沢野ひとし【食べたり、書いたり、恋したり。】第7回 納豆に恋して
小学校三年生の時の運動会が忘れられない。50メートル競走の賞品に納豆がでた。一等はノートに鉛筆、二等はワラで包まれた納豆が一つ。三等はリンゴが一つであった。
そのとき私は二等で納豆であった。それまで経木の納豆しか知らなかったので、その濃厚な匂いがするワラ納豆に興奮した。先生からは「賞品はかならず家の者に見せること」と言われていた。
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