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人材育成部の舞台裏:「小さく仮説検証」するチームのサイクル

こんにちは! SmartHRで人材育成部に所属している井上(@Inota)です。今回は、あまりオープンに話す機会がなかった人材育成部のことを書こうと思い、久々にnoteを開きました。

どんな課題に・どんな組織で・どんな結果を出してきたか? 3点全部が揃うと、育成部のことを解像度高く知っていただける気がするのですが、今回は主に「組織」の話のうち私たちの業務サイクルを書いている記事です。
弊社の人事組織に興味のある方や、"組織づくりのヒント"を探している方には楽しんでいただけると思います。課題が気になる方は、以前開催した「人事戦略オープン討論会」をぜひご覧ください! タスケテ…


SmartHR社と人材育成部

SmartHRは、人事労務システムを祖業とするSaaS企業です。従業員データが正しく集約できることを起点にタレントマネジメント機能を提供しはじめ、いつの間にかタレントマネジメント領域の機能数は記載されているだけで10を超えました。開発チーム頼もしい!

サービスサイト > 機能 > 機能一覧のスクリーンショット(2024.7.19)

そして、7月1日にシリーズEの資金調達を発表しました。従業員数は1000名を超え、今後も拡大路線です。事業としてはマルチプロダクト展開を更に推し進め、AIなどの新技術への投資やM&Aなども見据えた成長をしていくことが予定されています。

そんな会社で、育成部は1年前の2023年7月に発足しました。「組織拡大に伴うマネジメント層の増加」「新卒採用のスタート」などのイベントがある中で、ゼロからとは言わないまでも0.1くらいから育成の仕組みを作っていくことが期待されていました。

人材育成部がカバーする領域(「well-working story」から抜粋)

つまり、上の画像で表現している内容が散らばっていたり、影も形もなかったということです。

人材育成部のサイクル

さて、そんな立ち上げ期×正解の見えない荒野をゆくためには、メンバーそれぞれが自分のオーナーシップを各プロジェクトで発揮し、「小さく早く」仮説検証することが求められます。
実際、育成部はどんなサイクルで仕事をしているのかを紹介します。

育成部の1週間の過ごし方

私たちの仕事は、1週間を1つのサイクルとしています。
水曜のプランニング(今週やることの共有)から始まり、業務をそれぞれが遂行。翌週の企画会で成果物について議論を行い、1週間の働きをふりかえってまたプランニングへ……ご存知の方なら「スクラムっぽいな」と思うかもしれません。そうです、スクラムっぽい思想です。ただし、スクラムを最初から目指してこうなったわけではなく、課題に取り組んだ結果スクラム的な業務サイクルに至っています。

1週間のサイクル

前述の通り、育成部には小さく早く仮説を検証する業務スタイルがマッチします。一方で、場当たり的な早さに傾倒してしまうと、"しらけ"や活用されないことによる育成施策への不信感を招く可能性もあります。そうならないためには、小さく早く & 課題を正確に捉えることを両立する必要があります。
中心となる取り組みには、企画会・ふりかえり・プランニングの3つがあります。

育成部のアウトプットを支えるサイクル

1.企画会

まずは、「施策の質を担保する」ことを目的に"企画会"を行います。ここでは以下3つのことをアジェンダとして扱います。

  • 相談:煮詰まっていないものを「あーだこーだ」したい(進捗1%から歓迎)

  • レビュー:だいたいできたけど、完成度あげるために見てほしい

  • 共有:紆余曲折をシェアするので、多様な視点でコメントがほしい

しばらく部内で運用した後、この企画会には人事部のほか組織からも参加者を招待するようになりました。関係者は任意でいつでも参加できるほか、アジェンダの内容に応じて、各部署の実態にくわしい組織人事部や基幹人事制度のオーナーである人事制度部に声をかけています。これにより、メンバーは多角的なフィードバックを施策に活かすことができます。

組織人事(旧 組織パートナー)からレビューをもらう様子

2. ふりかえり

企画会のすぐあとに、ふりかえりを実施しています。各自が今週あったことを言語化し、継続すべきこと・改善のため試すべきことを出していきます。現在はフレームワークとしてGKPTを採用しています。

ふりかえりはFigJam上で行っています

3.  プランニング

プランニングでは、各自がタスクの単位でやることを事前に考えてきて、テキストで共有しています。(研修のトークスクリプトを作る・ある施策の企画をする など)

このプランニングの実施初期には、タスクを盛りすぎる傾向がありました。
これが繰り返されると、毎週立てるプランが全体のゴールに対して意味のないものになってしまいます。この「予実管理の精度」を課題として、現在はGoogleカレンダーの予定をカウントしてくれるGASを作成し、今週は何時間作業ができるのかを見ながらプランニングしています。

