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恥じらいまじりのツーショット
「雨は大丈夫か?」
午後10時。仕事の忙しさで天候のことなど頭になかった私は同じ箇所にばかり座ったせいで少し形の悪くなったソファに横たわりながら、机の上で響いたスマホを手に取り、ホーム画面のポップアップ通知を辛うじて目にした。
最近、よく聞く線状降水帯という言葉。これが九州地方に停滞していたらしい。
全然大丈夫と一言打つと、どでかい派手なスタンプが3つと1枚の写真が届いた。
母と父のツーショットだった。母が単身赴任している父の元に旅行に行き、2人で観光していたらしい。私が住む九州とは違い、とても晴れていた。天候とは裏腹に2人の顔は恥ずかしさからか強張っていた。
久しぶりに見た両親の顔。少し皺が増えていた。頭も少し薄くなったような気がする。
この皺は私がお母さんに暴言を吐くほど喧嘩した時についたものが現れたのかな。頭が薄くなったのは高いユニフォーム代を払うためにお父さんが必死に頭を下げていたことによるストレスなのかな。
それでも、今ここにいる私を育ててきた。育ったことが彼らの一番の幸せであるかのように佇んでいた。
また、育ててきた我が子がいなくなり、どうしたらよいかと戸惑ってるようにも、寂しさを紛らわせようとしているようにも見えた。
私は少し泣きそうになった。
どうやっても私はあなたたちを超えられない。
私ができることはあなたたちに恩返しをすること。そして、元気であることを示すこと。
今年は母の日、父の日だけでなくそれぞれに近い誕生日にもプレゼントを送った。
今日まで育ててくれてありがとう。
お父さんお母さんの顔を見て安心しました。
どうか、どうかいつまでも笑顔で。お元気で。
いつか言葉で伝えたい。
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