鬱なので脳に電流を流してみた(1回目)

さて、前のノートにも書いたが、皆さまはTMS(磁器刺激治療)をご存じでしょうか?

うつ病とは、脳の一部が上手く機能しなくなって、神経物資の伝達が上手く出来ないのだから、その部分に電気を当てて物理的に直してみようという治療である。

大体は10回ほど受ければ効果が見えてくるものらしいが。早い人は3回目くらいから効果が出てくるという。今回はその記念すべき第一回目について書いていきたい。

電流を当てる位置と強さを決める

TMSを受けるに当たってまず、当てる位置と電流の強さを決める必要がある。
白い水泳帽を被らされ、そこから眉毛から頭頂、右耳から頭頂を通って左耳までの距離、そして頭の周りをぐるっとメジャーで図り、事前に被らされいた白い水泳帽に色々と書き込んでいく。
さらにその後、どの程度の強さの電流を当てるかを見る為、頭の右側の運動を司る神経に電流をあて、左手の指がどのくらい反応をするのか見るのである。指が少しピクッと動く程度で良いらしいのだが、電流が強ければ良いと言う訳ではないらしいが、早く効かせる為にも強くしてよ!と思ってしまうのは、悲しいかな人間のサガなのか、私の現金な性格なのか。

いざ、施術開始!

さて、電流を流す位置も、電流の強さも決まればいざ施術の開始である。
位置を決めた時と違い、今度は左側のおでこの際際辺りから、頭頂に向かった所までに流す。
恐らく前頭葉辺りにある何かを刺激しているのだろう。私は、私の知るありったけの脳に関する単語を集結させて、そういう頭の悪い感想を思い浮かべた。
「強いデコピン程度ですよ。それより痛かったら教えて下さいね」施術士さんはニッコリ笑って言った。私は腕にデコピンをしてみた。デコではないから痛くない。
施術が始まった。ちょっと痛い。電流が流れる度に、おでこから左瞼までがひきつった。下手したら歯を食いしばりそうになるので、私は口元を意識した。
若干近未来っぽくも見えるマッサージチェアに座らされ、頭には白い水泳帽を被り、そして変な機械を当てられている風景を、いつか誰かに写真に収めて欲しいなと思いつつ、せっかくなのでSF気分を味わう事にした。
以前、バイオリンを習っていた時、私は先生の動きを見ながら、「この人の脳の動きを、自分の脳にインストール出来たら良いのに」と思いながら先生を見ていた。先生はいい人なので、まさか自分の生徒がそんな気持ちの悪い事を思い浮かべているとは思いもしなかっただろう。インストール出来ない代わりに、私に精一杯バイオリンの弾きを方教えてくれた。
しかし、どれだけ技術が進化しても、バイオリンの動きだけをインストールする為には余計なデータをそぎ落とさなければならない。しかし、人間や機械にはそれができるだろうか?
もし、万が一、その人のトラウマも一緒にインストールしてしまったら?
もし誰かが故意に、皆がインストールするプログラムに「悪意」を組み込んだら?

第一回が終わった。何かが変わったという気はしなかった。私は病院近くの回転寿司でホヤの軍艦を堪能したのだった。

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