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やっと涼しくなって来たけど、それは台風のせいらしい。しかも二つ。はーやってらんないね

あなたが手に持っているスマートフォン。
そのカメラロールを遡ると、何が写っているだろうか。

僕の場合、いちばん古い写真は2013年のもの。
つまり8年前だ。
大学卒業を控え、卒論の執筆に精を出していた時に、参考資料の図表を収めた写真だった。

僕は地元を離れ、東京で一人暮らしをしていた。
個人的な事情もあり友人と言える友人はおらず、僕の東京生活は学校・バイト先・自宅間の往復運動こそが全てだった。
僕にとって東京は孤独の街であり、戦いの街でもある。とある事情で三年次編入した僕は、四年間で取る単位のほとんどを二年間で取らなければならず、更に教職を目指していたので、教職の単位も全体の半分ほどを取らなくてはならなかった。
講義が無いのは日曜・祝日だけで、あとはみっちりと授業がある。実家が裕福な訳でもなく、当然仕送りなどは無い。バイトと奨学金によって、生活費と学費の半分を賄った。
今考えても、よくあの生活が続いたなと思うのだけれど、個人的な事情のおかげでなんとか持ち堪えられたのだと思う。

東京生活のおかげで僕は丈夫になり、ここ8年の間全く体調を崩さなくなったほど辛かったけれど、それでも東京を離れる時は少し寂しかった。
特に、唯一心を落ち着ける事ができる場所だった自分の部屋から、荷物が運び出されてもぬけの殻になった時は、少し泣いてしまった。
その様子を収めた写真も撮ってあり、その写真を見ると感情が蘇ってきて、胸が苦しくなる。

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東京で過ごした最後の日には夜桜が咲いており、その風景を収めた写真も残っていた。この頃の自分、写真が下手だな。

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とまあこんな風に、カメラロールはその人の人生の一部を切り取ったものだから、眺めているとかつて抱いた感情や想いが、鮮明に蘇ってくると思う。
昔はアルバムに一枚一枚、上手く撮れた写真を挟み込んでいたのだけれど、カメラロールはなんでもない日常の写真も残っていくから、想起がよりきめ細やかな気がする。
写真だけではなく、当時自分が保存した画像なんかも、その手伝いをしてくれる。

例えばこの画像は、僕が大きな失恋をして、まじめに自殺を考えていた時に保存したものだ。
他人から見たらなんでもない画像でも、僕にとっては大きな意味があるものなのだ。

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そしてこの写真は、僕の自殺を思いとどまらせたオオハナウド(たぶん)。

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この辺の写真を眺めていると、僕の胃の辺りがキリキリと痛みだし、息が上手く出来なくなる。
辛い時期の写真は、自分をその時に引き戻す効果があるような気がする。

自分が生きてきた時間が切り取られて保存され、数タップで見返す事ができるというのは、素晴らしい事でもあるし、僕にとっては息苦しさを覚えるものでもある。

あなたのスマホには、どんな人生が保存されてますか? 辛い? 苦しい?
どうか楽しいものである事を、願っています。

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