【連載小説】「北風のリュート」第20話
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第20話:糸口(7)
「ざっとそんな感じです」
流斗が岡崎での顛末を話してくれた。
「レイさんはこれまで人付き合いを避けてきたから、上出来だったんじゃないですか。ぼくたちが役に立てず、すみませんでした」
美沙は深いため息をつく。
こうなることは予測できていた。母はお嬢さんのまま大人になったような人だ。美沙ですら母娘関係がうまくいっているとは言い難い。母の会話の手綱を取るなんて高度なこと、レイにできるわけがない。私が付いていくべきだった。空の魚を認めてやれなかった