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ハロー外国人、異国と分かち合うって相当難しい!

アイルランド行きまで残り1カ月を切った。
来月の今頃は、語学学校が始まり、期待が膨らむ一方、不安と緊張でいっぱいのはずだ。

今までいろんな国へ行ってきたが、

観光と定住はやっぱり全く違う。

フィリピンの留学から帰国後は、
多少は身についた(と思いたい)語学力を持続する目的もあって
日本に住む海外の友人と過ごす機会があった。

しかしここ最近、その過程で国内にいながらもちょっとしたカルチャーショックを受けた


...きっとカルチャーショックを与えてしまっている側は、殆どその自覚はないだろう。

一方でその人は、日本での暮らしに誰よりも住み難さを感じているようだった。

私は今、東京に住んでいる。
ほんの少し前と違うのは、ここ最近で圧倒的に外国人を見かけることが増えたことだ。

ちょっと外を歩けば、気軽にいろんな国の人と触れ合える。
そこには勿論、良い面も悪い面もある。

(異国に住む上で)自国に執着することは
つまり、お母さんから離れられない子供と同じことだよ

と以前"5%だけ日本語が話せる友人"の記事で紹介したアブさんは言う。
彼は、昨年の夏にオランダ行きの飛行機内で偶然、出会った以降も交流は続いている。

アブさんの言う、自国に執着するとは
一体どういうことなのか
🤔

一言で言えば、
価値観の違いだとかナショナリズムだとかで片付けられるけど

もっと言うとそれは、宗教や食事、人との関わり方だったり様々だ。
海外に住むのなら、そういう点で向き合わなければならない場面が必ず来る

私が最近ショックを受けたのもそれに関連することなんじゃないかと思う。
海外の知人の1人である彼(アブさんではない)は
宗教的な国の出身
豚肉が食べれない。さらに国の規制もあり、お酒すらも飲むことができなかった。

この時点で彼がどの宗教なのかについては殆どの者が気付くであろう。
一部では、その宗教がイスラム教だというだけで危険視する人もいる。
もっとも宗教的思想の薄い日本にとってはあまり重要ではないかもしれないが
一歩、国の外へ出れば、目の前の相手がどの宗教の人なのか?という点はかなり敏感なようだ。

ただ私は何もここでイスラム教徒の人には注意すべきだと言いたいわけじゃない。
他にもイスラム教の友人はいるし、私にとっては宗教自体が問題だとは決して思っていない

でも、当たり前だけど誰にだって信仰や思想を選択する自由はあると思う。
彼の場合、"日本でビジネスがしたい"
というのが夢で、日本に住み始めて3年が経つわけだが
最近は、"(彼曰く)日本人は嘘をつかない民族だから、日本人の奥さんが欲しい"
という強い希望があって、その結婚を自身が25歳を迎えてしまう今年中に叶えなければならないのだと言う。

どうして25歳までに?と言う疑問もあるが
大前提、当面は欧州に滞在する予定の私にとっては、とても叶えられそうな話ではない。
とは言え、どうしたら彼のその希望が叶えられるかについては、ひとまず話を聞こうと思った次第だった。

そこでまず大きな問題は、宗教だ。

私は彼に、殆どの日本人は宗教的でないこと。もしあなたのパートナーが別の思想を持っていてもリスペクトできるのか?について聞いてみた。

すると彼は、
大概の場合、奥さんは神様を信仰できるようになるよ」とのことだった。

"だから神さまのことは僕が教えてあげる"
と言うのだが、
つまり彼曰くそれは、結婚をすれば奥さんは
大概、夫の信仰するイスラム教に改宗をする
同じ宗教になれば思想の違い云々も気に病むことないよ。ということだった。

もしも私だったら、一生かかっても神様を信じることなんてできないだろう。
宗教の歴史や文化を知り、楽しむことはできても神様を信じれば苦悩が報われるとか
そう言うことは全く考えられなかった。難しい問題だなと思う。

おそらく殆どの日本人にとっても同じような感覚ではないだろうか。

さらに食事に関しても

かなり苦労をしている様子だった。
彼は、ハラルというイスラム法で認められた食事を輸入し、主な食事としていた。

残念ながら、日本の食事は豚肉を含むものも多い。これはしょうがないと思った。
だがその結果、彼は日本に住み始めて3年経ってもなお、おにぎりやお餅といった日本食も全く知らなかった。ラーメンというワードすらも。

というかそもそも関心がなかった
それよりも彼は、「(自国で一般的な)もっとパサパサしたご飯を、日本の女性は作ることができないのかい?」と聞いてきた。

どうやら通常で炊いた時の日本のお米の食感が受け付けられないようだった。

最後は、人との関わり方ついてだ。

彼とのやりとりの中で、最も驚いたのが
突然、彼の祖母の妹が亡くなったと言って家族から送られてきた写真をこちらに転送してきたことだ。
病室で酷く苦しんでいるとも既に亡くなっているとも取れる親族の写真に
正直なんと反応していいのやら分からない

