幅広クッション万能説を疑おう

前回の記事「1万4000人の足のお悩み」で登場したお悩みに対して「とりあえず幅広でクッションが柔らかいシューズをおすすめしとこ。そしたらクレームになりにくいし」と思って聞いてもよくわからない悩みに対して幅が広くてクッションがフカフカした靴をおすすめしたことはないだろうか。

確かにお客様は販売している人の方が、「自分より靴や足に詳しい」という前提で相談している。
なので前述の「よくわからないからとりあえず幅広でクッションいい靴すすめとこ」をあっさり受け入れてしまう。
それはそうだ試し履きの時に、ほとんど歩かずに痛いところは幅広いから当たらないし、クッションがふかふかしていて嫌な気がする人はほぼいない。
しかし、それはその瞬間の"雰囲気"に過ぎず根本的な悩みの解決になっていないことが殆どあることを知って欲しいと思っています。(もちろん、幅広ふかふかクッションで解決する時もあります。)

例えば外反母趾は幅広い靴をゆるっと履いていると悪化します。
また膝の内側が痛みに対してふかふかクッションは解決になりません。
良かれと思っておすすめした方がかえって状況を悪化させているケースをよく見ます。
善意は大事ですが無知では助けられる人も助けられません。
裏を返せば正しい知識を身につけることで、よりたくさんの困っている人を助けられる様になるということです。
せっかく同じ接客をするならお悩みを手伝える接客と手伝えない接客どちらがいいでしょうか。

本当に何十年も苦しさや、辛さを抱えて私のところに辿り着くお客様もいました。
自分が対応したことでお客様が「痛くない。これで歩ける」と言って涙を流して喜んで頂いた時に、ご家族も笑顔になられたのを今でも覚えています。たぶん一生忘れないでしょう。

上記の様なことが毎日起きるわけではありませんが、多くの人が良いと思っていることは、お客様1人ひとりにスポットライトを当ててみると必ずしも良いとは限りません。

定説を捨てて、お客様の要望に応えるオーダーメイド接客の知識を再構築していきましょう。

その為に最低限必要な知識は以下の2つになります。
・身体の知識…特に機能解剖学が重要です。余裕があれば生理学も勉強できると良いと思います。
・靴の知識…どこのメーカーのクッションがどうとか言うレベルではなく、ラスト、アッパー、インソール、ミッドソールなどの根本的なところからです。意外にここを抑えずに話している人が多い。
何事も基礎が大事なのでしっかり勉強しておきましょう。

靴と身体の基礎を抑えれば、自ずと何が良くて何が悪いのか見えてきます。

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