いかがでしたでしょうか?
電波について、わかったような、わからないような...
読んでいただいたみなさんをモヤモヤさせてしまったかもしれません。
よくよく考えてみたら、わたしたちの周りには、わからないことであふれています。
今目の前にあるものが、何からできていて、どのように作られているのか、わかるものの方が少ないですよね。
そんなこと、ひとつひとつ考えようとしたら、いくら時間があっても足りませんし、知らなくても快適な生活を送ることができています。
ですが、それはその世界に精通した専門家の人たちが、わたしたちの見えないところで支えてくれているからですね。(頭が上がりません!)
そして、電気興業にも見えないはずの電波が見えてしまうような、
電波の専門家たちがいます!
彼らの紹介はまた別の機会に。
次回の記事も楽しみにしていてくださいね!