そんな彼から見て、日本人は家族を大事にしていない。結婚後も家族と別居だなんて自国の国では考えられない、驚きだと言う。

それはあくまで彼の感覚による話であって
何も"家族と同居すること"="家族を大事にすること"であるとは限らない。
いろんな形があってもいいのに...と思った。

ただ思うにあの時彼が私個人に送ったあの写真に関しても、それが彼にとっては普通の
家族や友人に対する密な接し方だったのかもしれない。

ただ私からすると衝撃だった
FacebookやTwitterのような他人の投稿をただ眺める感覚とは違う。
死というものは凄く重いものだし、私はそんな人様のデリケートな場面を否応無しに見させられた気分でもあった。

彼にとってそういう日本人は冷たく見えるのだろうか。

先日ニュージーランドで起こった銃乱射事件
犯人がその様子をネットで生中継したことが話題になったが
彼もこの出回った動画を真夜中、私宛に送ってきた。

見て。被害を受けているのは、モスクの人間(イスラム教徒)だ」って。

これを彼と全く同じ目線、感情で見れるのかと言えば答えは残念ながらNOだ。
確かに痛ましい事件だ。
だがどうしたって私にはこんなショッキングな映像をまともに見ることすら難しい。

宗教や食事、家族に関しても
彼が理想とする日本人の奥さんに求めるものはあまりにも多過ぎると感じた。


『それは難しいよ。』

とくにイスラム圏の人々を理解することは、とても難しい。とアブさんは言う。

でも、だからって、
人のことを簡単に差別なんかしたくなかったんだよ、と言う私に
『その気持ちも凄くわかるよ』と返すアブさん。

昨年の8月、オランダ行きの飛行機で出会ったあの日、入国審査をほんの数秒で通過した私は、後からアブさんが出てくるのを長らく待たされた

私は、何かトラブルでもあったんじゃないかと思ったが、彼が自身の国籍について打ち明けてくれたことで、すぐにその事情を察した。

アブさんのパスポートは、シリアという国のパスポートだった。

シリア内戦は、日本で東日本大地震が発生した4日後の2011年3月15日に勃発した。
つまりこの戦争もあの大震災と同じ8年ということになる。そして今もまだ終息していない。

(画像: CNN.co.jp)
だから彼の事情も非常に複雑だった。
ただ私は、彼のことは本当に尊敬している
あのヨーロッパ一人旅で体調を崩した時も、医師でもある彼と彼の弟には本当にお世話になった。

この8年、アブさんは欧州や日本を巡ってきた。
勿論そうせざる得ない事情でもあったのだろうけど、これからは更に医療や研究の道で挑もうとしている。

I totally understand it.
アブさんが毎度のように言うセリフ。
彼自身は、シリアというイスラム圏の国では珍しいキリスト教徒なのだが
それ故に他の思想と常に隣り合わせであることに慣れているのかもしれない。
そんな彼でも、海外へ行くまでは、自分の国がどこよりも素晴らしい国だと考えていたようだ。

それはどこの国でも例外ではなく
最近日本でも、海外から見た日本のココが凄い!みたいなTV番組も数多くあることから
やっぱり我が国、日本が一番素晴らしい!と思う人も少なくないはずだ。

かく言う私も、外国人と話をする際は
日本人は〜日本の場合〜日本だったら〜と
どの話題においても日本の事をよく引き合いに出す傾向があった。

場合によってそれは、周りに自身のナショナリズム押し付けるだけでなく、結果的に自分をも息苦しくさせることになる
ましてや異国に定住するとなると、特に気をつけなければならない。
だって当たり前だけど、外に出れば自分はただの外国人に過ぎない

(↑ドイツで出会ったマックの店員さん😊)

その点、"ここ8年近くは外国人"であるアブさんからすると、今や出身国であるシリアに加えて
ヨーロッパ人っぽさと日本人っぽさが混ざっている状態らしい。

でもなんだかその、自分の国が曖昧になるような感じって少し寂しくもあるような...

確かにちょっと寂しい
アブさんはそう言葉にする一方で

『でもそんな風に自国に執着して
"お母さんの腕を離せないでいる状況"のほうが僕は深刻だと思うよ
だからもし、他の国に住むのならその国のことをリスペクトしないとね!
と教えてくれた。

アイルランド行きまで残り1ヶ月を切り、海外に住むことに漠然とした不安があった
彼のその言葉を聞いて私自身もこのままだと
前述のようなカルチャーショックを与える側になり得るかもしれないということに気づいた。

大前提、外の世界では自分の常識がまかり通らないのは当たり前である。
そんなことよりもまず一度、その執着から離れてみて少しでも相手が持つモノの考えや見方に触れてみることが何よりも大切なのである。

せめて向こうに行くまでにアイルランドについてもっと勉強しようと改めて思った。
勿論、ウイスキーやお酒についても😊🥃

さて、今日はここまで。

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