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北風のリュート

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「#創作大賞2024」の応募作品、『北風のリュート』をまとめました。
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2024年6月の記事一覧

【連載小説】「北風のリュート」第7話

前話 第7話:奏でるもの(3) 「このリュート、どこで手に入れたの?」と流斗が尋ねる。 …

deko
1か月前
60

【連載小説】「北風のリュート」第8話

前話 第8話:奏でるもの(4) 「デブリが長引いて、お待たせしました」  深緑のつなぎ姿の…

deko
1か月前
63

【連載小説】「北風のリュート」第9話

前話 第9話:奏でるもの(5)  ふうっと一つ大きく深呼吸し、レイは覚悟を決める。たった一…

deko
1か月前
56

【連載小説】「北風のリュート」第10話

前話 第10話:奏でるもの(6)  そうだ、と流斗はレイがテーブルに立てかけている楽器ケー…

deko
1か月前
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【連載小説】「北風のリュート」第11話

前話 第11話:謎の増殖(1) 【4月23日 鏡原市中町『小羽田医院』】  はあ、はぁ、はあ。…

deko
4週間前
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【連載小説】「北風のリュート」第12話

前話 第12話:謎の増殖(2) 【4月26日 つくば市×鏡原市】  学会を控え論文やデータの整…

deko
4週間前
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【連載小説】「北風のリュート」第13話

前話 第13話:謎の増殖(3)  流斗は己のうかつさを呪った。レイからの着信は三日前か。  航空祭で会ったのが2週間前。これまでレイから連絡してきたことはない。立て続けに4回も掛けてきている。何かあったのだ。21時過ぎか。女子高生に電話するには、ぎり許される時間だろう。 「ごめん、研究室に泊まり込んでて、スマホを家に忘れて」  早口で謝罪を述べ、ごめん、と繰り返しスマホの画面に向かって深々と頭をさげた。  冷やりとした沈黙が流れた、と流斗は感じた。5秒ほどだっただろうか。そ

【連載小説】「北風のリュート」第14話

前話 第14話:絲口(1) 【4月28日 鏡原】  昨日の気象学会でも、鏡原の現況が話題にのぼ…

deko
3週間前
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【連載小説】「北風のリュート」第15話

前話 第15話:絲口(2) 「知りたいのは、赤い浮遊物の正体。風蟲の成長したものか、変異し…

deko
3週間前
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【連載小説】「北風のリュート」第16話

前話 第16話:絲口(3)  小羽田家は、基地より県道を挟んだ東の新旧の家屋が混在する住宅…

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3週間前
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【連載小説】「北風のリュート」第17話

前話 第17話:絲口(4) 「4日前に、空の魚がレイさんにコンタクトを取ってきました」  流…

deko
3週間前
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【連載小説】「北風のリュート」第18話

前話 第18話:絲口(5) 「結婚式の前日に母に呼ばれてね。座敷に桐の箱が一つ置かれてたの…

deko
3週間前
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【連載小説】「北風のリュート」第19話

前話 第19話:絲口(6) 【5月1日 岡崎/鏡原】  岡崎の祖母宅から帰宅するなり、娘のレイ…

deko
3週間前
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【連載小説】「北風のリュート」第20話

前話 第20話:絲口(7) 「ざっとそんな感じです」  流斗が岡崎での顛末を美沙に話した。 「レイさんは人付き合いを避けてきたから、感情を爆発させただけでも上出来だったんじゃないですか。ぼくたちが役に立てず、すみませんでした」  美沙は深いため息をつく。  こうなることは予測できていた。母はお嬢さんのまま大人になったような人だ。美沙ですら母娘関係がうまくいっているとは言い難い。母の会話の手綱を取るなんて高度なこと、レイにできるわけがない。私が付いていくべきだった。空の魚を認