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小さい塾なのに東大合格者が誕生する理由:生徒の考える力を引き出す「対話メソッド」

 こんにちは。教育家夫婦が開いた小さな塾「Dear Hope」です。
 いつも記事をお読みいただき、ありがとうございます。

 この記事は、理数担当の副塾長(夫)が書いています。 

 来る2022年 6月25日(土)に、教育セミナー「考える力を引き出す《対話》」を開催いたします。詳しい情報は以下の記事にありますので、ぜひご覧ください。

 今回は、このセミナーで扱う「対話」に関連した記事になります。

 以前の記事で、私たちの塾では、「いま、ここで、考える力」を養うことを目指して、「本わかり」を大切に指導しているというお話をご紹介しました。

 そこで今回は、塾生を「本わかり」の状態に導くために私たちが行っている方法をご紹介してみたいと思います。
 ただ、これからご紹介する方法は、あくまでも現時点での一例であり、さらに良い方法がないか常に模索しています。読者の皆様からのご提案がありましたら、ご教示いただけますと幸いです。

「対話」により「本わかり」へ

 簡潔に言えば、私たちは「対話」を通して「本わかり」に導くように指導を行っています。

 例えば、数学の問題演習を行っている場面で、生徒が解答に詰まっているとします。このとき、私たちはすぐには答えを言わないようにしています。

 「問題はどのような状況を想定しているか分かりますか(図が書けますか)」、「与えられた式や図で、特徴的な部分はどこだと思いますか」など、問いを発していきます。

 答えに論理的な飛躍がある場合は、「どこかに穴があるから探してみよう(その答えは十分条件の一つに過ぎないですよ)」など再考を促します。

 正答にたどり着いた生徒には、あえて、ありがちな誤答を示し、「この解き方の問題点を指摘してみよう」などの新たな問いかけを行います。

 このような講師からの発問に対して、生徒はそのつど考えて、その考えを言語化し回答します。このプロセスにより、生徒は学習内容を根本的なところから理解でき、「使える知識」として身につけていけると考えています。

 もっとも、このような対話をどの程度行うかは、相手(生徒)の理解力に依存します。理解力が高い生徒ほど、授業の中で対話の占める割合が高くなりますので、そのあたりは臨機応変に対応しています。

「良質な問い」が対話の鍵

 この対話が成立するためには、生徒に対して「良質な問いかけ」が行われることが前提となります。言い換えると、講師が生徒の様子や答案を見て、その生徒がどこで躓いているか、何が必要かを即座に見抜けることができなければ、効果的な対話は成立しません。

 教科指導における「対話」は、生徒と講師が同じ土俵に立って議論を行うわけではありません。私たち講師が問いに対して一定の「解」をもった上で、段階的な発問によって「問い」から「解」まで梯子をかけ、生徒がその問いに答えながら一段ずつ梯子を登るような対話です。いわば講師は、授業という学びの場づくりをするファシリテーターと言えます。

 対話の効果は、生徒が講師の発問に答えるための思考プロセスにおいてのみ得られるのではありません。生徒は、講師の良質な問いかけに接することにより、「本わかり」の状態(に近い)人はこのテーマをどのように捉え扱っているのか、ということを知ります。このことは、そのテーマを立体的に理解することの助けになるとともに、新たなテーマに取り組む場面でも、問題を認知し理解する縁(よすが)になると考えています。

対話により「使える」知識をインプットする

 私たちがすぐに答えを教えない理由は、それでは応用力が身につきにくいと感じるからです。ものごとを一つずつ、先人がたどった思考を追体験しながら丁寧に理解していくことで、どういう場面で役立つ知識なのかといった根本的な部分からマスターできます。このため、公式や定理を「自在に使える」状態で頭脳にインプットされやすくなります(インプットには、生徒自身による復習も大切であることは言うまでもありません)。

 ところが、ある知識を教えられたとおりに丸暗記していると、どの場面でその知識が役立つか、その知識が使える前提条件は何か、といった根本的な理解が欠落する結果、その知識をうまく適用できないことが多々あります。
 知識は、「使える」状態でインプットしておけばこそ、思考の助けになります。対話は、そのための効果的なメソッドだと、私たちは考えています。

対話により考える習慣を身につける

 さらに、対話を通じて生徒は頻繁に考えることになり、このことが、考えることの習慣化にも役立つと考えています。

 東京大学経済学部の柳川教授は、著書の中で次のように述べています。

 考える能力というのは、頭の良しあしとは関係ありません。それは習慣やクセの問題なのです。
 (中略) 現に幼い子は、しょっちゅう「これはなぜ?」「どうして?」「何でこうなるの?」とよく聞きます。もしあの問題意識を、ずっとそのまま育んでいくことができれば、大人になってもよく考える人間になるはずです。
 もちろん、大人になってからそういうクセをつけることも可能です。ただし、その場合幼い頃から素直に言うことを聞くのに慣らされてきていますから、意識的にクセをつけていくことが大事です。
「東大教授が教える知的に考える練習」51頁(草思社文庫)

 考えることを習慣化できれば、テストで良い点を取ったり、模試で偏差値を上げたりという効果に限らず、社会人になってからもきっと、自らの意志に基づいた判断を重ねていけるようになるでしょう。
 そんなことを考えながら、日々、指導をさせていただいています。


教育セミナーのご案内

 2022年 6月25日(土)に、Dear Hope 教育セミナーを開催します。

 テーマは、「考える力を引き出す《対話》」です。

ご家庭で実践できる「考える力」を引き出すためのヒントをお伝えします。高校生以下のお子さまのいらっしゃる保護者様に特に役立つ内容です。

 当塾の講師であり、学校推薦型選抜で入試を突破した現役東大生とともに開催します!
 詳細とお申込みは、以下の記事にございます。皆様のご参加をお待ちしております


 このnoteでは、教育家夫婦が開いた大学受験の小さな塾「Dear Hope」のスタッフが、大切にしていることや、日々考えていることなどを書き記していきたいと思います。

 今後とも、よろしくお願いいたします。

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