マガジンのカバー画像

Separation After Darkness

35
短編、掌編を載せます。 幻想小説だったり(恥ずかしい)日常の一場面を切り取ったり、そうではなかったり。 私が見ている景色、感じた情景をみなさんにも共有したくて。
運営しているクリエイター

2019年3月の記事一覧

危ないことは分かってる

 風が強くて、温度も低い。
 昨日までは暖かかったのに。今日は危険だ。
 これから人と会う。そして彼は危険。

「久しぶり」
「久しぶり」
 彼は笑顔で言った。
「あそこで飲もうか」

 そうしよう。

 地下の居酒屋は人があんまりいなかった。僕たちと、店員がいくらかと、まばらな他人。束の間。
 僕は黒いビールを頼む。彼は青いカクテル。

「お前の方から会おうっていうなんてな」
「ああ」

 乾杯

もっとみる