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ドライブインのジュークボックスで聴いた『学生街の喫茶店』

 小学校の卒業式を終えて、中学への入学を待つ春休みに、父の用事に同行して小旅行をすることになりました。用事がある場所が離れているのと、父の仕事の都合から、出発は夕方になりました。目的地には、翌朝に着く予定でした。

 最初のトラブルは、ガソリンでした。当時、オイルショックで原油価格が高騰し、省エネが叫ばれていました。そのせいで、ガソリンスタンドは早い時間で店じまいしていました。特に、休日の夜には開いているガソリンスタンドは殆んどありませんでした。父は忙しかったのと準備不足で、出発時のガソリンの給油を忘れていました。ガソリンが無くなりそうになるのに気付いたのは、真夜中でした。走っていたのは比較的大きな国道ですが、開いているガソリンスタンドが中々見つかりません・・・。かなり焦りましたが、方々探し回って、やっと給油できました。

 次のトラブルは、私の車酔いです。今では三半規管が衰えたので、車に酔うことはありませんが、小さい頃はバスや車による乗り物酔いがひどくて、車での移動は苦手でした。今回は、助手席で眠っていればいいので、何とかなるだろうと安易に考えていましたが、やはりだめでした。段々と気分が悪くなってきたので、ドライブインで休憩することになりました。ドライブイン(車が休憩できる喫茶店のような店)は、最近では見かけませんが、その当時は大きな道沿いには結構ありました。

 気分は最悪で、頭はグルグルしていました。ドライブインでは、父が冷たいジュースを注文してくれました。ジュースをチビチビ飲みながら気分を落ち着かせていると、聞いたことのない音楽がドライブインの奥の方から流れてきました。ドライブインの奥には、当時定番だったジュークボックスがありました。ジュークボックスというのは、お金(硬貨)を入れて好きな曲がリクエストできる装置です。

 その曲は、イントロはドヨ~ンとした暗い曲調ですが、サビは綺麗なメロディーラインで、聴いていると何だか気分が高揚してきました。その時には、歌手名や曲名は知りませんでしたが、それがガロの『学生街の喫茶店』でした。ガロは、この時はまだブレーク中でしたが、中学入学後あたりから大ブレークします。その時は、知らない歌手の知らない曲でしたが、この曲のおかげで車酔いがだんだんと落ち着いてきました。その後、目的地まで何とか持ちこたえました。この時のことを思い出すたび、ガロのメロディーが流れてきます。とても思い出が深い曲です。

#思い出の曲

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