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スーダン日記 2023年1月末 〜停電の夜のダンスパーティーごっこ〜

久しぶりに夕方7時前に停電。暑い夏が戻ってくる予兆だ。スーダンの冬は12月〜1月の中旬までということか…とても快適だったけれど、なんて短い冬!


確か11月の終わり頃から朝の空気が冷え始め、12月に入ると日に日に寒くなって長袖を着るようになった。といっても東京の秋くらいの気候で昼は暖かい。ハエも蚊も少なくなって、停電もなければ雨も全く降らない(雨は夏もほとんど降らないけれど)。屋上の貯水タンクの水も太陽光で温まらないので、シャワーが冷たくなることだけは不快で、子供達はたまにお湯を沸かしてバケツ風呂に入れた。まぁこれは我が家の温水システムが未稼働なせいなので、願わくば来年の冬には問題解消の予定。スーダンを旅行するなら断然12月〜1月をお勧めする。

1月末にはブーゲンビリアも咲いている!
朝のお散歩…たいして寒くないけど着たがるのでトレーナー。私は長袖シャツくらいで快適。


今日は夕食の準備が整うかどうかというタイミングでパッと電気が消えた。私は急いで、日没後の光の残っているうちにと、勝手口に繋がる外の階段に娘と息子を誘い、段々に腰掛けて夕食のパスタを食べた。部屋は既に暗くなっているので、食べこぼしを掃除し損ねてアリが群がるのを避けるには、食べ物を部屋に持ち込まないに限るのだ。なんせ予算の都合でまだベッドを買えず、日本式にマットを床に敷いて寝ている。


ちなみに、去年はもう一人の奥さんとその子供達4人と大きなお盆を囲んで皆で食事をしていたのだが、今年に入ってから何となく別々に食事をしている。子供達が食べ物の奪い合いを始め、お盆を綱引きのように引っ張り合い、そこここでスープの入ったコップをひっくり返し、料理に手を突っ込んで掻き回し…ここに書ききれない大騒動を1日に2回もこなすのに母親二人はほとほと疲れたのだと思う。娘も、皆で食べると親分格の異母兄の視線が気になって食べ物に真っ直ぐに手を伸ばせずにいたし、息子も異母弟の攻撃を交わせずにいつも泣いていたので(これは食事時に限らないのだけれど)、自分の部屋で安心安全を確保して食べる方が良いようだ。食べ物を分け合い譲り合って食べるとは何と難しいことよ…

同じ釜の飯を食う…ならぬ同じ皿の飯を食う?


というわけで、スーダンでは大皿料理を皆で囲んで手で食べるのが習慣だが、家だとなんとスパゲッティも手で食べる(全ての家庭でそうではないと思うし、レストランでは違うはずだけど)。これが至難の技。自分が食べるのも、子供の口にうまく放り込むのも難しく、食べ終わった後は服にトマトソースの赤い筋が沢山。自分の肩を見ると、息子のベタベタの手で掴まれた跡も。


今日もパスタに苦戦し、食べ終わる頃には真っ暗になっていた。足元をライトで照らすと地面に落ちたパスタ目当てかスッカル(砂糖の意味)と呼ばれる大きなアリが数匹寄って来ている。もっとアリが集まって来ないように、私はパスタを拾い集めた。


スーダンでは夜に停電になると、ドアや窓を開け放って、外(スーダンのアラビア語ではホウシュという…部屋に囲まれた中庭ではなく塀で囲まれた敷地内のタイル張りのスペース)のベッドで月明かりの下おしゃべりしながら涼む。子供達は電気が切れると喜び勇んで外に飛び出し、走り回って遊ぶ。電気があってもなくても楽しい子供達。

ぬいぐるみも砂まみれ。
なんでも外に持ってきて遊びたい子供達
タイル張りもされていない未完成のホウシュ


ただ、今日は思い付きで、スマホに入っているJ-POPを流しながら、寝室でダンシングナイトとすることにした。冬が完全に終わって本格的に暑くなったら、エアコンも扇風機も動かない部屋に籠って動き回るなど夢のまた夢。長ーい夏が来る前のラストチャンスかも。私のiTunesに入っている90年代の懐メロをシャッフルして、スマホのライトで部屋を照らすと、娘も息子も不思議な動きに体を揺らして笑い踊った。知っているはずのない歌をそれらしく歌う娘。壁際に並ぶスーツケースによじ登る息子と娘。まるでお立ち台のよう。


そのうち影絵遊びが始まり、自分の影が大きくなったり小さくなったりする様子に大笑い。手で作った狐が大きくなったり小さくなったりしながら、子供達に追いかけられて壁を逃げ回る。


流石に暑くなって、娘も今日ばかりは「シャワーする!」と一言。暗いトイレで頭の上から水シャワーを浴びてスッキリ。時計は9時を回っている。布団にゴロンとしたところで、不意にパッと電気が付き、ファンが回り始めた。

「カハラバー ジャーイ(電気が着いた)!イェーイ!!」電気が戻った時の子供達の歓喜の決まり文句。皆が皆、部屋から飛び出してジャンプしたり、手を振り上げてキャッキャと口々に言いながら、またまた走り回っている。電気がなくてもすごく楽しかったけど、やっぱり電気はありがたいね。

天井のファンが回り始めると、息子はいつでもカハラバージャーイと笑う。

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