4.  [月1]ロードマップ見る会

先程の図には表現されていませんでしたが、月に1度、1時間ほどかけて各自のプロジェクトが予定通り進捗しているかを確認する会があります。ここまでで紹介したサイクルは週1で回しているのに対し、ロードマップ見る会は月1のサイクルを回す会議です。これは組織が半年たった頃、新たな取り組みとして始まりました。

毎週ではなく大きな単位で進捗を確認する機会を設けることで、育成部の現在の状況がわかりやすくなり、「お互いが連携すべき所」について話したり、完了を承認しあうタイミングができました。

サイクルの今後の改善点

サイクル自体も定期的に見直しています。先月行ったふりかえりでは、現在のチーム課題は「優先度のコントロール」にあるという意見が出ました。

  • 課題

    • 部全体での優先度のコントロールができていない

  • 原因

    • 属人化が進行し、部全体の課題が把握できていないため

進捗や"やること"を確認する機会は定期的ある一方で、新卒・ミドルマネジメントといった領域ごとにオーナーが分かれているため属人化が進行し、「育成部全体として出すべき成果に向かえているのか?」を議論する機会が不足していました。
また、ありがたいことにメンバーも増え、今期からは以前はスピード重視で属人化上等だった部分も今期からは見直す機運が訪れています。

この課題に適応するため、ちょうど現在、バックログツールの運用プロジェクトを私の方で進めています。「バックログ」とは課題が入っていて、誰でも現状が見える箱のようなものです。
いままでより高い透明性をツールで簡単に確保することによって、優先度のコントロールができるチームを目指します。


サイクルのなかで大切にしてきたこと

仕事のサイクルが安定しても、なお改善していけるチームへのありがたさを入口に「このチームはなぜこんなに仕事しやすいのか?(主観)」を考える機会がありました。最近、「モダンアジャイル」という概念を教わり、これだ!と思ったのでそちらをベースにお話します。

  • 人々を最高に輝かせる

  • 安全を必須条件にする

  • 高速に実験&学習する

  • 継続的に価値を届ける

上記はモダンアジャイルの4原則です。この中で、特に人材育成部がベースとして持っている価値観は以下の2つに近いものだと思います。

「安全を必須条件にする」

前提として、SmartHRではフラットなコミュニケーションが好まれます。これは役職や学歴・知識、年齢といったものを権威的に扱わないというカルチャーです。
それに加え育成部のミーティングはわいわいと賑わうことが多く、常にゴキゲンに一緒に仕事をしていることも、お互いのことを自分ごと化して考えるきっかけになっていると感じます。

「高速に実験&学習する」

例えば、いま私が実施しているマネジメント研修は、テストフライトを人事や実際の対象者に対して繰り返す中で改善してきたものです。企画段階でも、箇条書きのレベルでレビューを受けていました。
フィードバックを求める過程では、失敗したな〜と思うこともありました(考慮不足や盛り込みすぎなど)。ただし、プロセスにおいては失敗していいと思っているチームなので、貰えるフィードバックは常に建設的なものです。ほかのメンバーの成果に繋がるように、私自身も建設的なフィードバックを心がけています。

全社方針や組織からのニーズを受けて、育成部には「変化」を起こすことを求められていることもこの価値観に影響していると思います。


新メンバーはサイクルをどう思ってるか

内容は以上ですが、せっかくなので6月に入社した大津さん(@Yucchi)に、感想を聞いてみました。

Inota「入社してすぐ、図などで説明はしたけれど、実際にサイクルを経験してみてどうですか?」
Yucchi「わかりにくいとかはなかったです。企画会で気軽に相談できる空気があるし、ふりかえりでは一週間のことを共有するルールがあるので同僚のやっていることをキャッチアップ出来たのは良かったですね。」
Yucchi「あと、企画会の進行役が平等に回ってくるのが、前職と違って新鮮でした! ファシリテーション力が自然と身につきそう。」
Inota「なるほど、ありそうですね。逆にこれから良くなる所は思いつきますか?」
Yucchi「会議体がこれから新しくなると思いますが、まさに発展途上だと思います。1つ1つの会議の立ち位置がはっきりしてくると、よりよい形が見えそうです!」
Inota「…プレッシャーかけてます?」
Yucchi 「😊」

We Are Hiring!

最後になりますが、SmartHRでは一緒に働くメンバーを募集しています!
この記事を読んでSmartHR人材育成部のアジャイルな考え方に共感していただいた方や、興味を持っていただけた方。ぜひ下記の採用サイトをご覧ください。育成を通してwell-workingを社会に届けましょう!
ご応募お待ちしております。


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