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ここがタメになった「一度読んだら絶対に忘れない 世界史の教科書 経済編 山﨑圭一」1/①

経済の観点から世界史を見て覚えやすくするのが特徴の本です。貨幣経済が一般化して「金で物事が解決できる」とみんなが信じるようになったのはここ100年くらいなので、それ以前の社会の動きが全て経済で説明できるというのは無理があります。しかし大半の説明はあっているので読んで学習する価値はあると思います。

銀が通貨の基準になっていた西暦1500年代に、世界有数の銀産出国である日本が国際貿易に乗り出したら突然銀の流通量が増えました。それで銀の希少価値が失われたのが面白いです。
金や銀を基準にするのは徐々にやめていき、政府の信用の力を用いて紙のお金で解決する方向に向かったので大惨事にはならなかったです。

お金と戦争は密接につながっているのがよくわかります。戦争は金がかかってばかりでもうからないといわれますが実際はどうなるか。ウクライナでの戦争の結果が教えてくれるかもしれません。

~~以降は内容説明~~


お金の発明と国家の興亡

この教科書では、世界史を同じ時代で見て、各地域のつながりをお金で説明しています。お金を基準にした国の繁栄と崩壊が見えて面白いです。昔から金や銀の流通でお金の流れが説明されています。技術や輸入品が多すぎると、国外へ金や銀が出て行ってしまい、国が貧乏になります。その解決策も様々で興味が出てきます。
お金を発明することで、産業や貿易がどんどん発展していきます。しかし、お金を粗悪なものにして水増ししたローマは、信用自体がなくなり衰退していきます。

銀と世界貿易

中東や中国でもお金が影響し、発展していきます。金は昔からありましたが、人々が貯蓄してしまい流通が少ないため、銀がお金の中心となり流通していきました。輸出輸入する時は銀で払うわけです。日本は世界有数の銀の生産国です。メキシコやボリビアなどに匹敵することです。中国とポルトガルが目をつけ、南蛮貿易として銀をたくさん世界中に出させます。日本は鉄砲や絹織物に変わりました。

戦争と資本主義

お金は投資というか手段として使えます。戦争の資金をたくさん集めるのが上手な国が戦争に勝ち、植民地を支配して利益を得るようになりました。産業革命が始まると鉄道など機械が発展して産業が一気に発展します。それでもさらなる利益が必要とされたので戦争は起こり続けます。
産業革命は武器の力も発展させていきます。産業を発展させるためには鉱山や油田があった方が良いです。そのため植民地を増やすことが重要になります。産業を発展させても事業が傾くと借金になります。不景気になるとなおさらです。ある国が不景気になると輸出輸入をしていた国も不景気になり、連鎖反応が起こります。追い詰められた国は戦争することで経済的な問題を解決しようとします。

通貨制度の変化と社会主義

お金が金本位制でなくなって発行される通貨とその国の信用に基づくものになると歯止めが効かなくなり、ものすごいインフレが始まります。それこそ日用品一つ買うために数億円のような極端な例が出ます。
工業製品であろうが食料であろうが生産過剰に苦しむようになると、資本主義は限界があるのだという風に考えるようになりました。計画経済や社会主義を目指し、いくつかの国が実行していきます。それでもうまくいかなくなります。ロシアは共産主義を掲げて軍事力を上げたため、アメリカはじめ資本主義の国と対立し、冷戦が始まります。実際は表だった戦争をするわけではなく、周囲の小さな国を使いわずかな規模で戦争を行い、陰で張り合う形になりました。ヨーロッパはECとEUという形で連合を作り、戦争をすると損をする形にしていきました。アメリカとロシアによる対立はロシアが崩壊して計画経済を諦めるという形になり、冷戦が終わりました。

グローバル化と貧困問題

いろんな国が協定を結び合い、経済がグローバル化して輸出と輸入を繰り返すことで結びつきを強め、発展させる方向に行きました。
投資が国際化したのでリーマンショックのように、発生したアメリカが倒れ他の国も連帯責任のように負債を抱え込むようになり、不景気が始まります。これらを解決しようと世界がいろいろ対策を練っています。ほとんどの国は、グローバル化が進むのは止められないので規制をしても無駄と判断し、不景気による貧困で国民が苦しむ問題は政府の力で解決しようという方向になっています。


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