【イベントレポート】「KERNEL Global Startup Camp」プレプログラム Demo Day開催
こんにちは。
AI特化型ベンチャーキャピタル(VC)
DEEPCORE(ディープコア)のnote編集部です。
先日発表した新アクセラレータープログラム「KERNEL Global Startup Camp」は、正式な開始に先駆けてプレプログラムを実施しました。
2022年5月からスタートし、8月末には成果を発表するDemo Dayを開催。各社のプレゼンテーションと質疑応答を行い、結びにはメンターを代表して2名からの講評がありました。その質疑応答の一部や講評など、Demo Dayの様子をご紹介します。
Demo Dayとは?
Demo Dayは、これまでのアクセラレータープログラムの成果や今後の展望を話すピッチイベントです。
メンターや投資家などの関係者が参加し、ファシリテーションからピッチ、質疑応答まで全て英語で進行しました。
1社目:zData(本社:アメリカ、拠点:東京)
「zData」は、オンラインショッピングモール出店者向けのダイナミックプライシングツールです。
■質疑応答
Q.なぜアメリカではなく日本でサービスを提供しているのですか。アメリカの方が市場規模が大きいと思いますが。
A.創業者とチームメンバーのほとんどが日本在住なので日本のマーケットを理解していて、日本にビジネスチャンスがあると考えたからです。日本での事業が軌道に乗ったら拡大を予定しています。会社はアメリカで設立し、子会社として日本法人も構えています。
Q.他社のウェブサイトからデータを取得するとのことですが、問題ないのでしょうか。もし特定のウェブサイトからデータを取得できない場合、どのように分析データを提供することができるのでしょうか。
A.例えば、AmazonはAPIを提供しているので合法的にデータを取得することができ、実際にそこからデータを取得していくつかのクライアントに提供しています。データがない場合は、お客様に競合と思われるリンクを入力してもらい、そのリンクよりデータを収集しています。また、他のデータプロバイダーとも連携していて、データを取得し効率化を図っています。
・Mohamed Batran(CEO at zData)コメント
プログラム期間中、成功経験を持つたくさんのメンターと出会うことができました。プロダクト開発やマーケティング、セールスなど、これからするべきことの全体像をつかむことができたことはとても良い経験となりました。
2社目:Town Doctor(本社:東京、拠点:東京)
「Town Doctor」は、管理栄養士と連携し、健康診断で栄養指導が必要と診断された方や病気を予防したい方に対し、栄養指導の効果を高めるサービスです。
■質疑応答
Q.どのように質の高い栄養士を確保するのでしょうか。
A.日本では支援制度や研修制度を活用することで質の高い栄養士を確保することができると考えています。87%の栄養士が、良いトレーニングを受けることで患者と良い関係を築ける可能性があると見込んでいます。
Q.採用はどのプラットフォームを使用していますか。また、回答者がターゲット層内にいることをどのように確認していますか。
A.現在のプロジェクトでは、FacebookとInstagramのプラットフォームで広告を通じてリクルーティングを行っています。Facebookの広告で実際にターゲットを絞り込みリクルーティングを行いました。1週間もかからずに希望の層が揃い、非常に効果的でした。
・Kei Yamagami(CEO at TownDoctor)コメント
たくさんの起業家、投資家の前でピッチをして、ピッチに慣れることができましたし、自分と同じ領域に取り組んだことのある起業家からアドバイスをいただけたことがとても貴重でした。さまざまな国で活躍するメンターとの議論を通じて海外市場への展開の仕方についてもイメージができました。
3社目:Noetic Digital(本社:アメリカ、拠点:東京)
「Noetic Digital」は、多大なコストがかかるが失敗も起こりうる"マーケットリサーチ"を、低コストかつ効果的にするためのリサーチプラットフォームです。
■質疑応答
Q.パーソナライズされたメールコンテンツを作成する機能では、リードを生成する部分とメールを配信する部分にどのような特徴がありますか。また、他のリードと連携するツールはありますか。
A.ターゲティングが主な差別化ポイントです。
他のほとんどのプラットフォームは、高精度のフィルタリングを行いません。Noetic Digitalは、探している企業概要から数百万の企業ウェブサイトに直接アクセスします。そして探している企業を20程度の例を用いて、実際に5分程度でモデルを訓練し、95%の精度でフィルタリングします。
そして、その企業を選び、主にホワイトラベル化したサードパーティの送信ツールを使ってメールを送信し、すべてのインフラを管理します。
・George Reed(CEO at Noetic Digital)コメント
スタートアップとして会社を築く上で、これまでで最も貴重な経験でした。投資家や成功した創業者に会う機会があり、彼らのフィードバックによって、私のピッチのあらゆる要素が劇的に改善され、資金調達についてより深く理解することができました。
また、毎週行われるレクチャーや交流会では、顧客とのPoCを確立し、市場を理解する上で非常に役に立ちました。
このようなリソースは、努力すればするほど得られるものが多いので、ぜひ活用することをおすすめします。
4社目:Salezilla(本社:アメリカ、拠点:アメリカ)
「Salezilla」は、営業用のコールドメールの内容を自動でカスタマイズし、送信先企業の反応確度を高める営業支援ツールサービスです。Salezillaのメンバーは全員、アメリカからオンラインで参加しました。
