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映画館で息をする



毎月映画館に行く。多い時は3回くらい。
家でも1週間に1本くらい映画を見て、日々を過ごしている。

そんなことを誰かに言うと、9割の人にはおどろかれる。最近の若者は映画をめっきり見なくなってしまったから。見ると言っても漫画の実写化、アニメの劇場版、ジブリ。
私もこれらは大好きだしよく見るけれど、この世にはこんなに沢山の映画があるのに、と残念に思う。映画を見て人生が変わったり、心が大きく動くことを感じる瞬間がみんなにもいつか来るといいな、と思う。


映画好きがウザいと言われる典型的な考えはさておき、私の中にはこれだけは守る映画館の掟がある。
1つは喋らず携帯の電源は切り前の席は蹴らないこと。当たり前。

2つ目はエンドロールに立たないこと。これも当たり前。エンドロール中に映画をふりかえって、ここ良かったな、ここは何だったんだろうなんて考えながら制作陣を見るのが好き。友達と来ている時はエンドロールの間に自分の気持ちを一旦整理して、終わった後に備える。
私は少し時間が経ってからカフェなんかで友達と感想を言い合いたいタイプだけれど、すぐに話したい人もいるし絶対話したくない人もいるのでそれに備えるための時間でもある。

そして3つ目。始まる前の映画の予告を見ておくこと。これが実は私が生きていける理由だったりする。

映画は、たいていは人から聞いたり、Twitterで知ったり、ポスターを見て観に行くことが多い。自分で調べて自分が見たいから観に行く、ということだ。

でも、時々予告を見て偶然知って、興奮を抑えられない時がある。自分が知らない世界がそこに広がっていて、足を踏み入れたくなる瞬間がある。

それは私にとっての呼吸に等しい。
自分の好きなもの、興味のあるもの、嫌いなもの、知りたかったもの。自分を理解する機会が予告だ。こんな気持ちで予告を見ている人間なんてなかなか居ないかもしれないが、私にとってはあれすらもワクワクする時間だ。

この映画があるから。
え、あの映画やるんだ。観なきゃ。
これらの気持ちが、私を生かしている。


塩味も混ざってるキャラメルポップコーン。
入る前のチケット確認。
スクリーンに入る前のポスター。
少し勾配のある入口。
席を探すために見るアルファベット。
少しリッチな椅子。
スクリーン予告。
光が消えて暗くなる瞬間。
終わったあとのザワザワ感。

映画館の全てが本当に好きで、愛している。
私は映画館で初めて呼吸をして、また次に来る時までの酸素を肺いっぱいに貯めている。

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