生きた人生そのものがロジックであり、思想である
宮本武蔵は兵法を極める方法論をもって自らの思想をつくり、「器用」を極めたものが国の指導者たらんと語った。そんな指導者観をもって小林秀雄は先に「政治家は、社会の物質的性質の調整を専ら目的とする技術者である。精神生活の深い処などに干渉する技能も権限もない事を悟るべきだ」(『私の人生観』「小林秀雄全作品」第17集p172)と語り、後には「政治は、私達の衣食住の管理や合理化に関する実務と技術との道に立還るべきだ」(『政治と文学』「小林秀雄全作品」第19集p110)とも指摘している。