ある中年男からの手紙(2700字小説)
法廷記者馬場の住むアパートのポストに差出人不明の手紙が入っていた。
ロクな手紙じゃなさそうだ。
それはそうに決まってるが中身を読まずに屑かご行きはためらわれた。
仮にもわたしは記者なのだ。
私宛に送られてきた文字の羅列を、それを読んでみる前から屑かごに放るなど、記者魂とでもいうものがそれを許さなかった。
開けてみよう。
読んでみると、そんなにムカムカするものとかではなかった。
以下その全文である。
拝啓、馬場様
わたしは人生のある時点であなたさまと間接的にかかわっております。
あなたさまはわたくしのことを直接は御存知ないと思われますがお手紙します。
わたしの人生は現在、将来の見通しが非常に悪いものになっております。
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