■質疑応答
Q.salezilla を2018年から構築しているかと思いますが、最近の製品発売や、昨年度の飛躍的成長の要因は何だったのでしょうか。
A.2018年の初期は採用プラットフォームとしてスタートしましたが、多くの採用担当とコンタクトできるようなネットワークや深いセールス知識を持っていなかった、という問題がありました。
そのため、セールスオートメーション全体を構築し、採用担当者に大量のメールキャンペーンをパーソナライズするプロセスを自分たちで作り上げ、パンデミックによる採用市場の崩壊まではかなり成功していました。
salezillaをリリースする前に、多くの友人から「なぜ他の業界にセールスオートメーションツールを展開しないんだ」と聞かれました。
私たちが行ったのは、最近の研究論文の技術を取り込み、それを活用することです。非常にシンプルな英語の記述で企業をターゲティングし、短時間で結果を得ることができます。このような高精度のターゲティングは、このような方法論ではどこにも存在しないので、非常に強力だと思います。
・Hee Gun Eom(CEO at Salezilla)コメント
私たちSalezillaは何に注力すべきかを固め、事業を成長させることができました。特に、世界各地で活躍するたくさんのゲストメンターと毎週交流できたことはとても刺激的でしたし、DEEPCOREのスタッフによる週次のレクチャーは洞察に満ちていました。
本プログラムで得た知見や繋がりは今後、自分達の事業を進めていく上で貴重な財産となりました!
講評コメント
・Inventum Ventures ゼネラルパートナー Kevin Wu様
私は昨年、アメリカでアーリーステージの世界中のスタートアップに投資するファンドを立ち上げました。現在約8社に投資しており、ジェネラルパートナーが日本在住です。
zDataは、データの正確さと取得頻度が、本当に良い製品やモデルを顧客に提供するために重要だと考えています。この点については、次回以降、さらに改善や進展が見られることを期待しています。
Town Doctorがユーザーに提供する価値は、 栄養士の仕事をAIツールがサポートする部分だと思います。この価値の構築に力を入れないと、人材紹介会社との差別化ができなくなります。
SaaSやAIプロダクトを提供することで、これらのサービスとの差別化を図る必要があります。
Noetic Digitalは、非常に面白いサービスだと思います。社内リソースをできるだけ抑えて多くのクライアントにアプローチできるよう、セルフオンボーディングの観点からスケールするサービスをどのように構築していくかがポイントになりそうです。
salezillaも同様に、オンボーディングプロセスとセルフオンボーディングのスキームが本当に重要だと思います。今はSlackでオンボーディングしていますがクライアントが100人になると同じやり方ではできなくなります。クライアントが自由に必要なものを自分で作れるセルフオンボーディングツールを構築できればと思います。
製品やサービスのレベルはまだまだ議論しなければならないことがたくさんあるとは思いますが、どのチームもプログラムを通して進歩したことをとてもうれしく思っています。ありがとうございました。
・Playmaker Ventures マネージングパートナー Raymond Yip様
私は、Playmaker VenturesというVCファンドのマネージングパートナーをしています。
その前はアジアで2つのスタートアップを立ち上げ、アメリカでも多くの資金調達を行ってきました。
私自身、いくつかのアクセラレータープログラムを経験してきましたが、このプログラムのアメリカと日本という国際性には、非常に感心させられました。
バーチャルなプログラムというのは、本当に大変なもので、
ファウンダーにとっても大きな財産になったのではないでしょうか。
参加企業がAI技術を使ってサービスを作っているのにも本当に感激し、いい意味で私の期待を裏切ってくれました。1〜2ヶ月前からピッチを聞き始めたのですが、ピッチの構成も表現もこのプログラムを通じてかなり改善しました。メンターは皆、参加者の挑戦の道のりを手助けできてとても嬉しく思っています。ありがとうございました。
「KERNEL Global Startup Camp 」参加のメリットと22 WinterBatch募集について
「KERNEL Global Startup Camp 」に参加するとこんなメリットがあります。
第1期生となる「KERNEL Global Startup Camp 2022 Winter」の参加者は10月30日まで募集しています。プログラムのスタートは2022年12月です。
プログラムの大半は英語で進行しますが、苦手意識があっても意欲があれば問題ありません。
▼応募条件や選考プロセスなどの詳細はこちらの「Program Information」をご覧ください
https://bit.ly/3LSQ7AT
プログラム説明を目的としたAMA(Ask Me Anything)セッションと事業内容の相談を目的としたOffice Hourをそれぞれ10月24日と10月28日に開催します。プログラム担当者が直接質問・相談をお受けしますので応募を検討している方はぜひご参加ください。
▼AMAセッション申し込みフォーム(参加無料/要事前申込)
https://forms.gle/tqCA6qbVCjHBdGyr9
日程:10月24日(月)14:00〜15:00
▼Office Hour申し込みフォーム(参加無料/要事前申込)
https://forms.gle/ngbnPwwA4kX1TM1GA
日程:10月28日(金)9:00〜17:00(各社30分ずつ)
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