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5月からの古典ゼミに新講師&一般公開いたします。

みなさま、こんにちは。ソトのガクエンの小林です。
ソトのガクエンでは、大学のゼミや読書会形式で哲学書を読む哲学思考ゼミを開設しています。そのなかに、哲学の古典をテキストにした「古典読解ゼミ」があるのですが、5月より新たな講師をお迎えし、新たなテキストを読むことになりました。
この度、新たに講師としてお迎えしたのは、スピノザ研究者であり株式会社メタの哲学リサーチャーである佐々木晃也さんです。

佐々木晃也(大阪大学大学院人間科学研究科博士課程/ 株式会社メタ)
1989年 北海道生まれ。2013年にスピノザのことを知り、社会人をしながら独学を続け、2018年に大学院に進学。基本的な関心は、哲学的生、哲学するという行為、哲学者という生の様式。
現在はスピノザ哲学に関する博論執筆に取り組みながら、並行して企業内哲学に関する調査研究をおこなっている。 https://researchmap.jp/koya.sasaki

佐々木さんには、昨年、「【ソトのガクエンの哲学入門前夜】これさえ分かればスピノザが読める」を担当いただき、スピノザを読むことと人が生きることを接続するような哲学的な実践についてお話しいただき、ご覧いただいた方々からは大変なご好評をいただきました。当日の様子は下記のYouTubeからご覧いただけますので、ぜひご覧ください。

5月から8月にかけて、佐々木講師による古典ゼミでは、スピノザ『知性改善論』(講談社学術文庫)を読んでいきます。今回のテキストについて、佐々木講師から、次のようなメッセージをいただいています。

【佐々木講師からのメッセージ】
 奇妙な本です。まず完成していません。冒頭のモノローグがどんなジャンルの文章なのかもよくわかりません。しばしばその冒頭文章は若きスピノザの哲学的生の開始を印づけるものとして考えられたりします。さらに一般的にはこの本自体が、序文なき主著『エチカ』の序文として考えられたりもします。でもおそらくスピノザは『エチカ』の後にこの未完成の本を完成しようとしていました。だから『エチカ』の序文と言えるかは正直、怪しいです。じゃあ、この本はどんな本なのか。

 端的に言えば、 知性がいかなる方法で改善され完成されねばならないか、という問いを扱っている本です。そしてこの問いを扱う知的営みは、『エチカ』第五部序文の冒頭箇所に従えば、「論理学」に属します。他方でその同じ箇所に従えば、身体がいかなる技巧でうまく働くようケアされねばならないか、を扱う知的営みは「医学」に属します。少し見えてきたと思います。この本はスピノザ自身にとっては、「身体ー医学」に比肩する限りの「知性ー論理学」の本であるはずです。だからこうも言えます。この本は、自分の知性をケアする技巧に関する本だ、と。みなさんと一緒に、スピノザ主義的なケアスピノザのスピノザ自身に対するケアの技巧を感じながら、それを言葉にしていくこと、これがこのゼミでの私の目標です。

『知性改善論』を「自分の知性をケアする技巧」として読むという佐々木講師の読み方は、哲学をただの思考トレーニングとしてではなく、私たちが実際に身体を持って生きていることや、他者と共に社会において生きていくことにダイレクトにつながる実践的な哲学の試みとしてとても魅力的であり、現代において哲学が必要とされるべきひとつの理由を体感できるゼミとなることを確信しています。

そして、これまで古典ゼミは、哲学思考ゼミメンバー限定のゼミでしたが、今回特別に、佐々木講師によるスピノザゼミを一般の方にもご参加いただけるようにいたしました。
最重要の哲学者の一人であり、極めて魅力的であるにもかかわらず、難解なテキストで知られるスピノザの本を、専門家と直接語り合いながら読むことのできるまたとない機会です。ぜひお気軽にご参加ください。詳細・お申し込みにつきましては、ホームページPeatixをご覧ください。

また、哲学思考ゼミにご参加いただきますと、月額制で、こちらの古典ゼミだけでなく、基礎ゼミ、シネマ読書会、表現スキル思考ゼミ、大学院進学情報&原書ゼミにもご自由にご参加いただけます。これまでのゼミのアーカイブをすべてご覧いただけますし、専用Discordにて他のメンバーの方々とも交流していただけます。哲学思考ゼミのメンバーも随時募集しておりますので、興味おありの方は「哲学思考ゼミ」のページをご覧ください。

それでは、みなさまにお会いできることを楽しみにしております。

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